第10回JPNICオープンポリシーミーティング議事録

[■議事録について]
  - プレゼンテーション資料は別途掲載しております.こちらよりご参照ください.
  - ご参加いただいた方: 60名 (関係者を除く)
    コンセンサス確認の際には,関係者を含めております.

[■議題]
  1. オープニング

  2. APNIC Resource Services Manager  Son Tran 氏 ご講演

  3. 前回までのフォローアップ
    3.1 Action Item 確認

  4. [提案] ポリシーWG規約変更提案 (P)

  5. [提案] WHOIS登録ルールの変更提案 (P)

  6. 活動報告
    6.1 IPv4アドレス枯渇に向けて (I)

  7. [提案] lame delegationの改善に関する提案 (P)

  8. [提案] 歴史的経緯を持つPIアドレスに関する今後の取り組みについて (P)

  9. APNIC 22 にむけて
    9.1 IPv6 PIアドレスのAPNICへの提案状況(I)
    9.2 現行 IPv6 アドレス配布ポリシーの変更(I)
    9.3 IPv6割り当てポリシーの変更(I)

 10. 日本・世界の動向
   10.1 第21回APNICオープンポリシーミーティングのご報告(I)
   10.2 JPNICアップデート(I)


 11. まとめ
   11.1 コンセンサス確認/まとめ

  (P) 提案事項
  (I) 情報共有を目的とした発表 


[■ 発表および質疑応答 (以下、Q. 質問、A. 回答、C. コメント)]
1. オープニング (藤崎智宏/ポリシーワーキンググループ チェア) [質疑応答]   なし
2. APNIC Resource Services Manager Son Tran 氏 ご講演 2.1 Action Item 確認 (藤崎智宏/ポリシーWG チェア) [質疑応答] Q. /8がフィルタされてしまっているリストの話があったと思うが、レジスト リとしても、経路をフィルタしてしまっているネットワークに対してフィ ルタを開けるように依頼してもらえないか。 A. APNICでは、IANAから割り振りを受ける1ヶ月前には、RIRの各メーリング リストやNANOGをはじめとするオペレータコミュニティのメーリングリス トに対して行っている。しかし、規模の小さいISPなどでは、これらのア ナウンスを読んでいない可能性もある。また、アナウンスを読んでいる場 合でも、なんらかの理由により、フィルタの設定の解除を行っている場合 もあると考えている。これ以上何を行うべきかについては考えているとこ ろである。 Q. アドレスを管理しているのはレジストリであり経路到達性についても責任 を持つべきだと思う。ISPへの連絡情報を持っていると思うので、これら を活用して連絡を行って欲しいと考えている。このような要望は他にもあ ると考えている。 A. APNICでは、事前にアナウンスを行なうようにしている。RIPEやARINなど では行っていないが、APNICやLACNICでは、実際にISPに連絡を行っている。 しかし、最終的にはISPのオペレーショナルポリシーに依存してしまうの で、フィルタの設定を解除してもらえないときもある。 もう1点、この問題は地域内で閉じた問題ではなく、全世界的に取り組 まないといけない問題である。APNICは全世界のISPの連絡先を把握してい るわけではなく、APNIC以外のレジストリが協力してくれないこともある。 この問題はAPNICでも頭を悩ませている。 Q. ip6.intを廃止した際に、LIRからの連絡や苦情はあったのか? A. ほとんどのip6.intの委譲は日本国内が中心だったので、特に連絡や苦情 はなかった。 Q. 歴史的PIアドレスの回収について。連絡が取れない相手のリストみたいな ものが、一般に公開されているのか? A. 一般には公開を行っていない。APNICでも検討したが、リストを掲載する と、実際に使われていないことを公開することになってしまうので、ハイ ジャックされてしまう危険性があることを考慮した。 C. APNIC22(2006/9/4-2006/9/8)は台湾・高雄で、APNIC23は(2007/02/27- 2006/03/02)インドネシア・バリ島で開催される。日本の事例を紹介する よい機会であると理解している。日本からもSIG Chairとして頑張ってい るので、興味があれば参加して、日本の事例の紹介をお願いしたいと考え ている。遠隔参加のためのしくみもいろいろ整えているので、こちらも試 していただければ嬉しい。 [補足] メールベースでいただいた質問については、質問者に改めて返答することに なった。 (Sonさんにご返答いただき,返答済 : 藤崎)
3. 前回までのフォローアップ 3.1 Action Item 確認 (藤崎智宏/ポリシーWG チェア) [質疑応答] なし.
4. ポリシーWG規約変更提案 (中川あきら/KDDI ポリシーWG) [背景] ポリシー策定プロセスは、JPNICで決めた文書に基づいて行われているが、こ の文書の内容について一部見直しを行うための提案である。 [質疑応答] Q. チェアが総合的に判断するというのは、どの時点で判断するのか。また、 チェアがどういう判断をしたのかについてはどの時点で公開されるものな のか。 A. 通常、挙手によるコンセンサスの確認を行う時点を想定している。コンセ ンサスを確認したその場で、チェアがどのような判断をしたかを述べる。 ミーティングの場とは別に、メーリングリスト上などでも意見を述べる場 場もあるので、ミーティング上での決定が変わる可能性もある。 C. 補足するが、それぞれの提案の場で確認を取っているが、JPOPMが終わる 直前にも再度確認をお願いしている。それをもって、ミーティングでのコ ンセンサスとする形にしている。 Q. 提案の内容に興味がない人もいると思うし、IPの問題は広義に渡るため、 そもそもその人自身が資源の割り当てを受けていないことなどにより、提 案そのもの自体に関心が無い人もいると思う。手を挙げる挙げない以前に、 「棄権」という選択肢がないので、「棄権」という選択肢を設けてはどう か。母数を「興味がある」「興味がない」「関係者である」「関係者では ない」ということを考慮せずに、多数決で行おうとしているので、現在の ような問題点があると思う。「棄権」という選択肢を使えば、現在のポリ シーでも問題ないように思える。現場の温度感が正しく伝わらなくて、チェ アが正しく判断できないことを懸念している。誰かに依存するよりは全体 で決める現在の方法は公平性が保てると思う。「棄権」についても、その 人の意思として、票の一部として取り扱うようなやり方もあると思う。 A. 例えば、JPOPM参加者のほとんどには関係ないことで、誰かが新しいこと をはじめようとする場合、全体の中で賛成する人が一人ということも可能 性として考えられる。この状態では、その意見が埋もれてしまうことを危 惧してこのような提案を行った。 C. その1票の意見を、ワーキンググループのチェアが正しく判断できるのか ということに疑問が残るかもしれない。量の問題は、常に母数のことを意 識して考えればよいだけなので、すごく極端な例だと難しいとは思うが、 現在の方法でも十分うまく回っているのではないか。 C. ポリシーワーキンググループの基本的なやりかたでは、日本国内に影響の あることについては判断などを行い、アジア太平洋地域全体に影響がある ことや、グローバルな視点で考えないといけないことについては、例えば、 APNICミーティングに議論を誘導するなど、コンセンサスなどを取らない ことも実際にはある。一人しか意見がないが、その意見を埋没させてしま うことよりも、単純な数をもってなんでも決まるということが、必ずしも このフォーラムにおいて有効なのかどうなのかどうかということや、まっ たく意見が出ない状態がずっと続いて、JPOPMをやっていること自体が無 意味になってしまうことを危惧しているので、ポリシーワーキンググルー プのチェアの判断に委ねてしまう部分を残しつつも、だからこそ「質と量 の両面から」と記載することで、数があれば当然強いが、数がないからと いって、コンセンサスには達しないという判断を行うことを避けることが 今回の提案の目的である。 C. 数を数えるのであれば、母数を調整する何らかの方法があった方がよいと 考えている。それがどれだけ有効な意見なのかというのがわかると思う。 その後に、多数決で基準に達しない場合やごく少数な意見でも、今後必要 であると、ポリシーワーキンググループの皆さんが判断されて、IP-USERS メーリングリストでのコンセンサスに回すのは問題ないと思っている。現 状の方法を続けることには、多数決としてあまり意味が無いかもしれない と考えている。最終的な判断をそこで行う前に、多数決の判断基準を少し 考えなおすことも一つの方法かもしれない。母数からはずしてもらうよう な選択肢を設けることを想像している。 Q. APNICミーティングでコンセンサスを取る際に、自分には関係ないので母 数からはずしたが、コンセンサスを取るような手段を取っているのかにつ いて教えてほしい。 A. APNICミーティングでは、「棄権」というのはカウントしていない。参加 者が50人で、賛成30人、反対20人だった場合にはコンセンサスということ はいえないと考えている。今回の提案の内容は、どちらかといえば、 APNICミーティングでの運用に近いと考えている。 C. 危険と思われるようなことがあれば、この場で発言してぜひ止めてほしい と考えている。単に過半数に達しない場合には、コンセンサスではないの か、という点も考えて、今回提案を行った。 C. グローバルな視点における、JPOPMでのコンセンサスは意味がないという のは間違いである。JPOPMでコンセンサスが得られ、APNICミーティングで 提案を行うということについては、日本のコミュニティの意見として重要 であるという認識を持っています。挙手をカウントする場合、賛成をカウ ントする現在の方法もあると思うが、反対をカウントするのも重要で、賛 成と反対の中間に位置するということで棄権をカウントすることも重要で あると思っている。賛成が一人しかいない場合にも、内容によっては、非 常に重要である内容の場合もあって、例えば、過去のAPNICミーティング では、携帯電話に関する装置へのIPアドレスの割り当てについては、最初 はごく少数の賛成しかなかったが、2回、3回と議論を重ねていくうちに、 ポリシーになったものもある。それがなぜポリシーになったかというと、 そのポリシーがないと、実際の業務が回らない人達がいたからである。関 係のない人から見た場合には、まったく関係のないポリシーもあり、その 人たちにはまったくわからないものである。そういうのを無視してはいけ ないというのは、非常によくわかる。それに対して、この場でどう議論を 行っていくのかということはちゃんと考えないといけない。挙手で意思表 示を行う場合には、「まあいいや」と考える人は、手を挙げない人にカウ ントされると思う。先ほどのコメントの中にもあった「温度感」というの もあると思うので、そういうものをチェアが汲み取って判断していくので あれば私は賛成であると考えている。ただ、チェアの独壇場になってしま うのは困るので、このフォーラムの中で複数回コンセンサスの確認を行っ て、コンセンサスに達しないというものについては、継続議論を行うとい うような運用方法であれば問題ないと思う。文面は問題ないと思うが、運 用はもう少し考えてしっかりやって間違った方向に進むのを防ぐようにやっ て欲しいと思う。 C. 今回のこの提案の中には、チェアの独壇場にさせるということは考えてい ない。その点から考えてチェアの責任は大きくなる。 C. 先ほどのコメントとは逆で文面の中でちゃんと定義しておくことが必要だ と思う、文面の中に暴走できないようにする仕組みを入れておいたほうが いいと思う。 Q. ミーティングでの1次コンセンサスの後に、IP-USERSメーリングリストで 最終確認という流れになっているが、そこで差し戻される可能性はある。 これを考慮する必要はあるか。 A. 仕組みの中で暴走が止まるような機能が含まれているのであれば問題ない と思う。 C. LastCallで差し戻す仕組みがあるが、差し戻すかどうかの判断はチェアに あるので、そこに危険性があるといえばあると思う。Objectionが一つで もあれば差し戻される、という必要があれば、その仕組みどこかに実装さ せなければいけない。 C. どちらの仕組みについても、質と量を判断してチェアがOKを出せるとする と、システムとして差し戻せる可能性があると思う。どこかですりぬけを 防止できるような仕組みを入れる必要があると思う。 C. 質と量を総合的に判断するという書き方でも問題ないと思うが、あまり厳 格には運用できないのではないかと思う。その点からも、ぜひ実施してい ただきたいのは、議事録には、会場にいる人数**人、賛成:**人、反対**人 というのを記載しておくことである。この内容をチェアが総合的に判断す るのが好ましいのではないかと思う。後からみても、こんな感じであった ことがわかると思う。 コンセンサスというのは、概念的には難しいと思う。多数決で多い意見 を尊重するというのは小さいころからやってきていることではあるが、 APNICミーティングでも、コンセンサスを取る際に量的な判断をすることで ある。少数の人でも、すごい厳しい批判や重要な反対意見を投げると、そ れを説得して納得してもらわないとコンセンサスには達しないと考えてい る。なので、チェアの総見に関わってしまうが、反対する人を説得する努 力をしないといけない。反対意見をがどの程度重要なのかについても判断 する必要があると思う。どうしても利害が総反することなので、総合的な 判断をするという難しさがあると思う。もし、文面があいまいなために、 みなさんがチェアの判断に疑義を持つのであれば、チェアの解任を提案し ても問題ないと思う。 Q. この提案は、チェアや運営者サイドの判断基準を難しくしているのではな いか。この提案の内容を賛否両論を含めて議論しないといけないと思う。 よりみなさんの意見を聞きましょうと言う方向に考えているのか。 A. 確かにそうである。運用においてどのように進んでいくかはワーキンググ ループやチェアによって変わって行くと思う。これからのコミュニティの 動向にあわせて進めていければと考えている。 [コンセンサスの確認] 総数66(賛成:42/反対:9/挙手なし:15) [結論] コンセンサスを得たので文書の改訂を実施する.
5. WHOIS登録ルールの変更提案 (サトウススム/ JPNIC & WHOIS検討WG) [質疑応答] C. 現在、JPNICデータベースの割り振り情報の[abuse]に電子メールアドレス が登録されているのは、JPNIC管理下PAアドレスの割り振り情報の約1/3で ある。アドレス数に換算すると、JPNIC管理下PAアドレスの約2/3である。 C. IPv6アドレスのネットワーク情報については、95%のネットワーク情報で 担当グループ情報が利用されている。 Q. この提案そのものは、IPアドレス管理指定事業者(以下、IP指定事業者)を はじめとする利用者サイドに大きな影響があると思う。最終的には、JPOPM に提案に来てほしいとは思うが、この提案の前に、このような考え方を持っ ていることをIP指定事業者に伝えて、そこから意見集約をあらかじめ行う ことを考えているのか。 A. コンセンサスは確認したうえで、実装にあたっては、IP指定事業者にご説 明をして確認をして進める予定である。仕様を検討する際にも、IP指定事 業者から意見を集めることも検討している。 Q. コンセンサス後ではなく、コンセンサス前にIP指定事業者から意見をもら えると、IP指定事業者の後押しも加わってコンセンサス形成に向かえるの ではないか。事前に話を聞いて、検討の際の賛否両論についても紹介して もらえれば、内容についての検討にあたって、もう少しオプションが増え ることになって良いのではないか。決まったことをIP指定事業者に伝える だけでは、反発が出るのではないかと懸念している。 A. ワーキンググループにはIP指定事業者の担当者が含まれており、ワーキン ググループの中で出た意見は、IP指定事業者からの意見にも反映されてい るのではないかと考えている。このワーキンググループに参加されていな いIP指定事業者からの意見は、IPアドレス管理指定事業者連絡会などでう かがうことになるかと思うが、それほどぶれてはいないものと考えている。 Q. IPアドレスに関するWHOISデータベースとJPRSが管理するJPドメイン名に 関するWHOISデータベースが完全に分離する(担当者情報が分離する)のは いつ頃の予定になっているのか。 A. 現時点では、完全な分離の目処は立っていない。ただし、システムとして は現在も分離している。担当者情報の分離ができていないために、見かけ 上、IPアドレスをJPドメイン名のデータベースが完全に分離していないよ うに見えている。担当グループ情報がIPアドレスに関する情報である認知 され、利用されるようになれば、分離する可能性があると思う。ただし、 現在は、担当者情報を利用しているIP指定事業者も多いため、これを減ら していけば、担当者情報への依存度は減ると思う。 Q. スライド13枚目の提案内容だが、今日コンセンサスが得られると、文書の 改訂とシステムの改修を行う必要があると思う。ISP(IP指定事業者)側で も非常に影響の大きな変更だと認識している。また、このポリシーの改訂 を待っているユーザもいることから、コンセンサスが得られてから、実装 に至るまでの期間をできるだけ短くしてほしいと考えている。また、今後 のスケジュールについては、できるだけ速やかに教えて欲しい。コンセン サスが得られてから、これらのポリシーが同時に実装されるのか、それと も個別に実装時期が異なるのかを教えてほしい。 A. 提案1についてはドキュメントの変更のみで可能なので、早急な対応が可 能であると考えている。それ以外については、システムの改修が必要にな るので、具体的な実装時期の目処は立っていないが、できるだけ可能なも のから順に実装して行きたいと考えている。 Q. ユーザが望まれている内容と言うことはどのような例か。 A. インターネットマンションなどで、住んでいるマンション名が、そのまま WHOISで表示されてしまう場合や、個人名がわかる場合である。IPアドレ スからどのような場所に住んでいるかや、どこに住んでいるかがわかって しまうという状況がある。 C. 提案2と提案3については議論があまり煮詰まっていない状況であるが、今 回提案を行って、いただいた議論を含めながら、今後も議論しながら実装 して行きたいと考えている。 C. 提案2と提案3に対しては、確実に連絡が取れる手段として利用されるので あれば問題ないと思う。 C. 提案3については、PAアドレス(IPアドレス管理指定事業者管理下のIPアド レス)とその他の資源に分けるということだが、一つの担当者情報や担当 グループ情報がPAアドレスとASに登録されている場合もある。自社の顧客 という点では、これらの色分けをすることはあまりしたくない。JPNICが WHOISの情報(担当グループ情報)を顧客情報的に扱っているようにも思え る。JPNICでそのように使われることが、各IP指定事業者での情報の取り 扱いにも影響してくると思う。 Q. 提案2と提案3については継続して検討することがあるようにも思えるが、 提案1から4の提案をまとめてコンセンサスを取るのか。 A. 提案1から提案4までのそれぞれについてコンセンサスを取る。 C. このワーキンググループは今後も継続して議論を行う。興味がある方は、 この活動にご参加いただきたい。 [コンセンサスの確認] 提案1:総数67(賛成:48/反対:0/挙手なし:19) 提案2:総数67(賛成:17/反対:1/挙手なし:49) 提案3:総数67(賛成:3/反対:9/挙手なし:55) 提案4:総数67(賛成:41/反対:0/挙手なし:26) [結論] 提案1と提案4についてはコンセンサス 提案2と提案3については継続議論を行う。
6. 活動報告 6.1 IPv4アドレス枯渇に向けて (河野志行/JPNIC 番号資源利用状況調査研究専門家チーム) [質疑応答] Q. 本質と外れる問題かもしれないが、JPNICが果たす役割というのがあった と理解している。その中で、いろいろな組織との情報共有を行うことはす ばらしいと思うが、政府とか国へ働きかけを行うという内容がまったく含 まれていなかったように思える。IPv6の利用を推進するような国の機関も あると思うが、そのような機関へは、どういうような形でこの報告書を作 成したことを知らせているのか。 A. 国の機関への報告は行っていないが、総務省の担当の方には報告書を公開 したことを連絡している。ただ、訪問して報告するようなことはしていな い。 Q. 個人的な感想としては、「IPv6への移行」という言葉はあまりそぐわない と考えている。「共存」や「導入」などの言葉がふさわしいと考えている。 ISPにとってIPv6を導入することには結構なコストがかかると考えている。 IPv6の導入が進んできたときに、「勝ち組」「負け組」のような状況が発 生してしまう状況も考えられる。「負け組」のISPはいつまでもIPv4ネイ ティブのサービスのみを提供しているという状況もあると考えられる。 IPv6のみで利用できるサービスにこれらのISPが参入できない状況になっ てしまったときに、国の後押しみたいなものがあればよいと思う。そのよ うなアクションを取っていないようであれば、今回作った報告書がもった いないと思う。IPアドレスに税金を課すというよりは、IPv6導入に対する 補助金と言うのがあれば、助かる。この報告書を広めることで、役所に とって、(知識として)IPv6化に対する意識を持ってもらえると思う。 JPNICの役割の一つとして適切なのではないかと考えている。 A. 現在でも、IPv6化に対する補助金を出すような仕組みはある。この報告書 では、国レベルの政策にはアプローチしていない。社会的背景もあると思 うので、その時点での社会的背景を考えて、JPNICはアクションを行って くれると考えている。IPv6の市場に参入できるできないの判断は、JPNIC ではなく民間の企業が考えることであると思う。 Q. 「負け組」がどんどん増えていくと「勝ち組」が受ける利益も下がってく る。そうだとすると、インターネット業界自体が冷え込んでしまう可能性 もあるので、それはよくないと考えている。そういうことを避けるために も、このような報告書をできるだけ早く浸透して、早い時期からIPv6導入 予算を組むような準備をさせるとか、そういうアプローチを取るために国 に働きかけるとかをしない限り、いつまでも技術者レベルでやっていても 進展しない。経営者レベルの耳までにどうやって届かせるかが必要だと思 う。 A. 国のIPv6に対する動きを明らかにする必要があるのかもしれない。IPv6に 対する国のアプローチがあまり表に出ていない可能性はある。ただ、個人 的には政府も活動は行っていると理解しているので、それが表に出てきて いないだけだと思う。一部の審議会や省庁でもこの報告書を公開したとい う話は出ているので、国がどういう方針でやっていくかということについ ては、インターネットの利用促進という立場からJPNICが調べていくのも よいと考えている。 C. 国としても、IPv6の振興とか普及という観点で活動するのはもう終了して いる。税制優遇も既に終了している。次のフェーズに入っていると思う。 C. JPNICとしては、現実を知ってもらう意味で、国に報告することはあまり 意味がないと考えている。世の中に広く知ってもらうと言う観点は必要で あると思う。その動きの中で、どのように取り組むのかについては検討が 必要かもしれない。 C. IPv6の移行に費用がかかるというのは確かにそうかもしれないが、個人的 な意見としては、実際に移行するときにはお金はかからないのではないか、 とも思っている。米国のベンダーの機器はIPv6対応が進んできていて、標 準でIPv6対応を行っていて、買えばIPv6がついてくるのではないかと考え ている。IPv4アドレスの枯渇といってもまだ5年程度先なので、現在の機 器の減価償却期間終了後がだいたいIPv4アドレス枯渇の時期に重なれば、 新たに買う機器にIPv6がついてくるのではないかと考えている。そうする ためにはどうすればよいかというのがこれからの問題で、買い換えたら IPv6がついてくるような状況を作らないといけない。積極的にはじめても 現在では遅いかもしれない。IPv4が枯渇していくことは積極的に世間に知 らせていく必要があるかもしれない。米国では、IPv6対応が調達基準に含 まれたということ、ようやく重い腰を上げたということなので、日本政府 もIPv6対応が調達条件に入ると、機器のベンダーも渋々ながらもサポート していくのではないだろうか。サポートされている状況が作られれば、 ユーザも利用するのではないかと考えている。IPv4とIPv6を併用する運用 コストについても、そんなに変わらないと考えている。現状ではデュアル スタックの運用コストはそれなりにかかることがわかっているので、IPv4 とIPv6併用期間をできるだけ短くすれば、それだけ費用は軽減できるので はないかと思う。 C. IPv4アドレスが枯渇してきたときに、人々が高いお金を出して取引される かIPv4アドレスが使われなくなってしまうかどうかについての話があった と思うが、それは、次に構築される新たなネットワークが、どれだけユー ザ利便性があるかどうかに関わっていると思う。使えないところにいかな ければならないのであれば、IPv4のまま残るであろうと考えている。 C. 個人的な意見だが、IPv6に関わるコストが高くなるのではないかと考えて いる。現在払っているIPv4に関するコストに加えてIPv6のコストがかかっ てしまうのであれば、IPv6への参入障壁であると考える人が多いのではな いかと思う。コストと考えているのは、割り振りに関する手数料やIPアド レス維持料のことを想定している。 C. JPNICでは、新たに割り振りを受ける時にOne Timeの手数料がかかるが、 IPv4アドレスとIPv6アドレスの割り振りを受けている場合の維持料につい ては、どちらか高い方の維持料が適用される。 C. IPv4の延命策は有効かという問題について、既に割り振り・割り当てを行っ たアドレス空間について、現在まったく使われていないと思われるアドレ スを回収した場合に、どの程度枯渇問題に対して有効なのかということに ついても検討を行っている。日本だけで、条件に当てはまるIPアドレスを 回収しても、たいしたメリットは無く、概算で恐らく1年程度枯渇時期が 先延ばしになるだけであろうと考えている。 本当に使っていないのであれば、レジストリに返却することは心がかけ ていく必要はある。例えば、枯渇期に近づいてきたときに公平に分配して いこうとなった場合にも、IPv4アドレスが少ないので公平に分配していく のは難しいかもしれない。日本には多くのIPv4アドレスが割り振り・割り 当てられておリ、そんなに多くのIPv4アドレスを持っているのであれば、 新たに割り振り・割り当てを行う必要はないという風潮になっては困ると 考えている。日本の組織には、昔に割り当てられたIPアドレスが多くある が、PIアドレスについては、約4割程度が経路広告されていないように見 える。経路広告を行っておらず、利用していないように見えるIPv4アドレ スを開放しなければいけないことになってしまう可能性もあるが、その時 日本にこのようなアドレスが多くあれば、日本に対して多くの目が集まる かもしれない。あとから難しい問題に発展しかねないので、利用していな いアドレス空間については、インターネットレジストリに返却するとか、 割り当てられていることすらわかっていない場合には、JPNICがうまくハ ンドリングして管理を行っていく必要があるのかもしれない。そういうこ とも踏まえて、今後どうするかについて考えていく必要があると思う。 C. 日本においてもアメリカと同様に、政府の調達条件にIPv6対応であること が含まれていて、2008年までには、IPv6対応の行政ネットワークを作る計 画がある。
7. lame delegationの改善に関する提案 (小山祐司/JPNIC) [質疑応答] Q. Lame Delegationとなっているネームサーバの割合がほぼ横ばいであるの になっているのに、特別な仕組みを導入することが必要であると考えてい る理由がわからない。増えているのであれば、具体的な数値を出して、そ の内容を元にして、本当によくない状態であることを議論していったほう が危機感があると思う。 A. 割り振り・割り当て・返却が毎日行われるので、逆引きゾーン全体の数は その中で、ほぼ一定の割合でLame Delegationとなっているネームサーバ があるので、Lame Delegationとなっている逆引きゾーンは増えているこ とになる。この状況をを何とかしたいと考えている。 Q. JPNICだけがこの取り組みを行っていても、Lame Delegationとなっている ネームサーバの率が変わるかどうかが疑問である。JPNICが行うことにつ いては一定の意味があると思うが、他のRIRでも行うことも必要であると 思う。必要であれば、IETFなどで発表を行っても良いのではないか。 A. ここではJPNICでの取り組みのみを説明しているが、全RIRにおいても、既 にこのような仕組みは実装されている。 C. LameDelegationを減らすことは良いことだと思うので、やることの意義に ついては理解できる。 C. この提案の内容だと、新規に逆引きの登録を行う場合にもLame Delegation かどうかの確認を行う。そうすると、ネームサーバの設定前にJPNICデー タベースの登録を行うような業務フローが成り立たなくなるので、IP指定 事業者の業務にも影響がでると考えている。実際にJPNICへの申請を担当 される方は、その点からも検討を行って、懸念される点があれば、なにか コメントをお願いできればと思う。 Q. 実装案はこの場ではコンセンサスを取らず、委譲を切ることのみについて コンセンサスを取ると認識している。その場合、実装案についてはどこで 確認を取るのか。 A. 実装案はこの場ではコンセンサスを取らず、委譲を切ることのみについて コンセンサスを取る。この場で議論を行うためのたたき台として実装案を 出した。本日のコメントを反映した形で実装案を作成して、IP-USERSメー リングリストでも今後議論を行うことを考えている。 Q. Lame Delegationとなっているネームサーバと判定されて、一定期間経過 した逆引きネームサーバの登録は削除されてしまうと認識しているが、登 録が削除されてしまったNSレコードを復活したい場合には、どのような手 続きを行うのか。 A. 現在想定しているのは、現在と同じように、逆引きネームサーバに関する 変更申請を行ってもらうことを想定している。 Q. Lame Delegationとなっているネームサーバと判定された場合、JPNICまた はAPNICが管理する逆引きネームサーバへの登録はいったん削除されるが、 JPNICデータベースに登録された逆引きネームサーバの情報もされてしま うのか。質問の意図としては、正常な状態に戻すためにはどのような手続 きを踏めばよいのかを確認したかった。 A. JPNICデータベースに登録された逆引きネームサーバの情報については、 この逆引きネームサーバがLame Delegationとなっているネームサーバと なっているという情報は残すが、データベースの登録自体は削除しない。 Q. Lame Delegationとなっているネームサーバの判定基準のうちの一つであ る、「到達性のないこと」について、その判断基準について教えてほしい。 A. AS2515のネットワークからの到達性があるかどうかを基準としている。複 数のネットワークから到達性を確認するのが理想だと考えているが、現状 のJPNICの体制では無理と考えている。AS2515からのみの確認であっても、 連続して15日間確認を行っているので、正常な状態にもかかわらず15日間 も確認できない状況があるというのは考えにくいと思う。 また、TCPとUDPの両方でPort53の到達性があることを現在想定している。 TCPのPort53番でもSOAを返す必要がある。 Q. TCPのPort53番では、応答を返さないようにしているところもあると思う が、それだと、JPNIC管理下のIPアドレスの半分以上が止まってしまうこ とがあってはいけないと思う。 Q. TCPのPort53番での到達性があることについては、APNICでも同様の基準を 採用している。しかし、これを実施することに反対であるという意見が多 ければ実施しないという選択肢もあるかもしれない。 Q. 実装案について、意見を言える機会とのことなので、意見を言いたい。申 請時に、送られた申請を拒否する場合には、システム的にどのような感じ で返されるのか。申請時にリアルタイムでわかるのか、それとも登録を一 度受理した後、半日後とか一日後にチェックして返ってくるのか。申請す る立場から言うと、できるだけ早く帰ってくることが望ましいと思う。 A. 電子メールとWebによる申請の挙動は異なると思う。電子メールの場合に はすぐに結果が返ってくることにしても、1分や2分であれば待っていられ ると思う。Webによる申請の場合に、待たせたうえに結果を返すのは望ま しくないと考えている。リトライを増やしたりタイムアウトを長くする方 法になるのであれば、リアルタイム性が落ちることになると思う。リアル タイム性を優先されるのであれば、信頼性が若干落ちることになると思う。 その点も考慮に入れて検討したいと思う。この提案が理解されて、正しい 設定が行われるようになっていれば、反応はすぐ返ってくると思う。 C. Webによる申請の場合には、結果をメールで返せばよいのではないか。 C. 手元でチェックすることと、JPNICのネットワークからチェックした場合 には結果が異なる場合もあるので、できるだけ早く結果が返ってくること を希望する。 Q. Lame Delegationとなっているネームサーバの割合はほぼ横ばいとあるが、 具体的な数がわかるようであれば教えてほしい。個人的な意見としては、 Lame Delegationとなっているネームサーバは、ずっとその状態が続いて いると思うが、LameとLameでないことを繰り返しているような状況はあま り想像できない。 A. 個々のネームサーバについて調査を行ったことはない。2005年12月に DNS DayでLame Delegationとなっているネームサーバについて調査を行っ たが、PIアドレスでは全体の約半数程度がLame Delegationとなっている ネームサーバであった。PAアドレスについては数%程度であった。推測に なってしまうが、Lame Delegationとなっているネームサーバはずっとそ のままであるかもしれない。 Q. Lame Delegationとなっているネームサーバとなっているにもかかわらず 連絡が取れないところは、歴史的PIアドレスに関する認証強化手続きの時 も連絡が取れていないようなところと一致するのではないか。だとすると、 電子メールで連絡をとっても、なかなか返事が返ってことないこともある と思う。 A. そういう関連性はまだ確認できていないが、機会があれば確認を行ってみ たいと考えている。 Q. 連絡を積極的にとってみた場合、Lame Delegationとなっているネームサー バの急激に割合が低くなった場合には、この提案がいらないという風に理 解できるが、メールで連絡できない場合には、仕方がないというようにも 取れると思う。今回の提案では、JPNICから働きかけを行っているにもかか わらず、Lame Delegationとなっているネームサーバの変更を行ってもらえ ないのであれば、委譲を切ると言うことを明文化したいのかどうかについ て、確認をさせてほしい。 A. その通りである。 Q. 歴史的PIアドレスに関する取り組みの話と同じで、この場に対象者がいな いのに提案を行っているという理解でよいか。 A. 実装案では電子メールで連絡を行うことを想定しているが、電子メールで の連絡が取れないようであれば、また、電子メール以外での連絡方法の実 装を希望される場合には、郵便や電話などで連絡を取るようになるかもし れないと考えている。ただ、郵便や電話などで連絡を取るようにするのは 現在のJPNICの体制的に厳しいと考えているので、今回の実装案では電子 メールによる連絡のみとしている。 Q. Lame Delegationとなっているネームサーバを管理しているのは、JPNICか らのお知らせや、IP-USERSメーリングリストを購読していない人たちが多 いのかもしれないという想像している。そういう人たちが管理しているア ドレス空間の委譲が知らないうちに切られてしまって、配下のユーザが困っ てしまうことにならないように、全体、PAアドレス、PIアドレスでLame Delegationとなっているネームサーバの具体的な数を示した上で、実装ま での手法を検討して議論をしたほうが、痛い人が少なくてよいのではない かと考えている。 A. Lame Delegationの悪影響のところで説明しているが、Lame Delegationと なっていると、名前解決ができない状態になっている。実際に委譲を停止 した場合に、JPNICに連絡を行うことでLame Delegationの状態を解消して もらえると考えている。PIアドレスの割当先組織に連絡が取れない場合に は、JPNICとしてもなんらかの連絡を行ってほしいと考えている。連絡手 段を確保したいとも考えている。 Q. 歴史的PIアドレスに関する認証強化や回収に向けた取り組みも行っている と思うが、これらの取り組みを分けて行うのではなくて、一緒に行なうこ とは考えているだろうか。 A. Lame Delegationとなっているネームサーバについては、委譲を停止する 前後で、いままで逆引きできていない状態が変わらないと考えているので このような提案を行っている。 C. 歴史的PIアドレスの割り当て先組織に連絡が取れないというの問題がある のであれば、PAアドレスととPIアドレスを分けて考えて、今回はPAアドレ スのみ実装を行うというのはどうか。それであれば、これまでコメントと して出されている懸念事項が解消されるのか教えてほしいと思う。 C. PAアドレスととPIアドレスを分けて実装した場合、Lame Delegationとなっ ているネームサーバを減らすための取り組みの意義を見出せるのかと思う。 Q. Lame Delegationとなっているネームサーバのリストを一覧にして提供を するのはどうか A. 各IP指定事業者管理下のアドレス空間については、各IP指定事業者自身が 一覧で表示できるようにしている。他のIP指定事業者の情報を参照するこ   とはできないシステムは既に用意している。 C. Lame Delegationとなっているネームサーバの委譲を切るという大枠につ   いて提案を行うことだが、それについては問題ないと思う。ただし、実装   案については今後さらに検討を行って、次回のJPOPMで提案を行って、実装   案が正しいかについて議論をおこなうようにしてほしい。対象者がこの場   にいないことや、MLのメールを読んでいないことは問題だと思う。どこか   で決めないといけないと考えると、決めるのはやはりこの場だと思う。関   係しそうな人を集めたい場合には、IP-USERSメーリングリストに投げて、   そこから関係する方面にディストリビュートしてもらうという方法しか今   はないと思う。 C. DNSのオペレーションの話は、歴史的経緯を持つPIアドレスを回収すると   いう話とは違って、もう少し機動的に動いてもいいのではないかと思う。   Lame Delegationとなになれば、お客さんが気がつくと思う。それから対   応してもよいのではないかと思う。気がつくパターンとして一番思いつく   のは、DDoSなどで攻撃されて逆引きをする場合かもしれない。他のイン   ターネットユーザにとっては、Lame Delegationが解消されるとタイムア   ウトが短くなるなどハッピーになる。全体の利益から考えると早めに実装   したほうがよいと思う。ただし、このような取り組みを行うことについて   は積極的に説明する必要はあると思う。 Q. 到達性を確認することが今回の基準に含まれているが、15日間連続して確   認を行うので、一時的に到達性がない状態である場合に、Lame Delegation   となっているネームサーバと判断されて委譲を切られてしまうということ   はないと考えている。気になるのは、JPNICのネットワークから各サーバ   に対して到達性を確認するとあるが、そもそも何らかの理由によりフィル   タリングをされておりIP Reachableではないため到達できない場合には、   どうやって確認を行うのか。 A. 電子メールでは連絡が行くので、電子メールが到着したこととその内容で   気をつけてもらうことを想定している。 C. Reachablityがないということがルーティング上ではあるので、それを考   慮して実装した方がよいと思う。電子メールでは確認できるので問題ない   と思う。 Q. 現在もLame Delegationとなっているネームサーバの調査を行っていると   思うが、現在はTCPとUDPの両方で調査を行っているのか。間違ってTCPの   ポートをふさいでいる人もいると思うが、その比率がわかるようであれば   教えてほしい。InternetWeekのチェートリアルでもあったと思うが、間違   ってTCP53番のポートを塞いでいることで不具合が起こっているというこ   とは、一部では有名であると理解している。この状態だとなんとなく動い   ているように見えるので、そういう状態でも大丈夫なのかどうかについて   はよくわかっていない。こういう状況の解説についても普及させてほしい   と思う。 A. 現在はTCPとUDPの両方のチェックを行っている。 Q. Lame Delegationとなっているネームサーバの委譲を切ることについてと、   実装とを分けて考えるかについて、ご意見を募集したいと考えている。 Q. 実装についてはいろいろな意見が出ているので、一度JPNICに持ち帰って   もう少し検討してもらって、データが出るようであればデータを出しても   らって、それを元に議論を行った方がよいと思う。Lame Delegationとなっ   ているネームサーバの委譲を切ることについてコンセンサスに達している   と理解しているので、条件付きコンセンサスとするのがいいのではないか。    Q. 実装案を一度IP-USERSメーリングリストに投げて、それを元に議論を行っ   てコンセンサスとするのはどうだろうかと考えている。12月のJPOPMで再   提案とすると、JPNIC的に時間的な制約があった場合には困るのではない   だろうかと考えている。APNICからの要請などの外的要因で開始時期が決   められているのであれば、その時期にあわせてはじめる必要があるのかど   うかについてJPNICに確認をしたい。 C. 実装については、この場でいろいろと意見が出たので、それを持ち帰って   検討して再度提案するのが筋なのではないかと思う。 A. JPNICとしては、2007年度の初めには開始したいと考えていた。開始時期   については主に事業的な問題で、JPNICの事業計画の中で開始時期につい   て検討を行った結果である。時期的には緊急性を求められるものではない。 Q. この問題は実装に依存するところがあるので、実装内容をもう少し詰める   ことと、これまでに意見としてできたデータを含めた上で、実装の部分に   ついて再提案を行なっていただくことにしたい。 C. Lame Delegationとなっているネームサーバであれば委譲を止めることに   ついて再度検討を行って、DNSのオペレータコミュニティからも意見をも   らって、再度提案する形にすればよいと思う。 C. 実装に関する問題については、PAアドレスやPIアドレスといったアドレス   の種類に関する問題だけではなくて、15日間の調査がよいのかという問題   もある。この場では、Lame Delegationとなっているかどうかの確認のし   かたに関する意見もあった。    DNSのオペレータからの意見や、PIアドレスを多く扱っていそうなISPか   らの意見、その他に関係しそうな人たちからの意見を踏まえた上で、関わ   る人全てがハッピーになるような実装提案を持ってきてもらうと、JPNICが   独断で決めているわけでなく、この話に関わる多くの人に理解していただ   いた上で検討された提案だということが理解できると思う。 Q. 今回の提案の中では実装案として出しているものについては、今日はご意   見をいただくことを考えており、詳細な内容については、IP-USERSメーリ   ングリスト等で確認をしていただくことを想定していた。そういう形式で   は進めるのではなく、完全な形で次回のJPOPMに提案する形にしたほうが   よいのか。 C. そのような形で進めることを検討していたのであれば、提案に実装案を含   めるべきであると思う。今日の提案の内容が甘いと思う。 C. 今までの議論から考えると、手直しを加えながら進めることが可能な実装   変更ではありえないと思うので、もう一度議論を行う必要があるのではな   いかと考えている。あらかじめ実装案が提示されていても、実装案の細か   いところまで議論できるかどうかについてはわからない。先ほどコメント   があったように、関係する人たちからの意見をうかがった上で検討を行っ   ていることをはじめとして、背景などを含めた上で再度提案を行ってほし   いと考えている。 [コンセンサスの確認について] Lame Delegationとなっているネームサーバの委譲を切るという考え方につい て: 総数69(賛成:58/反対:0/挙手なし:11) プロシージャなどの実装を含めた提案は,コンセンサスに至らず [結論] Lame Delegationとなっているネームサーバの委譲を切るという考え方につ いてはコンセンサスとなった。どのような実装にするかをもう一度検討を行っ て、背景とともに再度提案する。 8. 歴史的経緯を持つPIアドレスに関する今後の取り組みについて (佐藤香奈枝/JPNIC) [質疑応答] Q. 現在まで返答がなく、経路広告の行われていないPIアドレスはどの程度あ   るか。 A. 経路広告の行われているアドレスが60%台、行われていないものは37%程   度。さらに経路広告の行われていないもののうち、現時点で連絡が取れない   PIアドレスは約半数。アドレスサイズとしては/9(約840万アドレス)相当   になる。 Q. 一部分しか使っていないが、アドレスのリナンバは難しいケースのために一   部分だけでも返却させることも検討しているのか。 A. もしリナンバできるのであれば、リナンバしていただきたい。アドレスの部   分返却についてはフィルタリング等新たな問題を発生させず、かつ効率的   な利用を目指した運用で回収していきたいと考えている。なお、本件はスラ   イドでは触れているが、提案内容から外れるため、この場での議論の対象か   らは外すが、今後も是非情報提供をお願いしたい。 Q. 回収対象になっているPIアドレスは公開されているか。回収に入る前に   JPNICで適切な期間、ウェブ等で周知した方がよいのではないか。 A. APNICと同じく、公開することによりハイジャック等に悪用される可能性が   あると考え、検討の結果、一覧は公開しないと判断している。 Q. IPv4の回収よりIPv6の普及が先に進んでしまったらこの話はどうなるのか。   いずれIPv6に移るのではあれば回収が無駄であったということにはならない   のか。 A. 延命策としてではなく、適切に使うために回収していくという考えより回収   を進めている。その場合、回収を開始してからある程度の機関を要するた    め、早めに行わないといけないと考えている。   また、すぐにIPv6に完全に以降することはないだろう。そうすれば引き続き   IPv4が必要なところで有効に利用できるため、IPv6に完全に移ってIPv4が不   要ということはないと思われる。   Q. 回収はできるところから早く始めていったほうがいいと思う。自分たちの手   の届く範囲だけではなく、一般メディアを活用して訴えかけていくことも必   要であると思うが、JPNICではそのような活動は行っているのか。 A. JANOGをはじめとするインターネットコミュニティでは既に説明を行い、一   定の効果は得られたように思う。一方、まだ連絡が取れない組織は約700組   織残っているが、対象者数を考えると広く遍く周知するよりも個別に連絡を   取っていったほうが効果的と判断をしている。今後はJPNICデータベースへ   の登録情報のみではなく、Webなどで公開されている情報を利用して連絡を   取って行きたいと考えている。 Q. PIアドレスを持っている顧客でPIアドレスの連絡先としては古い情報であっ   たためにJPNICから連絡を受けなかったが、他にJPNICデータベースに登録さ   れている情報をもとに連絡が取れたケースを確認したことがある。   また、JPNICデータベース以外にもgoogle、登記簿謄本などで調べて連絡を   取ってみることも考えてほしい。そのような取り組みを行わなくて回収と言   うのは不適切だと考える。 A. 抜けがあったことについては申し訳ないと考えている。JPNICとしても、回   収後に問題が生じることは避けたいので、回収を進める前にJPNICデータ   ベースの情報以外の情報も利用して連絡を取っていくことを考えている。 C. そういう手続きを踏む意向があるのであれば、その点も明記してもらったほ   うが不安はない。 A. 回収にあたっては合理的な範囲で連絡方法を探すと言うのは基本であり、   JPNICとしても最善の方法を尽くして連絡をとることを提示する必要がある   と認識している。ご指摘はありがたい。 C. 方法だけを文書化しても確認した証拠が残る手段でないと、後で問題が生   じる可能性がある。そのあたりの検討も入念に行う必要があるだろう。 C. まさにそのような点の考慮も必要であるため、実装段階ではもう少し細かい   手続きの説明も行うことになると考えているが今回は回収を行う枠組みにつ   いて提案をしている。 Q. 手続きとして、どこまで回収前に対応するのかという点がポイントだと思う   が、JPNICとしてはどこまで進めるのか提示することは可能か? C. 連絡の取れないPIを一覧で出すことは難しいのであればWHOIS-WGのように、   一部の識者から意見をもらえるスキームを作れるのはどうか。 A. さまざまなご意見は認識しているが、まずは現在連絡手段として想定される   あらゆる方法を検討し、手続きを進めた結果、まだ連絡の取れないケースを   どう対応するか、改めて検討してみればよいのではないか。 Q. ドメインの情報を管理しているJPRSのWHOISについては精度が高いような気   がする。 A. JPRSのWHOISを利用することも検討する。 [コンセンサスの確認] 利用されていないPIアドレスの回収: 総数70(賛成:56/反対:0/挙手なし:14) 提案されている手続きに基づいて検討を進め、実際に回収を行う前に、手続 きについて議論を行うことについて: 総数70(賛成:49/反対:0/挙手なし:21) [結論] 利用されていないPIアドレスの回収についてはコンセンサスが得られた。 提案内容のプロシージャに基づいて手続きを進めることについてもコンセン サスが得られたが、実際の回収の手続きを行う前に、手続き方法について議 論を行うことを条件とする。 9. APNIC 22 にむけて 9.1 IPv6 PIアドレスのAPNICへの提案状況 (外山勝保/NTT 情報流通プラットフォーム研究所) [質疑応答]  なし 9.2 現行 IPv6 アドレス配布ポリシーの変更 (奥谷泉/JPNIC) [質疑応答] Q. 割り当てのサイズは/32のまま変更ないのか。その場合には、割り振りサ イズが大きすぎるような気がする。 A. /32が割り振りサイズ全般として大きすぎるのではなく、大学等へも対象を   広げるとすると/32の割り振りが大きすぎるということで理解し、了解し   た。 Q. この提案者は別途提出しているIPv6 PIの提案と趣旨を重複して提案してい   るようだが、同じ趣旨で2点の異なった提案を行うのは問題なのではない   か。どちらか1つに絞ってほしいと思うということを伝えてほしい。 Q. ISPという言い方は対象が解釈によって曖昧になるため避けた方がい   い。さらに、緩和方法も色々な方法あるのでこの点も検討する必要がある。 A. 了解した。 9.3 IPv6割り当てポリシーの変更 (奥谷泉/JPNIC) [質疑応答] Q. /48から可変長にするとのことだが、LIRが/48での登録を継続したいと言え   ば、/48のままになるのか。 A. 正直グレーな点であり、現在提案者に確認を行っているところである。   提案文書を額面通り受け取れば、主張すれば問題ないはずではある。 Q. 意見を聞きたいポイントとしてあげられている「利用率計算の基準と、実際   のネットワークへの割り当てサイズの定義を分ける考えについて」と「利用   率計算の基準となるサイズを/48→/56へ変更することについて」の違いはな   にか。 A. 前者は実際のネットワークへの割り当てサイズを判断する方法の変更で、後   者は追加割り振り申請時に利用率計算基準となるサイズの変更。 Q. /48割り当てても/56の割り当て1件として換算されると考えていたが、違う   のか? A.具体的な方法はまだ引き続き検討中ですが、基本的な考え方としては1件の    /48がいくつの/56に相当するのか置き換える意向があることは確か。/48の割   り当て1件が/56 1件のみと見なされることはないだろう。 C. 世の中の流れから見て、全般的にこの提案の方向で進むことは止まらないと   考えているが、ここだけは守ってほしいということをめきしておく必要があ   る。例えば「/48よりも小さな割り当ては審議が不要であること」等。   また、効率的な割り当てが求められるという話だが、「効率的」の定義は解   釈のしようによっていくらでも変えられる。すでに/48ベースでサービスを   開始しているLIRへの影響が確認されており、この点が前回の提案に対する   大きな懸念だったが、そこは担保されるのか。パイオニアとしてIPv6の実装   を進めてきた人が犠牲になる人はやめてくれ、と言いたい。   この提案者は別途IPv6 PIの国内からの提案を支持してくれているの   で、言い方等には考慮しながら進めていくのがよいと思う。 C. この提案者は別途IPv6 PIの国内から提出している提案を支持してくれてお   り、その辺りとの関係も考慮に入れながら、進めていく必要があると思う。 Q. 事業者の立場では、新規の割り当てに対しては/48以外の割り当てでも問題   はないのか。それともなにか問題は生じるのか。(提案者) A. 新規の割り当てについては、/48の割り当てではなくても問題ないかもしれ   ないが、既に/48の割り当てをおこなっているので、既存のお客さんに/48の   余剰分を返してとは言えない。また、同じサービスなのに割り当てサイズを   変更するというのはできないと思う。LIRの裁量に任せるというのが可能な   のであれば、すべて/48の割り当てでサービスを継続したい。 C. ユーザからすると/56も/48も同じように「たくさんのアドレス」と認識さ   れ、特に違いはないのではないか。また、/48の割り当てが永遠に保障され   るわけではないので、将来的にみて回収されることもあるかもしれないので   ここは注意して扱ったほうがよい。 C. 言っていることはわかるが、今から将来のことを見据えて割り当てサイズを 変えるのは実際問題難しい。 C. これまでの意見に賛成で、同じサービスの継続性の点から見て、異なるアド レスサイズの割り当ては行いにくく、一番大きな懸念材料である。機器や ネットワークのデザインは/48ですでに行っているので、これを変更するこ とはできるだけ避けたい。 C. 現状以上に審議を行うべきではないという意見に賛成。/48までは審議が不   要であることは保証してほしい。また、割り当てサイズを/48にするのかそ   の他のサイズにするのかはLIRの裁量に任せてほしい。割り当てサイズを調   整することにより、追加割り振り申請の頻度も調整したいため。また、レジ   デンシャルユーザに対しても/48まで必要ないと考えている。 C. /48で提供しているサービスを、今後/56にするのは非常にやりたくない。   割り当てサイズがLIRの裁量に任せられることを望んでいる。また、IPv6ア   ドレスを取り巻く環境が急激に変わっていないにも関わらず割り当てサイズ   変更が提案されている理由については納得できていない。 C. 現在のポリシー策定の経緯を簡単に補足すると、割り当てサイズを決定する   際、/48では大きすぎるのではないかという意見も出ていたが、そこでじっ   くりとした検討に入ると議論が発散するため、あとで見直すことを含ませて   ルールを決めたということがある。 C. 個人に/48を割り当てる実験サービスをおこなっているが、ユーザからは   /48は大きすぎるとの声もあり、提供側としても確かに大きすぎるように思   う。今後はもっとIPv6アドレスの割り当てが増えて家庭内に広がってくる   と、もう少し小さなサイズの割り当てもあってもいいと思う。ただし、可変   で1ビット単位というよりも、逆引きの設定のために4ビット単位を推奨する   ようなガイドラインがあるとよいかと思う。 [参加者の意見の確認]   以下3点について挙手による参加者の意見の確認が行われたが、提案事項では   ないため、参加者の状況確認を目的としていた。従って、挙手数のカウント は行っていない。  1.ネットワークへの割り当てサイズと、追加割り振りの計算基準を分けること   について    形式に関わらず賛成:数名    LIRに完全に一任されれば賛成:過半数以上    どういうかたちであれ反対:数名     2.割り当てサイズについて    現状通り一律/48を継続:数名    複数の固定サイズからの選択肢を設ける:半数      選択肢も設けずすべてLIRに委ねる:半数  3.追加割り振りの基準となるサイズを/48→/56に変更することについて    賛成:数名    反対:数名    趣旨がよくわからない:過半数 10. 日本・世界の動向 10.1 第21回APNICオープンポリシーミーティングのご報告 (奥谷泉/JPNIC) [質疑応答] C. 4バイトASの実験用にグローバル4バイトAS番号の割り当てを受けたいと   思っているので、1月に申請をしたい。 C. IXを運用しているが、お客さんが4バイトAS番号を使うといえば、提供側   としても環境を用意しないといけないので、早急に割り当てを受けるし   くみがほしい。 C. テスト的な空間を用意してほしいと思う。そのような空間が用意されてい   なければ移行は難しい。 C. 外から経路確認をした場合に、パブリックの4バイトAS番号が使われてい   るかどうかを確認できる手段を設ける必要があるのではないか。 10.2 JPNICアップデート (佐藤晋/JPNIC) - 時間の関係上、発表は割愛させていただきました. -
11. まとめ 11.1 コンセンサス確認/まとめ (藤崎智宏/ポリシーWG チェア) [質疑応答] なし
閉会 16:55 以上