第17回JPNICオープンポリシーミーティング議事録
日時:     2009年11月26日(木)09:30-17:00
場所:     秋葉原コンベンションホール
出席者:64名

[■議事録について]
  - プレゼンテーション資料は別途掲載しております.こちらよりご参照ください.
  - ご参加いただいた方: 64名 (リモート参加: 集計中)

[■議題]
  1. JPOPM17 オープニング(I)

  2. JPOPMフォローアップ
    2.1 Action Item 確認(I)
    2.2 JPNICにおけるポリシー施行ステータス(I)

  3. APNIC28レポート(I)

  4. [提案] IPv6申請手続き簡素化提案への対応ついて(P)

  5. IPv6の実装のためのIPv4 /10空間の確保について

  6. APNIC Updae (I)

  7. RIRにおけるIPv4アドレスの枯渇に向けたポリシーのステータス(I)

  8. リソースPKIの動向(I)

  9. ポリシープロセスの変更について
    9.1 ポリシープロセスと移転提案について(I)
    9.2 [提案] RIRで施行されたポリシをNIRで実装する為の手続きの変更について(P)

 10. RIR ミーティングレポート
   10.1 ARINレポート(I)
   10.2  RIPEレポート(I)

 11. コンセンサス確認/まとめ

  (P) 提案事項
  (I) 情報共有を目的とした発表 


[■ 発表および質疑応答 (以下、Q. 質問、A. 回答、C. コメント)]
1. JPOPM17 オープニング (藤崎智宏/ポリシーWG) [質疑応答] なし
2. JPOPMフォローアップ 2.1 Action Item 確認 (藤崎 智宏/ポリシーWG) [質疑応答] なし
2.2 JPNICにおけるポリシー施行ステータス(奥谷 泉/JPNIC) [質疑応答] C. IANAからRIRにAS番号を配布する際のポリシーについても、2バイト/4バ イトを区別した分配をもう1年延長する提案が行われている。ただし施行 されるのは、2010年3月ぐらいになる予定。(ポリシーWG 藤崎) C. ポリシー上の記述は変えないが、運用上、2バイトを希望する組織には 2バイトAS番号を割り当てるようにする議論がAPNICでは行われているよ うだ。(JPNIC 奥谷) Q. 逆引きDNS のlame delegation 改善に関する取り組みについてだが、 lameと判定されている間は委任が停止され続けるのか。またlameであり 続けると、アドレスが回収されることはあるのか。(ポリシーWG 藤崎) A. lameと判定され続ける限り、委任が停止されたり、WHOISに「LAME」と表 示されることはあるが、アドレスの回収までは行わない。(JPNIC 奥谷)
3. APNIC28レポート (奥谷 泉/JPNIC) [質疑応答] C. 2バイトAS番号・4バイトAS番号を区別して申請できる期間に誤りがあった。 「(誤)2009年12月」→「(正)2010年12月」である。 ※掲載資料は訂正済です. Q. AS番号の分配ポリシーについて、2バイト/4バイトを区別した分配が1年 延長するとのことだったが、これから新たに分配を受ける人たちは4バイ トAS番号の分配を受けられないのか。 A. ポリシーの記載は変更する予定はないので移行は進めていただきたい。 運用上支障がないようにできるだけ配慮はするが、やはり区別した分配 が必要であれば、ポリシー提案をしてほしい。(JPNIC 奥谷) C. APNICでの実績によると、4バイトAS番号を分配したにもかかわらず、4バ イトAS番号が利用できないというケースが数多くあった。ただし、この まま2バイトAS番号の分配を行った場合には、在庫枯渇が懸念されること がAPNICのGeoff Huston氏より表明された。
4. [提案]IPv6申請手続き簡素化提案への対応ついて (奥谷 泉/JPNIC) Q. APNICとJPNICでは手続きが完全に一致しないと言うのはどういうことか。 (ポリシーWG 藤崎) A. JPNICでは、APNICにアドレスブロックを申請する必要があるため、完全 に手続きを一致させることは難しいと考えている。(JPNIC 奥谷) C. 日本においてこの提案を実施するメリットがよくわからない。APNICの中 でも発展途上国を意識した提案になっているのではないか。日本でこの ようなプロモーションを行っても意味はないのでは。 Q. この提案がコンセンサスとなった場合、影響を受ける(IPv6の割り振り を受けていない)指定事業者はどれくらいか。(ポリシーWG 藤崎) A. JPNICの場合、IPv6の割り振りを受けているのは、380指定事業者のうち、 99指定事業者いる。(JPNIC 奥谷) C. 現状のポリシーでも、要件を満たしていれば/32の割り振りが受けられる。 IPv6の割り振りを受けることがそれほど困難だとは思わないので、現状 でいいのではないか。 C. この提案はあくまでも手続きを簡素化するというもの。これまでIPv6の 割り振りを受けられなかった人が割り振りを受けられるというものでは ない。(JPNIC 奥谷) C. 申請手続きを簡素化するよりも、既存の割り振りの手続きをプロモーショ ンする必要があると思う。 C. この提案は時限的なものになるのではないかと思う。今はIPv6を普及さ せることが大切だが、数十年後にはIPv6も枯渇が懸念されるようになる かもしれないので、施行終了時期の見極めも将来的には必要だと思う。 ----------------------------------------------------- 採決:(母数:59) IPv6申請手続き簡素化に - 賛成 ・・・34 - 反対 ・・・1 ----------------------------------------------------- ■反対の理由 C. APNICとJPNICでポリシーを分ける必要はないと思うので、そこまで強く 反対はしない。 ■JPNICに求められる実装レベル C. 日本で言うと、地方の指定事業者にIPv6の利用が普及することが大切な のでは。IPv6が取得しやすいものになるよう、サポート体制の整備が重 要なのでは。 C. IPv4の割り振りを受けている場合には、追加で料金はほとんどかからな い。Web申請システムにログインしたときに「約3万円でIPv6アドレスの 割り振りを受けられる」旨を掲載するなど、現状の周知に力を入れたほ うがよいのでは。 [結論] IPv6申請手続き簡素化については、日本でも実施した方が望ましい。 ただし、システムの改造費用等の影響も考慮に入れ、最終的な実装方法は JPNICにお任せする。
5. IPv6の実装のためのIPv4 /10空間の確保について [質疑応答] ■本提案のねらいと複数の割り振りポリシーの存在への懸念 C. カウントダウンポリシーにおいて、IPv6を推進するために使用するIPv4 は優先的に割り振ろうという考えがあったが、「IPv6を推進するため」 という用途の線引きが難しいため、このような提案が行われているよ うだ。(JPNIC 前村) C. この提案ではIPv6実装計画を提出すれば、優先的にIPv4を割り振るとある。 IPv6実装計画の考案を推進するために、このポリシーを提案してきてい るのではないか。もっと他の手段でIPv6化を推進したほうがよいのでは ないかと思う。 C. この提案を実装すると、アドレスの割り振りポリシーが複数あることに なる。同じ時期に複数のポリシーがあるのは複数の評価基準があること になり、望ましくないと思う。また、計画の提出を求めるとのことだが、 計画を評価・検証する手段はなく、また複数回申請が可能な点も良くな いと思う。 C. ARINでは、IPv6のプロモーションのために同様のアドレスをリザーブす るという提案が通っているので、CNNICもこの提案を参照したのではない かと思う。また、割り振りポリシーが複数あることへの懸念や実装計画 の評価基準など、今日これまでに指摘されたような問題点はAPNICでも 議論に上がっていた。(JPNIC 奥谷) C. この提案には良いところ悪いところはあると思う。ただ、これまでIPv4 がなくなっても、IPv6からIPv4に到達できると考えている人たちが多かっ たが、ようやくその認識が改まってきたのではないかと思う。IPv6アド レスからIPv4のネットワークに到達するためにIPv4アドレスが必要にな ることに気づいたために行われた提案ではないかと考えている。もちろん 割り振りポリシーが複数あるのは望ましくないが、IPv4枯渇間際のポリ シーとしてはいいのではないか。 Q. カウントダウンポリシーだけでは不十分なのか。 A. カウントダウンポリシーは用途を確認せず/22を割り振るので、すぐにな くなってしまうのでは。IPv4が枯渇してはじめて、用途を確認してから 割り振ればよかったと皆後悔し、この提案の意義に気づくのだと思う。 まだ本当にIPv4がなくなったときのことについて、想像できていない人 が多い。 C. 個人的には反対。APNICにおいてすべて/22の分配を終わったあとも、 APNICの場合には/9前後が残るのだったと思う。ただし、その分配が終わっ たとあとのアドレスの分配については、この提案とは別にコミュニティ でも考えておいたほうがいいと思う。 C. APNICの直接の会員に分配すると/11程度が消費される、NIR配下のメンバ にも分配すると/10程度は消費されると考えている。(JPNIC 前村) C. RIR管理下のメンバ数が今後どの程度増えるかについても、予測をしてお く必要があると思う。たとえば、LACNIC管理下のブラジルのメンバ数は 爆発的に伸びている。このような状況では、最後の/8もすぐになくなっ てしまう可能性がある。APNIC管理下でも中国やインドがいるので、同様 のことが起こる可能性があると思うので楽観はできないと思う。(ポリシーWG 橘) C. もともとカウントダウンポリシーでも、最後の/8から割り振る/22はIPv6 への移行用とされていた。ただしポリシー上に明記されていないので、 提案者(CNNIC)は/22の用途を明確化するためにこの提案を行ったのだろ う。明文化されていなければ、好き勝手に利用する人が現れるという提 案者の懸念は理解してあげても良いと思う。 ■APNICミーティングへの参加について C. ポジティブでもネガティブでもコメントがあれば、ぜひ次のAPNICミーティ ングで主張していただきたい。NIRにはレジストリとしての立場もあるの で、JPコミュニティとしての意見表明を全てNIRに任せるのはよくないと 思う。(ポリシーWG 橘) C. APNICミーティングに来ていただけるに越したことはないが、仕事の都合 もあると思うので、ぜひMLでの議論に参加していただければと思う。 最近のAPNICのpolicy-sigのMLを見ても、アドレス移転の話などでJPコミュ ニティの方々が非常にいい議論の舵取りをしてくれたように感じる。 (APNIC 藤井氏) C. これまで出た意見は、次回のAPNICミーティングに参加するメンバの参考 にさせていただく。これ以外にも意見や提案者に対するフィードバック があれば、今後はMLに投稿していただきたい。(ポリシーWG 藤崎)
6. APNIC Update (藤井 美和/APNIC) [質疑応答] C. APROCOTについて。プログラム委員でルーティングセキュリティのパネル ディスカッションなどを企画中である。日本からの発表応募が現時点で 1件しかないが、IPv6など日本のコミュニティが先人的に取り組んでいる 分野もあると思うので、有益な情報があれば、ぜひ応募をお願いしたい。 締め切りは今月末だが、調整は可能。何かアイディアがある方は連絡し てほしい。「このような発表がしたいのだが」という相談も歓迎する。 (APRICOTプログラム委員長 吉田氏) C. 先日広島で行われたIETFでの議論を聞いていると、トランジッションメ カニズムに関してなど、日本のコミュニティの意識は非常に高いと感じる。 日本では当然と思われていることでも、他のAP地域の方にとっては重要 な情報提供となることもあるので、発表応募について重ねて皆さまお願 いしたい。(発表者 藤井氏) C. ミーティングの前半に、APNICのミーティングに出席することをおすすめ する意見が出たた。私もAPNICの仕組みを理解することで、JPNIC管理下 での資源管理業務について理解の幅が広がり、広くインターネット全体 が理解できるのではないかと思う。リモート参加の手段も充実している ので、ミーティングの雰囲気をつかむだけでもよい。言語の問題はあるが、 APNICはnon-nativeの人たちが多いので、それほど気にしなくてもよいと 思う。(APNIC EC 前村) C. 英語の聞き取りや会話に不安がある方でも、pptファイルの下の部分に あらかじめ英語を書いておいて、それを読めば問題ない。重要視される のは内容であり、発表方法ではない。英語が話せないことは障壁にはな らないと思う。(発表者 藤井氏)
7. RIRにおけるIPv4アドレスの枯渇に向けたポリシーのステータス [質疑応答] なし
8. リソースPKIの動向 (木村 泰司/JPNIC) (木村泰司/JPNIC) [質疑応答] Q. スライド10の「BGPの接続業務」とは。具体的にどのような担当者が行う 業務を想定しているか。ネットワークエンジニアなどオペレーション担 当者か、それとも契約締結業務など事務担当者か。 A. エンジニアではない人も利用する可能性がある。「BGPの接続業務」とい う用途を示しているだけで、利用者がエンジニアとは限らない。(JPNIC 木村) C. ここでいう「BGPの接続業務」とは、主に顧客に対して割り当てるアドレ スの確からしさ証明するために提示するといったケースではないか。 Q. オペレータ以外の人もリソース証明書を利用する可能があるということ だが、リソース証明書は将来的には誰が見ても分かる形式になるのか。 もしスライド5のような書式で証明書が提供された場合、分かりづらいと 思う。 A. その問題はRIPEでも指摘されている。国際的な動向についてはわからな いが、今回このような要望を担当者として承った思うので、JPNICで実装 する際は努力したいと思う。  (JPNIC 木村) Q. アドレス移転が施行された場合、リソース証明書も合わせて提供される べきだと思うが、この問題は1年程度で解決可能なのか。 A. 業務スケジュールを考えると、あと半年でリソース証明書をJPNICで正式 サービス化することは難しい。ただし、移転にリソースが必須とは言い 切れず、WHOISという手段もあり、APNICスタッフと議論しても決め手に 欠ける部分がある。(JPNIC 木村) C. RIPEやARINの動向を見ると、リソース証明書は提供されているが、実際 に利用されているかは不明。きちんと証明するものは必要だと思うが、 移転や枯渇と完全バインドする必要はないと個人的には思う。(JPNIC 奥谷) Q. WHOISはすでに誤ったデータが登録されていることがある。WHOISを信じ るのは少し不安な面もある。登録情報を正しくする仕組みはあるのか。 A. 正しい情報が提供できるよう努力したい。(JPNIC 木村)
9. ポリシープロセスの変更について 9.1 ポリシープロセスと移転提案について (藤崎 智宏/ポリシーWG) [質疑応答] なし
9.2 [提案] RIRで施行されたポリシをNIRで実装する為の手続きの変更について (橘 俊男/ポリシーWG) [質疑応答] Q. 発表資料のスライド4に「オープンポリシーフォーラムへ提案することへ の判断」とあるが、これは現在JPNICによって行われているのか。また、 実装可能であっても、JPNICで検討した結果JPOPMへ提案しなかった場合、 ポリシーに違反しないのか。 A. 特にペナルティはないので、JPNICで検討した結果、JPOPMへ提案しない というのは起こりうる。また、それを止める手段が現状のポリシーには ない。(ポリシーWG 橘) Q. 本件については問題点は2つあるように思う。1つはコミュニティのコン センサスの後、JPNICでの実装検討となるが、APNICで決まった提案につ いては、このプロセスが逆になること。もう1つは、APNICで決まった提 案については、JPNICには実装できる・できないの判断基準しかないよう に思うが、それがPDPからは読み取れないことである。JPNICにはJPOPMへ 提案する・しないの選択肢があるということなのか。 A. 本来であれば、APNICでコンセンサスとなった提案は全てJPOPMで議論さ れるべき。ただし現在のPDPでは、まずJPNICが実装すべきか判断すると 定義されている。問題を解決するアプローチは2つある。1つはAPNICで通っ た提案は、必ずJPNICがJPOPMへ提案するようにすること。もう1つは、APNIC でコンセンサスとなった提案は誰でもJPOPMに提案できるようにすること。 提案者は今回後者のアプローチで、この問題を解決しようしているのだ と思う。(JPNIC 奥谷) C. 作成後に気づいたことなので発表資料にはないが、「誰でも提案可能」 とポリシーを変更したい理由はもう1つある。提案者がJPNICに限定され なければ、APNICがポリシーを実装するプロセスと平行して、JPOPMでも 提案を提出して議論できるので、実装までの時間が短縮できる可能性が ある。(ポリシーWG 橘) Q. この問題における「JPNIC」とは何を指しているのか。 A. 「JPNIC事務局」を指す。(JPNIC 奥谷) Q. APNICでコンセンサスとなった提案を、JPOPMに提案するかどうかの決定 権が、現状ではJPNIC事務局にあるということか。 A. APNICにおいてもそれほど変わらないのでは。ただし、今回のアドレス移 転のケースでは、JPNICが移転を施行してほしいというコミュニティの意 見と移転の施行について慎重に判断すべきという組織としての判断の板 ばさみになってしまう点に問題がある。現在のPDPではこのような稀なケー スをカバーできていないということである。(JPNIC 前村) C. ボトムアッププロセスの観点で考えると、まずコミュニティで議論して、 その結果をNIRに渡すというのが、本来のコミュニティ姿だと思う。 (ポリシーWG 橘) Q. 「APNICでもそれほど変わらない」という意見があったが、JPNICの判断 によっては、コミュニティで議論できないこともある点は、大きな違い ではないか。コミュニティの意見を踏まえた上での判断と、そうでない 判断とでは大きく異なる。 A. 確かにそのとおりだが、JPNICで検討後に提案が出てくる場合、実装検討 後であるので、コンセンサスとなったら実装までがスムーズに行われる というメリットはある。ただし、問題によっては時間がかかってしまう こともあるので、それを改善したいということ。また、現在のPDPが今回 起こっている問題を考慮して作成されているかというと、そうではない と思う。現状に即した形で何とか運用でカバーできるようにしたいとい うことで、今回このような修正を提案をした。本質的には、APNICでコン センサスとなった議論はすべてJPOPMで議論されるべき。(ポリシーWG 橘) C. これまでの議論で分かるとおり、現在のPDPは好ましいといえない部分が ある。事務局としても、コミュニティに議論された上で実装判断するほ うが好ましいと考える。PDPに現状に即していない不備な点があれば修正 する必要があると感じると同時に、移転の提案については早急に議論を 進める必要があり、提案者はひとまず今回このような解決策を提案した のではないか(JPNIC 前村) ----------------------------------------------------- 採決:(母数:63) ポリシー提案はその種別を問わず誰でも行える様にする為のポリシーの変更 - 賛成 ・・・45 - 反対 ・・・2 ----------------------------------------------------- ■反対に挙手した理由 C. APNICが実施すると決定した事項について、JPNICが検討して提案するか どうかを決定していることが本質的に問題なのではないか。JPNIC以外の 人も提案できるようにすればいいと言うが、そういう問題ではないと思う。 APNICでコンセンサスとなった提案は、JPNICが責任を持ってJPOPMで紹介 すべき。一時的な運用対処ではなく、きちんとした形でPDPの変更は実施 していただきたい。 A. 本質的なPDPの改定を行うことが理想という点は、私も同じ意見である。 ただし、本格的にPDPを改定していた場合、ポリシーの施行が間に合わな いと思われるので、今回は一部改定を提案した。PDPには現状に即してい ない点や考慮漏れがあるが、それは今後修正していきたい。(ポリシーWG 橘) C. 微修正ではなく本格的に変更すべき。アドレス移転のようなケースが出 てきた場合、ポリシーWGがPDPで定義されているJPNICの役割を果たせば いいのではないか。 A. ポリシーWGはJPNICとは独立した組織であるので、JPNICの役割を果たす ことはできない。(ポリシーWG 橘) C. 今回のPDP変更は、JPOPMへ誰でも提案できるように制限を解除するもの。 これまでこの制限で不具合は起きていなかったが、今後のために解除し ておいたほうがいいだろとうということ。「JPOPMへJPNICが提案する」 となっていたのは、意図的ではなく、たまたまである。(ポリシーWG 藤崎) C. 誰が提案を行うかは問題ではない。APNICでコンセンサスとなった提案は 漏れなくJPOPMで議論できるようにしてほしい。 A. 理想はそのとおり。APNICでコンセンサスとなった提案をJPOPMに提案す る人を明確に定義すれば、ポリシー策定プロセスがスムーズになると思う。 今回の提案は理想的ではないかもしれないが、運用で何とかすれば、 JPOPMへの提案漏れは防げると思う。(JPNIC 奥谷) C. 運用対処は望ましくないかもしれないが、そこはポリシーWGが漏れが出 ないよう努力するので、ある程度はこちらに委ねていただきたい。 (ポリシーWG 橘) A. JPOPMへの提案漏れがないことが確約できるのであれば、問題ない。 Q. PDPの改定対象となる箇所をよく読むと、JPNICが実装するかどうかも含 めてJPOPMに提案するべきというようにも取れないか。 A. PDPの文章を読んで、どちらにも取れる場合、それは判断ができないとい うことになる。今回PDP改訂を行えば、この不明確だった点が明確化され る。(ポリシーWG 橘) Q. 「JPNICがJPOPMへ提案しなければならない」と変更すればいいのでは。 A. それではJPNICが実装可能と判断するのを待たないとJPOPMで議論ができ ない。実装まで時間がかかってしまうという問題がある。 C. 現状でも、JPOPFでのコンセンサスの後、JPNICが実装の可否を判断する ので、どちらにしても時間はかかる。JPNICの判断を聞きながら、JPOPM で議論するのが正しいのではないか。コミュニティで議論してコンセン サスとなっても、JPNICで実装しないと決定されることもあると思う。 JPOPMでの議論の段階でJPNICの意見を聞きたいので、JPNICの判断を待っ たほうがいいと思う。 C. PDP中の「JPNIC」という言葉には2つ意味がある。「JPNICが判断を行っ てもいいもの」の「JPNIC」はJPOPFとも読めるし、JPNIC事務局とも読め る。判断すべきである「JPNIC」が誰なのか明確化されていない。 C. それならば、「JPNICは、検討後必ずJPOPFへ提案しなければならない」 と書き換えればいいのでは。 [結論] 採決の結果の賛成多数も鑑み、本提案はコンセンサスとする。 ただし、PDPの改定については、別途案があれば提案し、 今後も継続して議論を行う。
10. [提案]JPNIC 管理下にあるIPv4アドレスの移転提案 (白畑 真/慶應義塾大学 SFC 研究所) [質疑応答] ■本提案が実装された場合の手続きとレジストリの立場 Q. NIRとしてこのポリシーを採用しなかった場合に、APNIC会員とJPNIC指定 事業者間の移転を認めるのか。Noであれば移転できないし、Yesであれば、 わざわざJPNICで何か決める必要はないと思う。 A. 「NIRが認める場合に限り移転する」とあるので、JPNICが認めない場合 には移転は認められないと思う。 C. JPNIC指定事業者とAPNIC会員に両方なることは可能なので、どうしても 移転を行いたければ(移転先になりたければ)、JPNIC指定事業者がAPNIC 会員になればよいのでは。 A. 現在のポリシーでは、1つのネットワークに対して複数のレジストリ からアドレス分配を受けるのは望ましくないとされている(JPNIC 奥谷) C. APNICのメンバーとJPNIC指定事業者相互間での移転は問題ないことを APNICミーティングの場で確認をしている。 Q. データベースを正しく登録することの責任を誰が負うのか。 A. 移転元/移転先において情報を正しくすることが契約で求められている。 今後新たに契約などを締結する移転先が、情報を最新に更新する必要が あると思う。(提案者 白畑氏) C. APNICでの移転に関する手続き案では、移転元/移転先から何らかの情報 を出してもらうことになるようだと聞いている。登録情報が不適切なため に紛争が起こっても、移転元/移転先の当事者間で解決してもらうことに なる。この方針は他のRIRでも同様。 (JPNIC 奥谷) C. APNICはprop-050を提案するに当たって、リソースの証明が重要になって くると考え、RPKIの検討も平行して進めている。ただし、データベース に登録されている情報が正しいという前提で提供するので、情報が正し く更新されていなかった場合の責任はAPNICでは負わないことになると思う。 (APNIC 藤井氏) Q. APNIC会員とJPNIC指定事業者との移転を許可する場合、APNIC会員である ことをJPNICが確認できる仕組みはあるのか。 A. APNIC会員は末尾が「JP」で終わるアカウント名を持っているので、たと えばそれが書面にきちんと反映されていることを確認すればよい。また 住所、連絡先などアカウントに関する情報が正しく登録されない限り、 APNICのアカウントホルダーとは見なされない。(APNIC 藤井氏) Q. 申請はAPNICにするのか、それともJPNICに行うのか。APNIC会員かどうか はJPNICでは判断できないのではないか。両者に連携が必要ではないのか。 A. APNICの手続き案では、アドレスブロックの返却と再割り振りということ を考えている。このうち返却までの手続きは移転元が責任を持ち、再割 り振りの手続きは移転先が責任を持つことになると思う。具体的な責任 範囲は今後APNICとJPNICで調整する予定。(JPNIC 奥谷) Q. 提案内容に「JPNICアカウント」とあるが、正確に「JPNIC指定事業者」 と記述したほうがよいのではないか。 A. 「JPNICアカウント」とは、JPNICの指定事業者とPIアドレスの割り当て を受けている組織を指している。指定事業者より広い意味、JPNIC経由で アドレスの割り振り・割り当てを受けている組織として、「JPNICアカウ ント」という言葉を使っている。指定事業者から割り当てを受けている 組織は対象外としている。(白畑さん) C. JPNICと直接契約関係にあるものが、移転の対象となる。(JPNIC 奥谷) C. JPNICとしては、移転を認めるか否かは日本国内のコミュニティの意思を 尊重したいと考えている。これまでの議論を聞いていると、賛成意見が 多いので、実装した場合の検討を現在進めている。DBに登録されている 情報に関する責任などは比較的軽い問題だが、税制に関しては大きな問 題ではないかと考えている。税制面に関しては、アドレスが資産と見な された場合、JPNICだけでなく、移転を行う予定がない指定事業者にとっ ても、影響を及ぼすことになると思う。もし皆さまの中に自社で検討さ れている方がいらっしゃれば、検討状況を共有していただけると非常に ありがたい。(JPNIC 奥谷) A. まったくアドレスの割り振りを受けていない指定事業者が発生すると理 解しているが、問題はないか。 Q. 問題ない。ただし、維持料は発生する。(奥谷さん) Q. この提案が通った場合、JPNICのアドレス料金体系はどのように考えてい るのか。 A. JPNICではまだ何も決まっていない。APNICでは、移転1件につき手数料を とる方向で考えているという話を聞いている。JPNICもできるだけAPNIC の方針に合わせる予定であり、移転によりアドレスの割り振りを受けた 場合は、PAアドレスと同じように維持料を取ることになると思う。(JPNIC 奥谷) C. 売買というよりは、双方が移転に合意する旨の書類を出してもらう、契 締結するというイメージを持っている。JPNICで実装する際も、この点を 考慮していただきたい。 ■prop-050をJPへ適用することについて Q. prop-050をそのまま日本語に訳して、APNICをJPNICに書き換えた場合に、 APNICのポリシーでは「APNIC会員間限定の」という記述がある。今回は、 APNICとJPNICの2つのシステムをまたぐことになるので、単純に書き換え ただけで不具合が出ないか懸念があるのだか。 A. 提案内容を見たところ、細部までよく考慮されており、単純な置き換え なっていないようなので、問題はないと思う。 A. JPNICでも移転の提案が実施することになった場合、正式なポリシー文書 をJPNIC事務局で検討することになると思うので、心配はないのでは。 C. 質問の補足をしたい。JPNICはAPNIC会員でもあるので、APNIC会員として のJPNICが、移転を希望するJPNIC指定事業者に代わってAPNIC会員と移転 を行えばいいのではないか。 Q. APNIC会員側に適用されるのはprop-050、JPNIC指定事業者側に適用され るのは今回の提案か。APNICの提案の細部をあまり変えてしまうと、かえっ て不都合が起きたりしないか心配だ。 A. 適用される提案については、認識の通りである。基本的には同じ内容で あり趣旨は変えないよう心がけたし、翻訳上の問題やあいまいなところ ははっきりするように努力した。(提案者 白畑氏) ■移転の条件について C. 移転制度自体は賛成。ただしIPv6対応用に使うなど、何らかの前提条件 を付けたほうがいいのではないか。たとえばIPv6対応にかかる費用が1億 円、IPv4アドレスを買えば300万円で済むのなら、皆IPv4アドレスを買う 方に流れるのではないか。 A. 確かに、そのような前提条件をつけるのもひとつの案だと思う。ただし この提案の趣旨は、アドレスの移転が行われても、レジストリデータベー スを正しい状態に保ちたいということ。前提条件をつけると、移転の取 り引きがレジストリの関知されないところで行われる可能性がある。 (提案者 白畑氏) C. 未割当のIPv4アドレスが全体の10%になったら、レジストリがキャンペー ンを行うという話がAPNIC 藤井氏の発表にあったが、お金を出せばIPv4 アドレスが手に入る状況では、誰もIPv6へ移行しないし、キャンペーン も無駄になるのでは。 A. 確かに移転はIPv6の普及を妨げるという意見もある。実際には、移転に かかる全ての費用とIPv6導入にかかる費用を比べて、安い方に流れてい くのではないかと思う。(提案者 白畑氏) C. 移転制度が実装されても、必要な数のアドレスが必ず手に入るとは限ら ない。移転元はアドレスを買うことだけでなく、アドレスが手に入らな かったときのことも考えておくだろうし、移転制度は実装されてもそれ ほど行われないのではないかと思う。 A. 現場レベルではそのように認識していても、経営者が同じように理解し てくれるとは限らない。たとえば、一般紙に「アドレスがお金で買える ようになる」と大々的に掲載された場合、IPv6移行という選択肢もある という現場の意見を理解させて説得することは難しい。また、IPv6の他 に、たとえばLSN導入もひとつの手段だと思う。 C. この先、どれくらい移転が発生するかも見えてない。マーケットの分野 はマーケットの人に、オペレーションの分野はオペレーションに委ねて、 インターネットは普及してきた。ポリシーがそこまで関わるべきではな いと思う。 C. IPv6とは絡めないでほしい。IPv6移行という想定がそもそも間違いだと 思う。IPv4+IPv6へ移行するだけ。 C. レジストリのデータベースに正しい情報を登録してもらうために、移転 に関してできるだけ制限を少なくしようというのが世界的な流れ。日本 で移転をする場合にだけ、細かな条件をつけても、受け入れられないと 思う。日本だけいろいろ条件をつけると、逆にそれが日本のインターネッ トの発展を阻害するのではないか。 ----------------------------------------------------- 採決:(母数:65) - 賛成 ・・・45 - 反対 ・・・1 ----------------------------------------------------- ■反対した理由 C. 課金された場合、課税がいくらになるのかを考えると、この場ですぐに 判断はできないため。 C. 「条件付で賛成」という選択肢があれば、挙手したかった。IPv4への延 命策、IPv6移行のためにのみ移転を認める、といった条件がついている のであれば賛成する。 C. いろいろ条件をつけてしまうと、ポリシーとしての機能性を著しく低下 させてしまうと思う。この提案はレジストリが保持する情報を正確に保 つ、という目的を達成するために、限りなくシンプルに考えられている。 レジストリも限られたリソースの中で業務を行っているので、IPv6移行 のために使われるのか確認をするにも限界がある。お気持ちは非常に 良く分かるが、他のRIRでも理解は得られているので、日本だけ条件をつ けてしまうのは不利になると思うので、ご理解いただきたい。(APNIC 藤井氏) C. IPv6を推進したいというわけではなく、目的はインターネットの継続的 発展である。IPv4アドレスが枯渇したときの救済策として、移転は必要 だと思うので、移転に反対という気持ちはない。 C. 移転は施行してみないとわからないが、先が予測できないことを理由に 移転を認めようという世界的な流れを止めるほど、強い反対ではない。 [結論] 採決の結果、賛成多数のため、コンセンサスとする。
11. RIR ミーティングレポート 11.1 ARINレポート (橘 俊男/楽天) [質疑応答] なし
11.2 RIPEレポート (奥谷 泉/JPNIC) [質疑応答] なし
12. コンセンサス確認/まとめ (藤崎 智宏/ポリシーWG) [質疑応答] なし