第22回JPNICオープンポリシーミーティング


議題

  1. JPOPM22 オープニング(I)
    1. JPOPM22 開会挨拶(I)
    2. 日本のポリシープロセスの紹介(I)
  2. JPOPMフォローアップ(I)
    1. Action Item 確認(I)
  3. IPv4アドレス移転に関する動向(I)
  4. RIR間アドレス移転提案(P)
  5. RPKIの動向 ー実装状況とIPアドレス利用や移転に関するRIPEでの議論ー(I)
  6. [提案022-02] JPNICにおけるアドレス移転支援について(P)
  7. [提案022-01] 返却されたIPv4アドレスの配布について(P)
  8. ITRの見直しについて(I)
  9. RIRミーティングアップデート(I)
  10. まとめ(I)
  11. 全体を通じてご意見・ご質問など

発表および質疑応答



1. JPOPM22 オープニング

1-1. JPOPM22 開会挨拶 (橘 俊男/ポリシーWG)

[質疑応答]

  特になし

1-2. 日本のポリシープロセスの紹介 (中川 あきら/ポリシーWG)

[質疑応答]

  特になし

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2. JPOPMフォローアップ

2-1. Action Item 確認 (橘 俊男/ポリシーWG)

[質疑応答]

  特になし

---------------------------------------------------------------------
3. IPv4アドレス移転に関する動向 (奥谷 泉/JPNIC)

[質疑応答]
Q. ARINでの移転状況が紹介されたが(スライド15)、在庫がまだあるにも関わ
   らず移転が活発なのはどのような理由があるのか。
A. 通常割り振りよりも大きい(24ヶ月分まで)アドレスを受け取ることができ
   るたためと聞いている。IPv4アドレスの在庫枯渇が近いARINから割り振り
   を受ける場合は、3か月分の需要を満たす分しか取得できない。(JPNIC 奥谷)
A. 北米地域では、破産法廷における資産の切り売りによるものが多い。以前
   話題になったノーテルからMicrosoftへの移転などもそうである。
   (APNIC Policy-SIG Co-Chair 山西氏)

Q. 破産した組織が24か月分を超えるアドレスを持っている場合には、ARINは
   どう判断するのか。
A. ARINが資産売却をブロックするのが難しいこともあり、審議の詳細につい
   てはグレーであると言われている。(APNIC Policy-SIG Co-Chair 山西氏)

C. ARINにおけるRIR間移転ポリシーの最新情報を補足すると、2012年6月13日
   にAC(Advisory Council)によって承認されている。ただし、実装が完了す
   るにはあと数ヶ月かかるらしい。(APNIC Policy-SIG Co-Chair 山西氏)

Q. スライド12の「JPNICアドレス」「ARIN/APNICアドレス」とは何か。
A. 移転をする前の段階で、元々どのRIRのデータベースに登録されていたか。
   何度RIR間で移転しても、元々ARIN/APNICデータベースに登録されていれば
   「ARIN/APNICアドレス」、元々JPNICデータベースに登録されていれば
   「JPNICアドレス」となる。(JPNIC 奥谷)

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4.RIR間アドレス移転提案 (橘 俊男/ポリシーWG)
   [提案021-02] JPNICの移転ポリシーにおける移転先、移転元要件の変更
   [提案021-03] RIR間アドレス移転提案 (prop-095 in APNIC)
   [提案021-04] 移転の際に、IPv4アドレス必要要件提示を必須とする提案
                (prop-096 in APNIC)

[質疑応答]

■本提案が実装された場合の審議について

Q. APNIC管理下のNIRと審議をする場合は、移転先の管理元となるNIRで審議が
   行われるという理解でよいか。
A. 詳細は確定していないが、そのようになると思う。(JPNIC 奥谷)

Q. 審議が行われる場合、IPv4アドレス在庫枯渇前と確認内容に違いはあるのか。
A. APNICはIPv4アドレス在庫枯渇前と同じように実施していると聞いている。
   ただし、これまで移転するアドレスサイズが本当に必要なアドサイズより
   大きかったことがなく、皆さんが懸念しているように審議が却下されたり
   承認サイズが減ったりしたケースはないということだった。(JPNIC 奥谷)

Q. [提案021-4]が通った場合の適用範囲を確認したい。JPNIC管理下に閉じた
   移転にも、この提案が適用されて審議が必要になるのか。
A. [提案021-4]はAPNICの提案(prop-096)をJPNICにも適用するかどうかとい
   う提案なので、これがそのまま実装されると、すべての移転申請において
   審議が必要になる。(ポリシーWG 橘)

Q. 前回のJPOPMでは、[提案021-4]が適用されると、JPNIC管理下の組織同士の
   移転申請も今後は審議が必要になってしまうという懸念があった。今回の
   提案では、この点は考慮されていないのか。
A. 提案内容は前回から変更していないので、考慮はされていないことになる。
   前回のJPOPMの結論は、同じ内容をJPOPM22(今回)で再度議論するということ
   だった。(ポリシーWG 橘)

C. ARINのRIR間移転ポリシーについての補足をすると、ARINでは、「同等の」
   ポリシーを持った地域にある組織との移転を認めている。JPNIC地域内では
   審議を行わない場合、ARINにJPNICは同等のポリシーを持っていると認めら
   れない可能性はある。つまり、[提案021-4]が通らない場合に、ARINが移転
   を認めない可能性はある。(APNIC Policy-SIG Co-Chair 山西氏)

C. 少なくとも元ARIN地域のアドレスについては、JPNIC内で移転をする場合に
   も審議をする、という要件を付けてほしいとAPNICからは言われている。
   (JPNIC 奥谷)

Q. 一部とは言え、審議なしの移転を認めていては、ARINに問題視されること
   はないか。
A. ARINが懸念しているのは、元々自らが管理していたアドレスが審議をせず
   に出て行ってしまうこと。元々ARIN管理だったアドレスを移転する際は、
   必ず審議を実施するようにすれば、ARINの懸念は解消されると思う。

Q. 審議で承認されず、移転できなかったアドレスはどうなるのか。
A. そのような懸念が他の地域でもあり、ARIN、APNICでは移転前に審議を行う
   という制度がある。審議の結果、移転できなかったアドレスは移転元に残り、
   それをどうするのかは移転元が判断することになる。(JPNIC 奥谷)

■審議において需要が認められる期間

Q. アドレス移転はビジネスの話として行われることが多く、/16を2年間で使う
   つもりで移転を受けている組織もあると聞く。ポリシーで1年分の需要を認
   めると決めることが妥当かどうかは、考えたほうがよいのではないか。
A. ARINでの審議では、2年分の需要が承認される。APNICでも同様に2年間分の
   需要としたいのであれば、ポリシー提案か事務局との調整が必要。(JPNIC 奥谷)

C. ARIN地域の状況を補足すると、ARINでも1年分と2年分のどちらがいいのかと
   いう議論がある。そこは各レジストリの裁量の範囲とARINは認識しており、
   もしJPNICが2年分にしても、ARINとの移転において問題にはならないと思う。
   また、APNICのポリシーにも「12か月」と書かれているわけではない。
   (APNIC Policy-SIG Co-Chair 山西氏)

C. ポリシーには明記されていないが、APNICによると事務局の運用判断で
   12ヶ月としているとのことだった。これはIPv4アドレス在庫枯渇前の審議も
   そうだったため。(JPNIC 奥谷)
   
Q. JPNICだけ24か月に変えることは可能か。また、ポリシーに明記されていな
   いということだが、24ヶ月にしたい場合は、ポリシー提案が必要なのか、
   それともAPNIC事務局と協議すればいいのか。
A. もしRIR間の移転において変えたいのであれば、ポリシー提案が必要と
   APNICは考えている。JPNIC管理下の組織同士であれば独自に変更すること
   は可能だと思う。(JPNIC 奥谷)

C. APNICのポリシーに期間が明記されていない背景を補足すると、1つはそれ
   まで審議はしない方向で進んでいたが、ARINが審議をしない地域との移転
   は認めないことが判明し、急な方針転換を行ったため、そこまで検討する
   時間が取れなかったことである。2つ目は、その時点ではARINが24ヶ月に
   することが分からなかったためである。ARINの情報が出揃った状況で、
   APNICもARINの基準に合わせたいと提案するのは、問題ないと思う。
   (APNIC Policy-SIG Co-Chair 山西氏)

Q. RIR間の移転とJPNIC内の移転とで、基準を分けることは可能か。
A. JPNICからの情報(*1)によると、可能であると言えると思う。(ポリシー 橘)

   (*1) 「3.IPv4アドレス移転に関する動向」の発表資料を参照のこと

Q. RIR間の移転に賛成したいが、「審議で認められるのが12か月分の需要」
   というルールには縛られたくない場合、どう対応すればいいのか。
   この後に挙手を行うと思うが、[提案021-02]と[提案021-03]に賛成、[提
   案021-04]には反対ということか。
A. [提案021-02][提案021-03]と[提案021-04]はセットでは。この3つの提案
   がすべて通さないと意味がないと思うが。
C. 「12ヶ月分」というAPNICの運用ルールさえ変わればいいので、たとえば
   JPNICにAPNICと交渉してもらうことはできないか。同じ様な意見の方も
   多いと思うので、挙手の際は「12ヶ月分」となっている以外は賛成とい
   う意見を汲み取れるといいのだが。
C. 「[提案021-04](APNICでのオリジナル提案)の内容を一部変更した上で賛
   成」という選択肢も作るので、そこに挙手してほしい。(ポリシーWG 橘)

C. 審議をするにしても、認められるのが1年分の需要のみというのは、ビジ
   ネスの現状を考えると納得できない。

■移転が難しいアドレスレンジ

C. 運用面を考えると、審議は行わない方がよいと考える。現在のJPNICの逆
   引き移譲システムでは、133/8は/16単位で逆引きを設定する必要があり、
   たとえば/16を2分割して/17のみ移転すると、133.xxx.0.0を保有する組織
   が、133.xxx.128.0/17を保有する他の組織の逆引き移譲を行う必要がある。
   さらに分割が行われると、さらに手間がかかることになる。

Q. 133/8はJPNIC管理下の組織以外には移転できないということか。RIR間移転
   を行う場合、日本からアドレスが出て行くことも考える必要があるが、逆
   引きなど運用面の事情で移転が難しいという理由は、APNICや他のRIR通用
   するのか。
A. 当面は対応に時間がかかっているという説明で大丈夫だとは思うが、未来
   永劫133/8はJPNIC管理下から出せないとするのは難しいのではないか。
    (APNIC Policy-SIG Co-Chair 山西氏)

■他のRIRやAPNIC管理下の組織の状況

Q. 他のAPNIC配下のNIRで、移転を行っているところはあるのか。
A. 台湾は施行する方向で検討中、中国、韓国は制限付きでOK、認めているの
   はインドネシア(IDNIC)のみという状況である。(JPNIC 奥谷)

Q. JPNICでは現在は移転支援をしていないが、他のNIRでは行われているのか。
A. それは聞いていないが、そこまで踏み込んだ検討はされていないのではな
   いかと思われる。移転に対して保守的な姿勢を取っていて、国内・国外に
   限らず移転に審議は必須と考えている組織が多いぐらいで、JPNICとはまた
   状況が異なる。(JPNIC 奥谷)

Q. APNIC会員は、ARINでポリシーが実装されればすぐにARIN管理下の組織と
   移転を行えるようになると思うが、どの程度のニーズがあるのか。
A. 少なくとも、中国やインドでは非常に大きな需要があると思う。インドの
   携帯電話ユーザー数は急激に伸びていて、今後もIPアドレスを必要とする
   サービスへの移行が予測されている。
C. 他のアジア太平洋地域の国々では、国内に比べてIPv4アドレスへの需要が
   高いという印象を受けた。国内ではまだまだ有効活用されていないアドレ
   スもあり、できることをやってから国外との移転を視野に入れてもいいの
   ではないかという気がした。

Q. prop-096([提案021-04])では、アジア太平洋地域の他のNIRとの移転が考
   慮されてないように感じるが。
A. APNIC配下のNIRは、APNICの対応に合わせることになるので、APNICと同レ
   ベルの審議が行われることになると思う。(ポリシーWG 橘)

C. 審議をしないという地域(レジストリ)が出てきた場合に備え、議論はして
   おくべきだと思う。ARINでも、開始当初は移転ポリシーは保守的にすべき
   という意見があった。(APNIC Policy-SIG Co-Chair 山西氏)

[コンセンサス確認]
  参加者総数:40 (関係者含む)

・提案[021-02]に

    賛成:38
    反対:0

    ⇒コンセンサス。

・提案[021-03]に

    賛成:27
    反対:2

    ⇒コンセンサス。

・提案[021-04]に

    賛成(オリジナルの提案):1
    条件付き賛成(JPNIC管理下の組織間の移転は適用対象外とする):25
    反対:2

    ⇒コンセンサス。
      ただし、JPNIC管理下の組織間の移転は適用対象外とする。

■今後の対応

[意向確認]
・需要確認期間を12か月→24か月とするためのアクションを取ることを希望:15
  (そのうち、JPNICがAPNICへの提案をすることを希望:5)

C. NIRであるJPNICが提案しても間違いではないが、本当にポリシーの変更を
   希望している方が提案するのが望ましいと思う。現地参加は必須ではなく、
   実際にSkype等でリモート参加する提案者もいる。
   (APNIC Policy-SIG Co-Chair 山西氏)

Q. リモートで提案できても、英語での発表や議論となると難しいので、JPNIC
   に提案してほしいと思った。変更を希望するがJPNICに提案することは希望
   しない人は、どう考えているのか。

Q. APNICへの提案にはまだ間に合うのか。
A. まだ間に合う。(APNIC Policy-SIG Co-Chair 山西氏)

C. 誰が提案するか、JPNICかポリシーWGかということではなく、もっとアドレ
   スの確保に向けて戦略的になるべきでは。本当にAPNICで提案を通したいの
   であれば、経験者など適切な方を提案者にして、自分を含め皆でバックアッ
   プするのがいいと思う。

C. この場で戦略を立てるのは無理なので、別途にチームを結成して検討すべき
   では。そのチームをバックアップするのはJPNICの役目だと思う。

C. APNICへの提案にあたっては、JPNICではなく日本のオープンポリシーフォー
   ラム代表として持っていけるとよいと思う。

[結論]

  今後の対応をポリシーWGとJPNICで検討する。


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5.RPKIの動向 〜実装状況とIPアドレス利用や移転に関するRIPEでの議論〜
(木村 泰司/JPNIC)

Q. RPKIは今後重要になってくると思う。その一方で、経路認証ができるとい
   うことは、経路のコントロールもできてしまうのではないかと懸念する声
   もあるが。
A. その懸念は認識していて、今後具体的な検討を行っていく。(JPNIC 木村)

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6.[提案022-02] JPNICにおけるアドレス移転支援について(藤崎 智宏/NTT)

Q. 返却を予定している組織(以下、返却予定者)と移転先になりたい組織
   (以下、移転先希望者)を、それぞれリストにして公開するという理解でい
   いか。リストに載せてほしくない組織への対応はどうするのか。公開する
   情報と公開しない情報は、明確に決めるべきでは。
A. この提案は掲載を希望する組織が対象で、掲載を希望しない組織は対象外。
   (提案者 藤崎氏)

C. ARINのように、ファシリテーター(ブローカー等)は載せないのか。移転を
   したくても方法が分からない人もいるので、ブローカーなど移転世話役へ
   のニーズはあると思う。

C. ファシリテーターを公開するメリットはあると思う。IPv4アドレスが欲し
   い移転先希望者の方が圧倒的に数が多いので、リストを公開すると移転元
   希望者に連絡が殺到する。小規模な組織は、その大量の連絡に対応できる
   だろうか。リストを公開するという単純なことだが、よく考えるとリスク
   があるのではないかと感じている。

C. この提案は、RIR間移転も視野に入ったものか。
A. まずは情報の公開が実現できればと思っていたので、考慮していない。た
   だ、公開された情報を見た海外の組織がコンタクトを取ってくることは考
   えられる。(提案者 藤崎氏)

C. 返却をする予定はないが、移転ならしてもいいという組織もいると思う。
   移転先を見つけたいが、自らの情報の公開は希望しないという話を聞いた
   ことがあるので、リストへの掲載は希望しない組織への対応も考えた方が
   いいと思う。

Q. リストには必ず掲載するべきものか、それとも希望組織からJPNICにリク
   エストがあった場合に対応すべきものか。(JPNIC 川端)
A. 後者を想定している。(提案者 藤崎氏)

Q. 返却希望者リストに、返却は希望しないが移転を希望する人も掲載して
   もいいのか。それともJPNICに返却申請があった組織をリストに掲載する
   イメージか。(JPNIC 奥谷)
A. 提案した当初はは後者を考えていたが、両方を対象にしてもいいと思う。
   (提案者 藤崎氏)

C. 返却希望者に連絡が殺到する混乱を防止するために、移転元希望者に返却
   希望者のリストを提供して、その中から選んでもらうという方法もあるの
   では。

C. 返却希望者と移転先希望者のマッチングを想定しているので、どちらか一
   方だけの情報を公開するのは、提案の趣旨と異なってきてしまうと思うが。

C. 返却を考えている人たちに移転制度が知られていないことが問題だという
   ことであれば、Web申請システムで返却申請を行う際に、返却の他に移転と
   いう手段があることを知らせるページを表示させるなど、他にも解決策は
   あるように思う。

C. 移転元希望者については、返却以外の手段があることが十分に周知される
   のであれば、リストとして公開しなくてもいいように思う。一方で移転先
   希望者は、広く公開されていた方がうれしいと思うので、どの情報を公開
   するかは検討する必要があるが、リストを公開してもいいと思う。

Q. この提案の目的は何か。JPNICにリストを作成して公開してもらうことで
   はないように思うが。
A. 返却を阻止し、今よりも有効にIPv4アドレスが利用されることが目的であ
   る。(提案者 藤崎氏)
C. IPv4アドレスが欲しいのは皆同じで、移転先希望者リストを作成したら、
   ほぼ全て事業者が掲載されることになる。その一方で、返却希望者は積極
   的に出したくない人もいると思うし、リストに出した組織に連絡が殺到し
   てうまく機能しないように思う。リストを公開することではなく、移転制
   度のプロモーションを行うのが今回の問題の解決策ではないか。もし情報
   を公開するのであれば、ファシリテーターのみでいいと思う。ただし、
   JPNICの中立性が問われる可能性があると思う。

Q. 返却希望者は代理人を登録可能にしてもいいのでは。
A. 匿名性を求めるのであれば、ファシリテーターを介してうまくやればいい
   と思う。

Q. 提案者は、ファシリテーターの公開についてどう考えるか。
A. 他の方も指摘していたように、中立性の問題でJPNICが対応するのは実際
   には対応することは難しいのではないか。(提案者 藤崎氏)

C. 返却希望者の代理で登録する組織とは、どのような組織を想定している
   のか。(JPNIC 奥谷)
A. 自らはアドレスを必要としないが、返却希望者と接点がありそうな組織、
   SIer等になる可能性が高いのではないか。ISPの場合は、代理になるくら
   いなら自分がそのアドレスを欲しいと思う。

Q. 募集方法等の具体的な実装は、今後どのように検討されるのか。
A. 細かいところは、ファシリテーターが考えて対応してもらったほうがいい
   と思う。

Q. JPNICに情報を取りまとめて公開してほしいということだが、コミュニティ
   はJPNICに何を期待しているのか。他にする組織がない、アドレスの一意性
   や適切なファシリテーターであること等を担保してほしい。(JPNIC 木村)
A. レジストリに期待するのは、アドレス一意性の担保のみである。アドレス
   管理ポリシーの都合上、ファシリテーターというサービスが成り立たない
   のであればJPNICが対応すべきだが、現状そうではないと思うので、ファシ
   リテーターに任せておいた方がいいと思う。

[コンセンサス確認]
  参加者総数:45 (関係者含む)

・提案[022-02]に

    賛成:3
    反対:5

    ⇒コンセンサスに至らず

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7.[提案] 返却されたIPv4アドレスの配布について (藤崎 智宏/NTT)

C. この提案はRIRにおける割り振りに言及しているので、JPNICの上位組織であ
   るAPNICに提案する必要がある。そのため本日この場では、この提案をAPNIC
   に提案することの可否を確認したい。(提案者 藤崎氏)

■割り振りサイズに関する確認

Q. 今回提案している「IPv4アドレス配布プール(*2)」からの割り振りサイズを、
   可変にしているのはなぜか。
A. 今後返却されてアドレスが増える可能性があるので、その場合に備えてい
   る。(提案者 藤崎氏)

   (*2) 「最後の/8」空間とは別に、返却されたアドレスをストックしておく
        プール。詳細は提案内容を参照。
      /opf-jp/opm22/p022-01-v1.html

Q. 「IPv4アドレス配布プール」からの割り振りは、1組織1回までか。
A. 1組織につき、その時点の割り振りサイズまで何度も割り振りを受けることは
   可能。そのサイズに達するまでは、何度も申請できる。(提案者 藤崎氏)

Q. 新規にAPNICの会員やJPNICの指定事業者になる組織は、「最後の/8」空間
   と「IPv4アドレス配布プール」のそれぞれから割り振りを受けられるという
   認識で問題ないか。(JPNIC 川端)
A. その通りである。(提案者 藤崎氏)
C. 申請担当者の立場では、割り振りサイズが可変なのは大変だという印象を
   持っている。(JPNIC 川端)
A. 公平な分配方法を考えたら、このような分配方法にした。よりよい案が他
   にあればいただきたい。

Q. 割り振りを受けられるサイズが減り続けた場合はどうなるのか。
A. 申請できないということではないか。(ポリシーWG 橘)
A. 提案にある方法で計算すれば、理論上は、割り振りサイズが減ることはな
   いと思う。(提案者 藤崎氏)
C. 提案の意図は理解したが、もう少し単純にした方がいいと思う。割り振り
   サイズを可変にするのであれば、申請時期によって差が出ないように、サ
   イズ変更後のことも考慮するしてほしいと思う。

C. 単純にした方がいいという意見に賛成。割り振りサイズを固定した方が公
   平になると思う。

Q. 大きなサイズの返却があるまで待った方が、より多くアドレスの割り振り
   を受けられるのか。
A. 「IPv4アドレス配布プール」から割り振りを受けられる上限は、どの組織
   も同じなので、そのようなことはない。

■「最後の/8」ポリシーと今回の再分配ポリシー

C. 「最後の/8」ポリシーは、将来ISP事業を始める組織のために確保されて
   いるもの。現時点で97%が未割り振りだが、すべての人がIPv6に移行する
   までずっと必要な空間であることを理解した上で議論してほしい。
   (APNIC Policy-SIG Co-Chair/「最後の/8」ポリシー 提案者 山西氏)

Q. 現在のポリシーではIANAに返却すべきアドレスも、「IPv4アドレス配布
   プール」で管理して再分配しようということか。
A. 逆引きの都合上、IANAに返却できるものと返却できないものがある前提で
   提案している。返却できないアドレスを、APNIC会員間で有効利用しよう
   ということ。(提案者 藤崎氏)
C. JPNIC管理下にも、逆引きの都合でAPNICに返却できないアドレスが/11+/12
   程度ある。この提案がAPNICでされた場合、JPNICでも同様のポリシーが施
   行でき、1指定事業者につき/20強の分配を受けられることになる。この情
   報も参考に、ご意見をお聞かせいただきたい。(JPNIC 奥谷)

C. IPv4アドレスの配布には、地域間で格差があると言われている。「最後の
   /8」ポリシーは、この格差を是正することを目指しているため、どの組織
   も一律/22の割り振りとなっている。これまでのニーズベースとは異なる
   思想で管理されている。発展途上国からは、これまでのRIRシステムによ
   る分配方法に疑問を呈する意見も出ていて、政治的な問題になりつつある。
   IPv4アドレスの入手という目先の目的だけでなく、長期的な観点で考えて
   ほしい。(APNIC Policy-SIG Co-Chair/「最後の/8」ポリシー提案者 山西氏)

Q. 「最後の/8」ポリシーの理念を考えると、この提案をAPNICに持っていっ
   ても、コンセンサスを得るのは難しいと思う。まずはJPNICの中だけで
   実施してみてはどうか。
A. 現在のポリシーでは、返却されたアドレスはすべて「最後の/8」ポリシー
   に基づき分配することになっている。ただし、皆さんの要望が多ければ、
   そのような対応ができないか、APNICに確認することは可能。(JPNIC 奥谷)

C. 現在のポリシーでは、返却されたアドレスはIANAまで返却する必要がある
   のか。
A. 返却できるものと返却できないものがあると聞いている。(提案者 藤崎氏)

Q. この提案のようなルールが定義されないと、IANAからAPNICに返却された
   アドレスが再分配されても、APNIC会員に再分配されずにAPNICに溜まって
   しまうということか。
A. 「最後の/8」ポリシーは、この空間からの割り振りが始まった後のアドレ
   スの分配方法を定義するためのもの。「最後の/8」空間、返却されたアド
   レス空間などとプールは分けていないため、そのようなことはない。未割
   り振り部分が多いというが、これは皆さんが新しく事業を興す場合も含め、
   将来ISP事業を始める組織を考慮したためである。「最後の/8」ポリシーが
   施行されて、アジア太平洋地域は約1年、他のRIRでは未適用である。
   「余っている」と判断するのは早すぎないだろうか。
   (APNIC Policy-SIG Co-Chair/「最後の/8」ポリシー提案者 山西氏)

C. APNIC会員数はNIR管理下の組織も含めて約4,000。これらの組織すべてに
   /22を割り振った場合、「最後の/8」空間の約4分の1が消費される。この
   ことや「最後の/8」ポリシーができた背景を考えると、「未割り振り部
   分が多い」と言い切れないことが分かる。一方で、返却されたアドレス
   をIANAに戻し、各RIRに再分配するグローバルポリシーは「返却された歴
   史的PIアドレスはは皆のもの」という、また別の力学で動いているのだ
   と思う。(JPNIC/APNIC 前村)

Q. 元々APNICが保有していたアドレスは、IANAに戻さないのか。
C. APNICがIANAに返却するのは歴史的PIアドレスのみ。それ以外のAPNICに返
   却されたアドレスは、APNICの在庫となる。(JPNIC 奥谷)

■今後の対応

C. 割り振りサイズの計算は置いておいて、まずは今後のIPv4アドレス分配方
   法を考えたいという趣旨でAPNICに提案するのであれば賛成したい。
A. 具体的な計算方法がないと、ポリシー提案にならないと思う。(提案者 藤崎氏)

C. 日本と他のアジア太平洋地域の国では、IPv4アドレスの在庫状況が異なる。
   また最後の/8ポリシーができた経緯を考えると、戦略を練って対応しない
   と、APNICに提案しても提案の趣旨を理解してもらえないと思う。
A. 日本以外でも、返却されたアドレスを有効利用したいという声があると聞
   いている。(提案者 藤崎氏)

C. これまでの議論を踏まえると、内容や今後の戦略を再検討して、次回の
   JPOPMで再度議論するのがいいと思うが。(ポリシーWG 橘)

C. どのような立ち位置でAPNICに提案するのかを考える必要があると思う。
   IPv4アドレスの再分配を世界的に検討したいのか、それともAPNICに返却で
   きないJPNICのアドレスを国内で有効活用したいのか。

C. 次回JPOPMはまだ先になるので、検討チームを作ってこの問題を検討する
   という選択肢もあると思う。そうなった場合は、JPNICも協力したい。
   (JPNIC 奥谷)

C. 返却されたアドレスの再分配については、国外でも新しく参入する事業者
   のために取っておくべきという意見がある一方で、別のポリシーで管理し
   て有効活用すべきという意見もあると聞いている。今後の対応を検討する
   上で、日本の皆さんの意向を確認してほしい。(提案者 藤崎氏)

C. 今後の対応を決める上で、検討チームの必要性についても、あわせて確認
   した方がいいと思う。必要だと思う人が多ければ、次回JPOPMまでにその
   チームで検討すればいいのでは。

[意向確認]
・検討チームを作ることに

    賛成:24

・返却されたIPv4アドレスの再分配方法の変更することに
  
    反対:7

  ⇒検討チームの結成など今後の対応を、ポリシーWGと提案者で検討する。

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8.(I) ITRの見直しについて (前村 昌紀/JPNIC)

[質疑応答]

Q. 「取り得るアクション」(スライド15)とあるが、我々は何をすべきなのか。
   ITRに書かれる内容によっては、ISP等が困ることもあると思うし、本件の重
   要性・対応の必要性は認識しているのだが。
A. 今回は情報提供を目的としているので、どうすべきかと問われると難しいが、
   まず取るべきアクションは、ITRのドキュメントを読むことだと思う。それを
   読んだ結果、対応が必要と認識したのであれば、各組織に必要なアクション
   を取ってほしいと考えている。皆さんがこの話題に興味を持ち、APNICカン
   ファレンス等の機会ごとに意思を表明していただくのが大事だと思う。
   (JPNIC 前村)

Q. ITRにおける意思決定プロセスはどうなっているのか。
A. WCITの議決でITRの改正が最終化し、施行に向けたプロセスが進むことにな
   ると思う。1国1票の多数決ベースではなくて、コンセンサスベースの意思
   決定となるという理解だ。(JPNIC 前村)

Q. 通信業界の企業に対して、本件はどれぐらい周知されているのか。また、
   経営層がどれぐらい関心を持っているのか。
A. 通信業界で関心を寄せており、声が大きいのは外資系企業のようである。
   意思決定がコンセンサスベースである点では、他の会議と同じであり、
   楽観的に捉えているのではないかと推測する。(JPNIC 前村)

Q. 万が一、今回説明したことがWCITで全部決まった場合、実際に通信事業者
   に影響を及ぼし始めるのはどれぐらいと考えておけばいいのか。
A. 現時点では不明である。判明したら情報提供していきたい。(JPNIC 前村)

Q. ITUのドキュメントはメンバー以外は入手できないという話があったが、
   現行のITRドキュメントには、誰でもリーチできるのか。
A. リーチできる。(JPNIC 前村)
C. 年間100万円ぐらい払えばITU-Tのメンバーになれるが、すべてのドキュメ
   ントにアクセスできるわけではない。上位組織のドキュメントにはアクセ
   スできないので、ITU-Tのメンバーになっても、WCITのドキュメントは参
   照できないと思う。スライド7にあるような特定のサイトから情報入手が
   可能な場合もある。公式なドキュメント入手方法がないのが現状である。
   (APNIC Policy-SIG Co-Chair 山西氏)
C. ISOCのWebページ(以下URI参照)に、ITRの改訂に関連する情報があるので、
   参考にしていただければと思う。
     http://internetsociety.org/itr
     http://internetsociety.org/wcit

Q. もう一つの問題点は、意見をインプットする方法が政府経由しかないこと
   である。日本の場合は、総務省のどの部署が担当になるのか。
A. 総務省国際通信戦略局国際政策課である。(JPNIC 前村)


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9.(I) RIRミーティングアップデート (奥谷 泉・木村 泰司/JPNIC)

[補足]
C. ARINのACは15名いる。ポリシー提案は誰でもできるが、実際にARINミーティ
   ングに諮り、当日発表をするのはACメンバーである。(ポリシーWG 橘)

C. 破産管財の観点から、AS番号の移転も想定されるのではないかという議論が
   ARINでは行われていた。(ポリシーWG 橘)

10.まとめ

[質疑応答]

特になし


11. 全体を通じてご意見・ご質問など

C. 次回のAPNICカンファレンスで、Policy-SIG チェアの改選がある。今回改選
   対象となるので、ぜひともご協力いただければと思う。投票権は会場に参加
   されている方すべてにある。(APNIC Policy-SIG Co-Chair 山西氏)