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第45回JPNICオープンポリシーミーティング議事録

2023年11月29日(水)14:00-18:15

司会:豊野 剛(JPOPF運営チーム)

1. JPOPM45オープニング

中川 あきら(JPOPF運営チーム)

[意見・質疑応答]

なし

2. [I] インターネットの番号資源管理教室

中川 あきら(JPOPF運営チーム/JPIX)

[意見・質疑応答]

C. 日本では、JPNICとは独立したJPOPF運営チームがJPOPFを運営している。
   数少ない成功例。APNICのポリシー提案に対するインプットを毎回行って
   おり、APNICから感謝の言葉をいただいている。このような場を維持して
   いくことは大切で、中立団体がNICに対してものを申していくことは大切
   なので、皆さんのご支援をいただいて継続していきたい(豊野)

Q. 海外からIPアドレスを購入すると、一部の動画サイトが見られなかった
   り、オンラインサイトで海外に飛ばされてしまったり、あまりきれいでな
   いIPアドレスが来ることがある。きれいかきれいでないかを確認する方法
   はないか。また、そのようなアドレスをクリーニングする方法はないか。

A. IPアドレス自体は無色なものだが、さまざまなデータベースに登録される
   際にgeolocation dataとマッピングされて地域の色が付くことがままあ
   る。国をまたいだ移転をした時にクリーニングをしたり、各DBへの登録を
   し直すことは必ず必要。特に動画サイトやCDN事業者さんではそういった
   地域情報と紐づけた運用を行っていることがあるので、各事業者と地道に
   連絡をとって対応していく、ということをしていた。JPOPM33で、苦労し
   てクリーニングをした話が紹介されていたのでご参考に(豊野)   

A. 時間によりある程度解決される部分がある。それを短縮するために様々な
   対応をしているとのこと(中川)

C. APNICの場合、geofeedというattributeやcountryというattributeを付け
   ることができる。JPNICでも有用だと思われたら、JPOPFでポリシー提案を
   してみてはどうかと思った

3. [I] インターネット番号資源ホットトピックス

谷崎 文義(JPOPF運営チーム)

[意見・質疑応答]

Q. IPv4アドレスの単価が下がっていることについて、どのように捉えている
   か。v6への移行が進み、価値がなくなってきたから価格が下がってきたの
   か、別の理由があるのか

A. 下がっているというよりも、コロナの時に先取りしてしまった、一巡して
   しまったたという印象がある(中川)

Q. 取りしたのなら、取引されている総量も減っているということか。そうい
   うデータもあるか

A. 取引の数が増えると少し時間をおいて値上がりし、数が減ると少し時間を
   おいて値下がりする傾向が今まである。今、取引の数が増えているので、
   もう少しすると値上がりするのではないか。先日オークション会社の方が
   京都にいらしたので、この傾向は正しいか尋ねたところ、相関関係がある
   という回答だった(中川)

A. 株の相場のように、今買っておいて後で転売すると儲けられるかもしれな
   いが、移転は大変面倒な手続きが必要なのでそんなに簡単にはいかない。
   どこかでみんなv6が使えるようになって、ある日突然IPv4アドレスは無価
   値になる可能性もあるので、気を付けた方がいい。IPv4が必要な間はお金
   をかけた取引は続く(豊野)

Q. ARIN地域でアドレスの転売で儲けて刑事罰を受けた人の罪状は詐欺罪か。
   ARINに対して損害を与えたということではないかという理解でよいか
   (豊野)

A. 詐欺と書いてあった気がする。申請内容が事実と異なっているというこ
   と。ARINに損害を与えたということではないと理解している(谷崎)

A. 資料10ページの「criminal referral」は検察当局に通告するという意味
   のようである。検察は訴追すると思うので、その方向に向けて働きかける
   ということ。「another service region」は他の(ARIN以外の)地域の意
   で、海外の検察当局に通報したので訴追につながるかもしれないというこ
   とのよう(前村)

Q. 例の人の話か(豊野)

A. 知っている人もそうだと言いにくいところがある(前村)

C. 関連する話題が後ほどありますので、お楽しみに(豊野)

4. [I] APNIC56フェローシップ体験談

飯田 陸斗(電気通信大学)

[意見・質疑応答]

C. APNICのポリシーSIGは淡々と進むことが多い。英語の壁も大きく喧々諤々
   ディスカッションするのが難しい側面もある。紛糾する場面を見られたの
   は貴重な機会だったかも知れない。ポリシーについても興味を持たれたと
   いうことなので、これからもぜひ関わっていってほしい(鶴巻)

C. インドの方の発言など、英語で何を言っているのか分からないところも
   あった。特定の人が繰り返し発言されているところも見られた(飯田)

C. 会場の雰囲気を作る人たちがいるので、見ていて参考になるところもあっ
   たと思う(豊野)

Q. JANOG52で今回のフェローシップを知ったとのことだったが、そもそも
   JANOGにはなぜ行こうと思ったのか(豊野)

A. JANOG52の長崎が初参加だったが、ネットワークエンジニアの就職につい
   て調べていた時に、JANOGを知り、学生が少ないので行くとちやほやされ
   ると見かけたので参加してみた(飯田)

C. 確かに、学生さんが来てくれるととても嬉しい。特にネットワークエンジ
   ニアリングに興味のある方でポリシー策定プロセスに興味を持っていただ
   いたことが非常にありがたいので、これからもどんどん参加してくださ
   い。応援しています(豊野)

5. [I] APNIC Update

中川 香基(JPNIC)

Q. リースについて、リースが禁止されるのが困る、という意見だったのか、
   リースの言葉の定義についての議論だったのか、どちらだったのでしょう

A. 自分がやっていることはリースなのかどうか、というようなことを気にさ
   れているようだった(中川香基)

Q. 割り振りを受けるのは大変だけど、ちょっとお金を払って借りている、と
   いうようなケースがたくさんあって、おそらくそれがリースに該当すると
   いうことだと思うが、それを禁止されたら困る、ということなのか

A. 聞き取れた部分と聞き取れなかった部分があるが、そこまでやってしまえ
   ば、確かにリースに該当するということなのだと思う。そのあたりを提案
   者としても困っていたと思う(中川香基)

Q. 提案者は文書の整理をしたいのではなく、本当にリースを禁止したいとい
   う趣旨なのですよね?

A. はい。あやふやなまま進んでしまっているので、そのあたりを詰めていく
   作業がないとコンセンサスには至らないだろう(中川香基)

Q. 反対したのはインドの方か。提案者はど知らの方か

A. 反対の中にはインドの方もいたが、他の方もいた。提案者はAPNIC地域以
   外の方で、ARINやRIPEでも同様にリース禁止の提案をしている(中川香基)

Q. 自社が割り当てを受けたアドレスを、ソリューション事業で実際に使用す
   るのはお客様となっているケースがある。それがリースに当たるのかと
   思ったが、実際にはどのような点を問題視ししているのか

A. 情報の集約ができなくなること。登録内容と実際の利用者の不整合が発生
   するので、それはよくないということで提案が行われている(中川香基)

Q. 禁止されると困るというのはどういう人達なのか

A. 短期間、月単位などでアドレスを利用するケースがある、という海外の
   ケースは聞いたことがある(中川香基)

C. JPOPM43のインターネット番号資源ホットトピックスでリースの話題を多
   く取り扱っていて、そちらを見ていただくと今のご質問がよく分かると思
   う。リースをやっている事業者さんはたくさんいて、短期でリースをして
   いる人がいる。日本人が「リース」と聞くとコンピューターや車のリース
   を思い浮かべるが、英単語でリースを調べると賃貸借契約を指していて、
   自分たちが思い描くリースと他の国のリースの概念がどうも違う。リース
   の考え方自体、各国の法律によって異なり、それもこの議論を複雑にして
   いる要因だと思われる。この辺りについてもJPOPM43を参照いただけると
   よいと思う(谷崎)

C. インターネットサービス事業者さんが自分のエンドユーザに割り当てた
   り、SIerさんがサブアロケーションするのと何が違うのか、ということだ
   が、金銭行為をもって短期間でやり取りをする、例えばSPAMを出す人が1
   か月だけアドレスを使うことを防ぎたい人がいて、一方でそれでビジネス
   をしている人もいるから、禁止されると困る人たちもいる。ポリシーと実
   態のギャップが生じているケースが存在する。日本のようにエンタープラ
   イズ事業者にアドレスを割り当てて管理責任割り当てた側が持つ、という
   のは昔からあり、それとは性質が異なる話だと思う(豊野)

C. アドレス分配の目標の一つ、経路の集成に反する、という側面もある
   (中川あきら)

6. [I] 割り当てサイズの変更ポリシーについて

鶴巻 悟(JPOPF運営チーム)

[意見・質疑応答]

なし

7. [I] APNIC56 "裏" Update

川端 宏生(JPNIC)・谷崎 文義(サイバー関西プロジェクト)

[意見・質疑応答]

Q. 前村さんは大変だったんですか(豊野)

A. ホストやネットワーク構築はお任せしていたが、30周年記念パネルをはじ
   め多数のセッションで登壇を依頼されて大変だった(前村)

8. [I] IGF2023フェローシップ体験

大谷 亘(慶応義塾大学)

[意見・質疑応答]

Q. 場違い感は否めなかったとあるが、具体的にどんなことがあったのか伺い
   たい(谷崎)

A. G7広島サミットもあってAIの話題が多くあったが、わりと技術を置き去り
   にして話が進んでいるセッションが進んでいると感じられることもあっ
   た。インターネット上でのガバナンスと技術はどのように結びつけるかと
   かどう捉えるかは難しい課題でもあるが、技術を置き去りにしてステーク
   ホルダとしての意見を述べられているように感じ、技術的なことを考慮す
   ると無理だと思うことがあった(大谷)

C. 学生の参加について、授業があって無理という人もいて、大学や先生を巻
   き込まないと難しいのかと思った(谷崎)

C. 参加したいけれども参加できない方の声は聞こえてこない。もしかしたら
   大学や企業の若手の方を掘り起こしていくといいエンゲージメントにつな
   がるのかもしれない(大谷)

C. 日本IGFタスクフォースで村井さん、江崎さん交えて最初に考えた時には
   techをもっと連れてこなければいけないという話だったが、それほど増え
   ていない。技術的に間違っていることについては指摘しなくてはいけな
   い。関連することとして、参加者の中にはIETFには市民社会からの参加が
   少なくて閉鎖的だ、という人もいる。IETFはオープンに作ったので入って
   こればいいんだよ、と言いたくなる。この意識のギャップの中にいろいろ
   なものが隠されているように思う。この辺りから対処していくのではない
   か(前村)

C. 技術コミュニティから参加していくことは大事だと思うが、そこに出て
   行って何かすることはあるの?という感覚。モチベーションがない。マイ
   ナスからゼロにする作業であって、ゼロからプラスにする作業ではないと
   感じている人はゼロではない。そこを考えない限り溝は埋まらないと思う
   (大谷)

C. 日本のプレゼンスが増えたとは言えまだ劣っている、というのはそうかも
   しれないと思うし、言いたいことがあって、有効なことが言える状況でな
   いとがないと発言するのも難しい。本当に分からないことがあって質問す
   るのがどれだけ議論にとって効果的かも分からない。議論に混ざっていく
   力をつ付けるのが重要なのかなと思う。国際会議に出るようになって20年
   くらい経つが、言いたいことがあって言うことができ、ダイナミズムの中
   で議論を回すことができるようになってきたのは最近である(前村)

9. [I] IGF京都2023を振り返る/10. [I] RIRは堅牢なのか: 対応は進んでいます

前村昌紀(JPNIC)

[意見・質疑応答]

Q. どちらもの話題も、インターネットが社会インフラとして認知されて、ロ
   ビイストや市民団体が参入してくる中で、テックチームが立ち上げてきた
   インターネットのボトムアップコミュニティが、どうやって迷惑をかけず
   に守るか、試行錯誤しているように見える。今に始まった話ではなく、
   2018年頃からインターネットシャットダウンの話などがあったと思うが、
   そこからの流れというのは脈々と続いていると考えればいいのか(豊野)

A. ウクライナ侵攻などもあった。スプリンターネットの話もあった。みな
   権能があることをやる。政府は法律を作り、事業者は自分たちの事業方
   針でやったりやらなかったりできる。技術コミュニティはOne Internet
   とよく言うが、どこにいたってインターネットが一つの基盤として動く
   ように行動する、その中でどうやって間に落ちたような問題に対処する
   かを考えた時、マルチステークホルダーが意味を持ってくる。即座に問
   題が解決するようなものではないが、様々な力を持っている人たちが集
   まって議論することが重要。バランスをどうやって考えていくか。技術
   コミュニティが足りないんじゃないかと思うなら強化するしかない(前村)
   
C. 正直、エンジニアリング側にいる人からすると、OPMでさえも少しレイ
   ヤーが高いと思われている。レイヤーが高い場にはどういうアプローチ
   ができるのか、こういう場から情報発信しないといけないのではないか
   (豊野)

C. できるだけこういった場で話をしていく。JANOG53でもセッションが通っ
   たので松崎さんと話す(前村)

Q. LACNICなどの他のRIRや、NIRは堅牢なのか(谷崎)

A. 聞く限りは目立った問題はない。中にいる人はいろいろと思うところが
   あるかもしれないが。JPNICは堅牢なのか。自分たちは一生懸命やってい
   ます。ポリシーはJPOPF-STの皆さんがやってくれている。IDNICからIGF
   へのメッセージを求められた際、RIRのようなスキームが動いていること
   がとても重要で、NIRもその一部だからがんばろう、IGFにそれだけ人が
   集まっているのはいいことですね、というメッセージを送った。問題が
   ある場合、あまり言わないとは思うが、今のところ聞こえてきて言える
   ものはない。ICANNが2016年にIANA監督権限の移管をした。政府もそれな
   ら頑張ってね、ということになったので、もし傷んでいたらすぐ対処し
   ないと信頼を回復できない。そう考えるとすごくオペレーショナルで、
   ネットワークをいじっているのと精神は同じだなあと思う(前村)

C. 現在、NRO NCを中心に新規RIRの設立に関わる文章(ICP-2)の読み直し、運
   用文章の検討、長期的にはICP-2の改定検討なんてのも進みつつあります。
   こちらも見ておきましょー

Q. JPOPFの運営チームは堅牢なのかな。買収されたりしないんですか

A. 買収したいと思われるような状況でないといけない。独裁・専横ができな
   いよう、ポリシー策定、メンバーの選任などすべての側面においてクロス
   チェックがロジックを組んでいる。全メンバーを買収すれば行ける(豊野)

C. Randy Bush氏の Social contructのプレゼンは非常に参考になる(前村)

C. DNSでも運用のステートメントを固めるようにという話があった。技術コ
   ミュニティが社会に対して何の責任を負っているのか、改めて検討してい
   かなければいけない(豊野)

C. 例えばJPNICの堅牢性についてはこの場でタスクフォースを立てるなどと
   いう話もできると思う。必要があればそういう話もできると思うので、
   ご意見をいただきたい(豊野)

C. 自分たちでは定款を定めてそれを固く守り、透明性を高めてやっている
   つもりだが、皆さんからお気づきの点は対処していかなければいけない
   のだろうと思う(前村)

11. [I] JPOPM45クロージング

中川あきら(JPOPF運営チーム)

[意見・質疑応答]

なし

以上

None: JPOPM45minute (最終更新日時 2023-12-22 13:05:58 更新者 jpnic)