--------------------------------------------------------------------------- [prop-050] --------------------------------------------------------------------------- 原文: IPv4 address transfers http://www.apnic.net/policy/proposals/prop-050-v003.html 概要: 以下の条件に基づき、APNICは今後IPv4アドレス移転の申請を認めて処理をする。 移転されるIPv4アドレスの条件: ・移転対象は/24以上のIPv4アドレスに限定 ・APNICが管理をしているアドレスが対象  (IANAからの割り振り+APNIC管理下の歴史的PI) ・APNICにてアカウントを持っている組織に分配されたアドレス ・歴史的経緯を持つアドレスも移転後は現行のAPNICポリシーの適用対象となる 移転元の条件: ・移転元の組織は既存のAPNICカウントホルダーであること ・移転元の組織は当該資源のステータスについて紛争に関わっていないこと ・移転元の組織は、移転後24ヶ月はAPNICから追加でIPv4アドレスの割り振りま たは割り当てを受けることはできない ・移転から24ヶ月後、移転元の組織がAPNICへ追加でIPv4資源の申請を行うにあ たっては割り振りを必要とする理由を証明することが求められる    移転先の条件: ・移転先の組織は既存のAPNICカウントホルダーであること ・移転先の組織は現行のAPNICポリシーの適用対象となる。特にAPNICへ追加割り 振り申請を行うにあたっては、移転を受けた資源も含め、分配を受けている全 IPv4アドレス空間に対して説明し、責任を持つことが求められる ・移転先の組織へ課金されるAPNICの料金は分配を受けた全資源に基づき算出される アドレス移転の手続き: APNICは移転元、移転先それぞれから通知を受けた後、アドレス登録情報の更新 手続きを進める。詳細は和訳参照。 移転手数料: APNICは移転手続きに対するサービス料を移転先に対して課金するする可能性が ある。移転手数料は移転されるアドレスブロックの合計サイズに応じて異なるこ とも想定される。詳細は和訳参照。 解決したい問題: RIRによる未割り振りIPv4アドレス枯渇後もIPv4の需要は継続し、それを満たす ためにISPはなんらかの手段でIPv4アドレスを取得する必要がある。その結果、 ISP間でIPv4アドレスの移転が行われるようになると考えられる。そういった移 転の情報をAPNICのデータベースに登録しないと、IPv4アドレスの分配状況を正 確に反映していない状態となり、アドレスの記録簿としてのAPNICデータベース の価値が減少する。 本ポリシーの対象範囲外の事項:   - 移転がどのように行われるのかの規定   - 移転そのもの、または移転の当事者に対するさらなる制約 メリット: アドレスの移転の存在を認知し、その結果を登録することにより、APNICのデー タベースが、資源および資源の保持者に関する正確な情報を今後も引き続き維持 することを確実にする。また、本提案は当該登録情報の正確性に依存している関 係者が今後もその情報の正確性に依存できることを確保する。 デメリット: 本提案は、IPアドレスがそれ自体は資産ではなく、貨幣価値を持たず、ネット ワークにおけるルーティングおよびエンドポイントの識別に利用するものである 等の、アドレスとその価値に対する従来の認識をいくつか見直すことになる可能 性を持っている。アドレスとその利用に関するこれらの共通認識を変更すること により、いくつかの反応が想定される: ・アドレスの強い経路集約機能が失われ、その結果としてルーティングシステム に対して負荷がかかる ・ポリシーの枠組みの下地となっている需要に応じたアドレスの割り振りモデル からの大きなシフトとなる ・会社法および契約法における、アドレスを資産として扱うことによる法的な影響 ・アドレスに対する税制の適用とその動向 ・アドレスの入手および利用に関する不公平、不平等感をサービスプロバイダが 実感する可能性がある 詳細は和訳参照。 適用対象: APNIC管理下のIPv4アドレス。NIR管理下のIPv4アドレスは対象外。