第13回JPNICオープンポリシーミーティング議事録 日時:2007年11月20日(火) 13:30-18:00 会場:秋葉原コンベンションホール会議室5B [■議事録について] - プレゼンテーション資料は別途掲載しております.こちらよりご参照ください. - ご参加いただいた方: 152名 (スタッフ含まず) (懇親会ご参加: 15名) - コンセンサス確認の際には,関係者が含まれます. [■議題] 1. オープニング 2. 前回までのフォローアップ 2.1 Action Item 確認 2.2 JPNICでのポリシー対応状況 2.3 ip-users ML アーカイブ設置提案 その後の報告 2.4 歴史的 IPv4 アドレス回収に関する状況報告 3. IPv4アドレス枯渇関連議論 3.1 IPv4アドレス枯渇に関するポリシー動向のご紹介 3.2 最後のAPNICアドレスプールの分配について 4. [提案] AP地域LIR共同利用IPv4アドレス空間の新設 5. [提案] IPv6 name server 運用の問題と対策 6. ポリシー関連動向(IPv4アドレス枯渇以外 6.1 世界のポリシー関係状況アップデート 7. 各種活動紹介 7.1 IPアドレス検討委員会報告 7.2 JPNIC審議申請に関するアンケートの集計結果 7.3 JPNIC認証局と経路情報の登録機構について 8. まとめ 8.1 コンセンサス確認/まとめ (P) 提案事項 (I) 情報共有を目的とした発表
[■ 発表および質疑応答 (以下、Q. 質問、A. 回答、C. コメント)]
1. オープニング (藤崎智宏/ポリシーワーキンググループ チェア) [質疑応答] なし
2. 前回までのフォローアップ 2.1 Action Item 確認 (藤崎 智宏/ポリシーWG チェア) [質疑応答] なし
2.2 ポリシー実装状況の報告(奥谷 泉/JPNIC) [質疑応答] なし
2.3 ip-users ML アーカイブ設置提案 その後の報告 [質疑応答] なし
2.4 歴史的 IPv4 アドレス回収に関する状況報告 [質疑応答] Q. 歴史的PIへの課金はいつ頃になるのか A. 現時点ではIP事業全体の料金の観なおshを2009年頃に予定しており、その 際あわせてPIアドレスへの課金も検討していきたい。実際の課金は早くて も2010年以降の実施になるものと考えている。 Q. /16の中で一部使っていない場合など、歴史的PIアドレスの一部返還はあり えるのか。 A. 現状では考えていないが、コミュニティの議論の中でそういったことが 求められるのであれば、検討する可能性もある。
3. IPv4アドレス枯渇関連議論 3.1 IPv4アドレス枯渇に関するポリシー動向のご紹介 [質疑応答] なし
3.2 最後のAPNICアドレスプールの分配について [質疑応答] Q. ホスティング事業者としてIPv4アドレスを優先的にほしいと考えたことはな い。それよりもIPv6アドレスの割り振り要件を満たしづらいことが、IPv6へ の移行の足かせになっていると考えている。 2年以内に200以上の割り当ては、小さな事業者にとってはハードルの高く、 IPv6へのスムーズな移行に向けたポリシーを検討してほしい。 A. この要件をそんなに厳格に運用しているわけではなく、基本的にはエンド ユーザに割り当てを行う事業者であれば割り振りを受けられるのではない かと考えている。(JPNIC 前村) A. 一方、これは世界的にはAPNIC地域のみで残っている要件である。APNIC24 では撤廃の提案されたものの議論は行なわれなかったが、撤廃に向けては 動き出している。(ポリシーWG 藤崎) Q. IPv6アドレスの分配をホスティング事業者が受けられば問題は解決するのか を逆にお伺いしたい。IPv4ネットワークが主流の場合でもIPv4アドレスの確 保は問題にならないと考えてよいのか。(枯渇期対応専門家チーム) Q. トランスレーターはクライアント側の対応は可能だが、サーバ側での対応が できないのでサーバ側ではIPv4がついていないと困るだろうと考えた。 (枯渇期対応専門家チーム) C. ネームベースであれば複数のアドレスを割り当ててスタティックNATを行な えば対応できる。 Q. ここで提示されている選択肢は、最後の「なにもしない」場合を除くと、適 用することにより枯渇時期は早まるとの認識でよいか。 A. その通りである(枯渇期対応専門家チーム) Q. 今回の発表の目的はなにか。 A. APNIC25で発表するために、各案に対する日本のコミュニティの感触を確認 したい。(ポリシーWG 藤崎) Q. サーバへの優先的な分配については個人的には原則否定的。個人宅のサーバ まで割り当てるのはやりすぎだろう。変換する箱をISP側で用意するべきで あって、サーバ側で対応するべき問題ではない。ただし、これを除いては、 どれかひとつの案を選ぶのではなく、残りの選択肢をすべて採用しても良い のではないか。 A. なんでも足りなくて不都合であればあげるということにしてしまうのでは なく、どうしても必要なものに対して線引きができればよいと思う。(JPNIC 前村) C. 工夫もせずにほしいという人に分配することを避けるため、単純に盲目的に 優遇するのではなく、新しい技術をとりいれる計画等を確認したうえで、割 り当てたほうがいい。 Q. 各案をとった場合の影響は分析しているのか。 A. 定量的に評価を行う必要があるので、現在は行っていない。(枯渇期対応専門家チーム) C. 参考までに、APNIC地域では、/21の割り振りが年間270件のペースで行なわ れており、これと同じペースで初回割り振りが続いた場合は30年程度もつ 計算になる。ただし枯渇後の申請ペースの変更等は考慮に入れていない。(JPNIC 奥谷) Q. 技術的にどうしても必要なところにIPアドレスを割り当てる方針には賛成。 ただし、適切なルールを設けないとすぐに枯渇してしまうだろう。 Q. トランスレーターネットワークについて、このネットワークはどのような ものか。必要であればもう少し明確にして欲しいともう。 A. IPv4/IPv6のトランスレーションをしてくれるネットワークをイメージし ているが、具体的な仕様については検討していない。(枯渇期対応専門家チーム) Q. JPNICとしてこのポリシーを実装した場合には、指定事業者への割り振りに なるのか。 A. そこまで具体的な検討は行なっていないがどの案を採用するかもよる。 例えば初回割り振りに限定した場合は指定事業者契約の締結を求めるがに なる形になると考えられる。一方、指定事業者を介さず、JPNICから直接 ネットワークへ分配する場合は、現在のPIアドレスの割り当て同様、同意 書や何らかの契約書をかわす形になるだろう。(JPNIC 奥谷) C. 個人的には4点目の、枯渇により技術的な問題が生じるネットワークへ分配 する案を支持する。 C. 企業ネットワークも含めて優先的に分配するのは範囲が広すぎる。ISPのイ ンフラに限定したほうがいい。 C. インフラに限定したとしても、お客様欲しいといわれれば事業者として は出さざるを得ないかもしれない。インフラ/ユーザの線引きを行なうのは 公正性を欠くので、納得はしにくいと思う。 一律分配基準を厳しくするのは仕方がないと考える。 C. 最後まで使い切ってしまうよりも枯渇後の問題に対応するためにある程度 のアドレスを残しておいたほうがいいとは思う。ただし、企業ネットワー クも含めてエンドサイトに分配するのは反対である。 C. どの案に対しても必ず抜け道が出てくると思う。どこかですっぱりあきらめ てIPv6へ移行したほうがいいのではないか。 C. 案に対して生じる問題をどのように解決するかを考える必要もあると思う。 C. 以前APNICに提出して通らなかった提案の条件を細かく定義して通そうと考 えているのか。また、細かく定義すれば通りそうな提案なのか。 A. APNICへ提出した提案はIANAからRIRへの分配方法を定義した提案である。 これはAPNICのアドレスプールをどう分配するか、というのを定義した別の 議論である。(枯渇期対応専門家チーム) C. 細かい点まで詰めたものではないので穴はあると思うがまずは選択肢を提示 して、APNICへの提案の参考にするためのもの。細かいところをつつきはじ めるときりがない。まずは方向性を決めたい。そもそもどの案もだめなら早 くその結論を出したほうがいい。(枯渇期対応専門家チーム) C. APNICの最後の/8はNIR/LIRに同じ数割り振りを行えばよい。そして、それ ぞれのNIR/LIRで決めればいい。しかし、この案をAPNICにもっていってもお そらく否決されるだろう。 C. どの選択肢でも想定外の問題が生じるだろう。全世界的にアドレスが同じよ うになくなることが重要であり、長期的、短期的な対策がそれぞれ必要。 Q. すでに指定事業者へ分配したアドレスに対するポリシーは変わらないという 認識でよいのか A. その通りである(JPNIC 奥谷) C. 誰が対象者であるのかがわかりにくい。そこを整理するとよりわかりやすく なるのではないか。 C. 回収によってまだまだ有効利用の余地があるだろう。 Q. スライドの中で、各案に対してついている○△×の背景となる考え方があれ ば教えて欲しい。 A. ×はこの方式を採用すると救われないということである。(枯渇期対応専門家チーム) [会場への意見確認] + なにもしない = 多数 + なんらかの対策をとるべき = なにもしないに及ばないが多数
4 [提案] AP地域LIR共同利用IPv4アドレス空間の新設 (新延 史郎/NTT) [質疑応答] Q 提案されているアドレスの利用方法として、LIRによるFirewallの提供をあげ るべきではない。LIRはの役割はむしろ、ユーザの通信をそのまま通すことで あると考えられる。 A IPv4アドレス枯渇後のLIRによるサービスイメージのひとつとしてこの言 葉を入れたが、これに固執しているわけではない。不都合があれば検討し ていきたい。(提案者) Q 提案に賛成するが、当該アドレス空間の逆引きゾーンはルートツリーに入れ ないというのはなぜか。 A 趣旨としては逆引きにおいてもプライベートアドレスと同じ状態にするた め、LIRのサーバよりも上位に逆引きゾーンをたどれないようにしたかっ た。ただし、ルートツリーに入れないことにこだわっているわけではな く、APNICのサーバでブラックホールと記述し、逆引きがそれ以上たどれな いようになっていればそれでもよい。(提案者) C 本アドレスの利用をAPNIC地域に閉じた理由は、現在のプライベートアドレス 同様、世界的に使えるようにするためにはRFC化が必要となる。それでは枯渇 までに間に合わないため、提案活動がアジア太平洋地域に閉じるよう、地域 内での利用に限定している(共同提案者) Q 当該プライベートアドレスは、個人ユーザ、企業ユーザに区別なく分配する ことを想定しているのか。企業ユーザであればサーバ構築のために引き続き グローバルアドレスを必要とすると考えられる。 A (LIRの裁量により区別して分配しても構わないが)提案では特に区別してい ない。当該アドレスをどう分配するかはLIRの裁量に委ねる事を考えてい る。また、このアドレスを利用しながら、LIR内でのグローバルIPアドレス を新規/既存のユーザへどう配分するかもLIRの裁量に委ねている。 Q このアドレスブロックをAPNICの管理下とした場合、IANAへ追加申請する際、 利用率に考慮されず、APNICにとって追加申請時の弊害になることはないか。 A おそらくAPNICとしては、この/8*2は割り当て済みとして追加割り振りを 申請するのではないかと考えられる。 A 現時点でAPNIC事務局から特にこの点について懸念は示されていないが確認 は必要。 Q この提案に伴う運用として、NATを2段以上にするメリット/デメリットについ て、明確にしておく必要はないか。もし課題が多ければIPv6への移行も検討 する必要も出てくるだろう。 A 2段NATに伴う課題もあると考えられるが、そこはあえて議論せず、枯渇後 の課題を検討するための時間を設けることが提案の趣旨。(提案者) A 2段NATの問題はアドレスの利用方法を指定することはアーキテクチャを指 定することになるという危惧は個人的にある。しかし、実際そういう使い 方をしているケースも存在しているため、そのためのアドレスをきちんと 定義したほうがよいという結論に提案グループとしては至った。 (共同提案者) Q 提案者の方々は、このアドレス空間が実装されると実際にこの空間を利用し たサービスを提供されることを考えているのか。 A グローバルアドレスを利用しないと一部アプリケーションで問題があるこ とは認識しているので、ユーザのニーズもふまえてオプションとしてこの アドレスを利用することを検討することになるだろう。実際、すでに既存 のプライベートアドレスでNAT運用は行なっている。(共同提案者) A 総務省やJPNICでまとめた案でもNATがひとつのオプションとして提示され ているため、いろんな識者が集まって検討した結果であることを考えると 実現性が高いと認識している。(共同提案者) C この提案のメリットはIPv6からIPv4へのトランスレーターの設置を不要とし ている点。このような機器は高価であるが、IPv4→IPv4のNATは安く実現でき る。また、NATによりグローバル:プライベートの変換比率を1:多にすること によりグローバルアドレスの節減効果も高い。(共同提案者) C 多段NAT用にはあった方がいいアドレスだと思います。/8×2 が必要か?とい うと・・。今使用しているグローバルを返してもらう、ということであれば そのくらい必要かもしれませんが、/8×1 もしくはもうちょっと少なくて も・・。(チャットからのご意見) Q /8*2が果たして妥当な数字かどうかを計る方法がない。数字についてはも うすこし議論が必要だと思う。 A RFC1918で規定されているアドレス空間は、/8,/16,/24であるから1以上 であることは確か。1より大きな次の整数として2を考えている。(提案者) Q 企業ユーザであれば/8*1であれば足りる。エンドユーザにとって関係のな い議論ではあるが、LIRに優遇するポリシーではないのか。 A ユーザに対して、(プライベートアドレスではあるが)IPv4の割り当てを 受けることができるので、延命策にはなると思う。 Q LIRが合併したときは、アドレスの重複等の問題が生じるのではないか。 A 現状のプライベートアドレスにおいても同じ問題は考えられるので、今回 の提案に限った話ではない。LIRで使う場合には配慮すべきであり、特に対 策は考えていない。(提案者) Q NANOG等でクラスEアドレスを今後グローバルアドレスとして利用する話が出 ているが、この用途にクラスEアドレスを利用することはないのか。 A クラスEアドレスはグローバルアドレスとして利用する場合、実装上の問題 がいくつかあるため、現在グローバルアドレスとして定義されているアド レス空間を利用することを想定した。(提案者) A 実装上の問題は、ルータのメーカが対応を進めるよりは、ユーザレベル で利用する機器のメーカが対応を進めていくのではないか。 Q アジア太平洋地域に閉じていることにより、枯渇を早める結果にならない か。他のRIRでも同じ用途のアドレスをそれぞれ設けようという動きが出ると 一度に/8×10が消費されることになる。そういうことも踏まえて最初からグ ローバルポリシーとして提案したほうが通りやすいのではないか。 A はじめはAPNICの空間として提案して、そのようなニーズがあれば他のRIR も同じ空間を利用できるようにすれば問題ないと思われる。 [コンセンサスの確認] + 採決の結果 全数:110 賛成: 87 反対: 1 挙手なし: 22 [結論, 今後の進め方] + 次回のAPNICミーティングにて提案する
5. [提案] IPv6 name server 運用の問題と対策 [質疑応答] Q. この提案の必要性が全く感じられない。どのようなネットワークを想定され ているのか。Pure IPv6 Networkを想定しているなら応援したい。 A. Pure IPv6 Networkを想定している。 Q. Pure IPv6 Networkであれば、IPv4/IPv6でDNSを分けて、PureIPv6 DNS Tree を作るべきである。IPv4のDNSに悪影響を与える。 A. まずはIPv4/IPv6で分けることが望ましいのか検証する必要したい。 C. 資料にはRootServerが含まれていないので含んでおいたほうが良い。日本に はM Root Serverがあるので、その状況も含めて教えて欲しい。 Q. この内容は誰に提案するべきなのか? A. まずは一度日本のコミュニティのコンセンサスを形成したうえで、今後の 提案策も含めて検討していきたい。 Q. この提案がコンセンサスに至るとどうなるか? A. この後をどうするかについて検討をする。有志を募って検討会を作ること も考えている。 Q. この話題を議論する場としては、ICANNが適切かもしれない。(JPNIC 前村) A. その通りだろう。最終的にはレジストリ/レジストラアグリーメントを書 き換えたり、ICANNとの契約を変えるとか壮大なテーマになるとも考えられる。(JPNIC 穂坂) Q. まずは取り組みを進めるのであれば、国内のM root サーバあたりから試し てもらうのはどうか。 A. IPv4/IPv6を分けるかどうかについては、IPv6 fixのメンバーと鈴木先生 で是非議論をしていきだきたく、実現を心待ちにしている。 A. 共存させるのであれば、それなりの覚悟が必要だろう。 [結論] + まずは議論を進めるため、採決をとる必要はない + 一度議論をする会を設け、提案としてかたまった場合ポリシーWGでコーディ ネーションを進める。それまでの対応は提案者が主体的に進める。
6. ポリシー関連動向(IPv4アドレス枯渇以外) 6.1 世界のポリシー関係状況アップデート [質疑応答] なし
7. 各種活動紹介 7.1 IPアドレス検討委員会報告 [質疑応答] なし
7.2 JPNIC審議申請に関するアンケートの集計結果 [質疑応答] なし
7.3 JPNIC認証局と経路情報の登録機構について [質疑応答] なし
8. まとめ 8.1 コンセンサス確認/まとめ [質疑応答] なし
以上