第15回JPNICオープンポリシーミーティング議事録

日時:2008年11月27日(木) 9:30 - 17:00
会場:秋葉原コンベンションホール

[■議事録について]
  - プレゼンテーション資料は別途掲載しております.こちらよりご参照ください.
  - ご参加いただいた方: 83名 (スタッフ含まず)
  - コンセンサス確認の際には,関係者が含まれます.

[■議題]
  1. オープニング(I)

  2. 前回までのフォローアップ
    2.1 Action Item 確認(I)
    2.2 JPNICでのポリシー対応状況(I)
    2.3 ip-users ML アーカイブ設置現状報告(I)
    2.4 「LIR共同利用IPv4アドレス空間の新設」状況報告(I)

  3. [提案]ポリシーWGにおけるco-chair設置の提案(P)

  4. 新gTLDの募集について(I)

  5. APNIC26アップデート(I)

  6. IPv4枯渇に向けたアドレスポリシーの動向(I)

  7. アドレス移転に関する議論(I)

  8. [講演]DNSSECの現状(I)

  9. [講演]経路情報の認証について(I)

 10. JPNICからの報告
   10.1 逆引きネームサーバにおけるlamedelegation改善に向けた取り組みについて(I)
   10.2 歴史的PIアドレス改修に関する現状報告(I)

 11. 各RIRの状況紹介

 12. まとめ
   12.1 コンセンサス確認/まとめ(I)


  (P) 提案事項
  (I) 情報共有を目的とした発表 


[■ 発表および質疑応答 (以下、Q. 質問、A. 回答、C. コメント)]
1. オープニング (藤崎智宏/ポリシーWG) [質疑応答]   なし
2. 前回までのフォローアップ 2.1 Action Item 確認 (藤崎 智宏/ポリシーWG) [質疑応答]   なし
2.2 ポリシー実装状況の報告(奥谷 泉/JPNIC) [質疑応答] C. ポリシー文書で記述されているIPv6アドレスの初期割り振り要件はわかりに    くい。もっとわかりやすく書いてほしい(ポリシーWG 藤崎) A. JPNICでも問題は認識しており、見直しを検討する(JPNIC 奥谷)
2.3 ip-users MLアーカイブ設置現状報告(中川あきら/ポリシーWG) [質疑応答] + なし
2.4 「LIR共同利用IPv4アドレス空間の新設」状況報告(中川あきら/ポリシーWG) [質疑応答] Q. 提案へ反対するコメントの多くは1回反論すれば解決するようなもののよう に見えるがIETF会場の雰囲気はどうだったか(JPNIC 前村) A. 会場ではコメントに応対する時間がなかったので、いただいたコメントに    ついてはML上で対応することを個人的には考えている(中川氏) Q. 今後なんらかのかたちでAPNICのフォーラムも活用することを視野に入れる    のも一案かと思う(JPNIC 前村) A. 了解した。具体的な方法についてはまた相談させてほしい(中川氏)  Q. IETFはオペレーションの実態とかけ離れた検討をすることになるのも残念な    ので十分に伝える必要があるように思う(JPNIC 前村)  A. IETFは技術的に必要かどうかを検討するところなのでオペレーションの事 情よりも技術的な必要性を強調をして理解を求めるのがよいだろう    (IETF参加者 藤崎氏)
3. [提案]ポリシーWGにおけるco-chair設置の提案(藤崎智宏/ポリシーWG) [質疑応答] Q. コンセンサスの判断で、co-chairとchairの判断が異なった場合にはどう するのか A. 議事進行を行うものは一人として、議事進行を行っているchair(co-   chair)の判断に基づくものとする。改定案の文書にはこの記述を追加す   る(ポリシーWG 藤崎) [採決] - 全数:70 - 賛成:59 - 反対: 0
4. 新gTLDの募集について(丸山直昌/JPNIC) [コメント] + gTLDの新設についてはだいぶ長い時間をかけて議論された珍しいケースで ある。12/11に開催予定のICANN報告会でもこの話題を取り上げる予定であ るので興味がある方は参加してほしい。
5. APNIC26アップデート(奥谷泉/JPNIC)  [補足]  資料訂正:以下2点の提案は、IETFで検討すべきものとして改めてIETFへ提案       され、IETFでの結論待ち。従って、APNICでの承認は保留としてい       る(JPNIC 前村)  事後補足:その後IETFで両提案ともRFC化された [質疑応答]  + IANAのホームページを見るとすでに表記はASPLAINに変更されているよう   で、あちこちで表記が統一されていないようである(ポリシーWG 藤崎)  + ASPLAINは既に施行されたわけではないのか。JPNICのAS番号リストがまだ   ASPLAINに書き変わってないが、これはまだASPLAINが施行されていないため   か。   - ASPLAINはまだ正式にフォーマットとして承認されたわけではない。従っ    て、JPNICのAS番号リストの書き換えもまだ行っていない。対応時期はシ    ステム対応が完了する時期にも依存する(JPNIC 前村)  + ASDOTからASPLAINに変更された時に、ASPLAIN変換後のAS番号をJPNICから通   知してほしい   - どなたかに公共で提供していただけることを期待したい(JPNIC 前村) + IANAからRIRから割り振られるAS番号の範囲はどうなるのか。地域ごとのAS   番号の範囲がわかりやすいのでありがたい。   - 現時点ではなにも決まっていない。今後決めるつもりがあるのかは不明だ    が、そのような要望があることはりょうかいした(JPNIC 前村) + 歴史的PIの効率的な利用方法の提案の施行対象となる歴史的PIの定義は何か。 - APNIC/JPNICとの確認書締結の有無に関わらず歴史的PI全てを対象として    いる。どのように確認をするかは今後詳細を詰めることになっている。 + 提案としては区別をつけないとしているかもしれないが、実質的には確認書   を締結していない組織は本提案の適用となることを逃れる余地がある。適切   な手続きをとった組織が不利益を被る事態とならないよう配慮してほしい。   - できるだけそのような事態を避ける運用を検討していく(JPNIC 奥谷)   事後補足:歴史的PIアドレスの分配を受けている指定事業者で、確認書締結        の意思確認できていない組織は現時点ではない段階まで、確認作        業は進んでいる + 歴史的PIを持っている組織が追加割り振りを受ける場合には、その歴史的 PIはまったく別の用途で利用しているので、割り振りの需要に含めること はできないと運用上は厳しいと思うので配慮してほしい。 - JPNIC内部ではその点も配慮した運用をする方向で検討は行っている。今    後APNICとも調整のうえ、最終的な審議方法をかためる予定(JPNIC 奥谷)   - スライドp.xであげた以外にも、本提案の施行にあたり、APNICへ確認すべ    き点があればお聞かせいただければと思う(JPNIC 奥谷)
6. IPv4枯渇に向けたアドレスポリシーの動向(奥谷泉/JPNIC) 6. IPv4枯渇に向けたアドレスポリシーの動向 [質疑応答] + 認識共有のために補足したい。 本提案はAPNIC管理下のアドレスにおける移転を対象としている。   APNICで施行されたからといって必ず施行しなければいけないということで   はなく、JPNIC管理下のアドレスについては別途JPコミュニティで判断して   よい。(Geoff Huston)
7. アドレス移転に関する議論 [質疑応答] + 移転は認めざるを得ないと考える。闇取引が流通する前に早く対応すること   が重要であり、次回のAPNICミーティングで提案を通すべき。  + 移転元は移転後24ヶ月APNICから割り振りを受けることができないとの要件   があるがこれはどのような懸念への対策なのか。 - 移転を目的としてAPNICからIPv4アドレスの割り振りを受ける人が出る ことを防ぐため。(Geoff Huston) + APNICはデータベースの整合性さえとれていれば何度APNICから割り振りを受   けようと懸念する必要はないのではないか。 - 24ヶ月期間をおけば、APNICのIPv4アドレス在庫が枯渇し、APNICから分配    すべきアドレスがなくなっていることを想定してつけた条件である。    (Geoff Huston)  + RIRはアドレス取り引きの仲介をせず、市場原理にゆだねるということだ   が、登記所などはトラブル回避のため、市場の専門家の意見を聞いて運用し   ている。アドレスでも同じく適切な取り引き所との提携は必要ではないか。    - 取り引き市場を提供する機能と登記所の機能は異なる。     登記所の信頼性を保つためには、取り引きの提供とは独立していること     が望ましい。 また、取り引き市場はその性質上、モノポリーではないため、APNICがそ     の役割を独占することにより独禁法に触れるリスクがある。     (Geoff Huston)  + APNIC自身が市場取り引き機能を提供する必要はないが、市場取り引き機    能を提供する組織が適切なサービス提供することを保証してほしい。 - 株式取引市場でも、株が正しいことを証明して金銭をやり取りするとい うこともある。資源に対して証明書を発行して、その証明書が正しいこ と確認できる仕組みを考えている。仲介人はそれを利用してバイヤーとセ    ラーを確認することができる。取り引きの中で証明書が具体的にどう利用    されるのかはこれから検討しないとわからない。(Geoff Huston)  + アドレス自体の信頼性を提供できることは理解した。ただ、取り引き市場が 適正な運営されているのか判断できない。それをAPNIC等が保証してほし   い。 - 取り引き方法、取り引き市場にはさまざまなものがある。APNICが特定の     方法/市場を推奨することは難しい。APNICができることは取り引きされ るアドレスが正しいものであることを、証明書の発行により保証するこ     と。(Geoff Huston)  + 取り引きが正しい価格で行われていることを確認する仕組みがほしい。 + このポリシー提案がどれくらい期間有効なのかまずは議論をしたい。適用   して3ヶ月程度で有効ではなくなるのであれば適用する意味はない。 - IPv6の完全移行が行われるまでは移転は必要とされると考えられ、3ヶ月    で移行が完了する可能性は非常に低い。    ネットワークの性質は相互依存であり、自分だけIPv6を対応しても、通信    先が対応していなければIPv4の運用を維持せざるを得ない。そして、莫大    の数のインターネットユーザをすべてIPv6にリナンバするにはコストと時    間がかかる。(Geoff Huston) - 移転される対象のアドレスは、APNICのDBに正しいものとして登録され ている。これを正しく契約が締結されている組織に移転するものなので そのような懸念は解消されるのではないか。今回の提案は、APNICにカ ウントを持っているものを対象としている。(Geoff Huston)  + 先にレジストリにアドレスを登録してからではないとルーティングがされな   い仕組みを作らないとまずいのではないか。その点も管理したうえで取り   引きを認めないと問題が起こるのではないか。   - 移転される対象のアドレスはすべて既にRIRのデータベースに登録されて    いるものであり、正しく契約が締結されている組織に移転するもの。従っ    て登録されている情報はすべて信頼してルーティングを行えるアドレスで    ある。(Geoff Huston) + ルーティングにあたって資源証明書を利用することにより懸念には対応で    きるのではないか。 + アドレスの価格が大きくあがる可能性もあり、透明性の確保されない市場で 取引が行われるのであれば反対。 - 市場のメカニズムの原則は、透明性が確保されていてオープンであるこ とだと考えている。アドレスの取引の記録はAPNICでも取引所でも公開 されるべきであると考えている。    - すべての問題をすべてアドレスポリシーで対応できない。移転には公共     政策、経済的な側面からの検討等、多岐にわたった検討が必要。その中 でレジストリとしてはレジストリとしてできることをやる。そして、レ ジストリとして、保証すべき点は一意性、とアドレス利用者の情報提 供。これは登記所として必要な役割だが他の要素についてはその道の専 門家に委ねるべき。(Geoff Huston) + アドレス移転はそれぞれの企業が効率的に利用して余剰となったIPv4アドレ   スを取引するものである。24ヶ月かけて生産してきた余剰となったIPv4アド   レス空間を取引すると考え、排出権取引と同じと理解すればよい。 + 事業者によって事情は異なるため、アドレスの取り引きにAPNIC/JPNICが関   わることには反対。JPNIC/APNICには他でアドレスが使われていないことを   保証し、アドレス利用の履歴を確認できる機能の提供を期待している。 - 資源の正当な割り振り/割り当て先なのかを証明するものとして、APNICで    は証明書を発行している。 + IPv4アドレスの利用者保護が気になる。取り引き市場に委ねるということだ   が、何らかの規制はあったほうがよいと思う。国レベルの規制は設けた方が   よいのではないか。 - 考え方に賛成だがAPNICポリシーは国に対する強制力はない。 - 提案では、APNICをはじめとするレジストリでは最低限のルールだけを決 定し、(規制の必要性等)その他の要素については必要に応じて専門家が整    備できるようにしている。(Geoff Huston) + 政府レベルでの議論となるとすると、ITUで議論する問題になるのではない   か。それが望ましいということではなく、そのようなことになることを懸念   している。    - 政府が関わるべきということはポリシーで述べていない。個々の政府の     判断に委ねている。(Geoff Huston)    + 歴史的PIアドレスなどについては割り当て先を騙して利用する組織も出てく   るのではないか。それを防止するため、例えば第一段階ではISP管理下のア   ドレスのみを対象とするなど、段階を踏んで実装してほしい。 - 懸念は理解できるが、誰に先に移転を認めるべきかは難しい。APNICと契    約締結をした組織であれば移転できる誰でも仕組みとしたほうが公平であ    る。(Geoff Huston) + 金銭的なインセンティブを提供しながらもIPv4アドレスをレジストリで一度   回収したうえでアドレスの分配調整をすることも選択肢の一つとして考えら   れる。移転を認めるべきか、その他の方法がよいのかをあわせて検討したう   えで、移転提案について議論できればと思う。(JPNIC 前村) - 需要に対して供給が非常に少ない場合において誰にどう分配するのかは非    常に難しい問題であり、最適解がない。   - 回収再分配はレジストリが分配先を選定することを意味し、判断に不満に    感じた人による訴訟リスク等の問題も考えられる。そのようなリスクを回    避して、必要なところにIPv4アドレスを引き当てるための方法の一つとし    て移転を提案している。(Geoff Huston) + いくつかのRIRで議論が進められているとのことだが、かなり仮定として RIRを超えたIPアドレスの売買も考えられなくはないとは思うが、その点 については何か考慮されているのか? - RIRの中での移転はある程度想定され議論が行われているが、RIRをまた ぐ移転についてはまずはRIR内での移転が認められないとそもそもの議 論にはならないと考えている。(Geoff Huston) - ポリシーを作る単位としての地域内でまずは移転を認めるかという議論 を行うべきで、そのあとに認められた地域間で移転するかどうかについ て議論を行ったほうがよいと考えている(Geoff Huston) + この提案を早く実装されるべきであると思う。IPv4のネットワークが衰退 するまでには移転の問題が続くと思う。基本となるルールを作ったうえで 細部を専門家で詰めていくような進め方にすればよいのではないか。 + 移転はIPアドレスの割り当て先間だけではなく、実際にアドレスを運用し ている指定事業者間でも起きると思う。RIR内に閉じるだけではなく、他の RIRをまたぐようなケースも出てくると思う。条件をアカウントホルダー に限定するだけではなくて、そのアカウントホルダーの配下までに広げる など検討の余地はあると思う。 - 一度にすべてのことをやろうとすると10年ぐらい長い期間がかかってし まう。範囲を徐々に広げて行きたいと考えている。 - 今回の提案はAPNICのアカウントホルダー間の移転について取り決めた ものである。JPNICの指定事業者/割り当て間の移転についてはJPNICの オープンポリシーミーティングで決められたものであれば、JPNICは実 装勧告に基づいて実装することになると思う。また、日本のコミュニ ティについては実装しないという選択肢もある。(Geoff Huston)
8. [講演]DNSSECの現状(藤原和典/JPRS) [質疑応答] + JPRSでの対応状況はどうなっているのか   - 詳しくは答えられないが、対応に向けて準備は進めている。    (JPRS 藤原氏) + 逆引きでも対応が必要だと考えていいか?(藤崎) - そのように理解している。まずはルートから対応してから今後検討。(JPNIC、前村)
9. [講演]経路情報の認証について(木村泰司/JPNIC) [質疑応答] + 特になし
10. JPNICからの報告 10.1 逆引きネームサーバにおけるlamedelegation改善に向けた取り組みについて [質疑応答] + 特になし
10.2 歴史的PIアドレス改修に関する現状報告 [質疑応答] + 特になし
11. 各RIRの状況紹介   時間の都合上、発表割愛。概略のみ司会者より紹介,質疑応答なし.
12. コンセンサス確認/まとめ (藤崎智宏/ポリシーWG) [質疑応答] + IPv4枯渇に向けて、インターネットコミュニティ全体が協力して解決してい   くことが非常に重要となる。APNICのポリシー策定プロセスにも是非参加して いただきたい。ミーティングの参加は難しいと思われるが、MLでも参加可   能です。次回のAPNICミーティングは2月開催される予定。
以上