企業ユーザがインターネットを利用する際に複数のISPを用いて インターネット接続を行ういわゆるマルチホームのニーズは, インターネットをビジネスに活用している企業を中心に根強く 存在する.現状のIPv4では,BGPによる方式,あるいはアドレス 変換(NAT)による方式などで実現していることが多い. しかしながら,IPv6においては経路表膨張の懸念から原則として プロバイダ集約型のアドレス(PA)しか割り当てておらず,また 企業などのユーザは割り当てられたアドレス空間を別のプロバイダ から広告することが許されていないため,BGPを用いたマルチホームが 困難となっている. またIPv6ではNATをしないことが前提となっているため,NATによる マルチホームも困難である. さらにIPv6で特徴的と思われる,複数プロバイダから割り当てられた 複数のアドレスを使い分ける方式も,企業から見て使い勝手がよいもの とは言いづらい. そのため,マルチホームを必要とする企業などのユーザ向けに, プロバイダ非依存なIPv6アドレス(PI)を割り当てることを提案する. PIを割り当てることで,ともすればIPv6のビジネス利用の足枷と なりかねない現状を改善できると考える. また,懸念の多い経路表膨張に対しては,何らかの条件・基準を 設けることでPI取得数(およびAS番号取得)を制御すれば,抑制できる と考える.
1:想定されるメリット、デメリット ○メリット ・企業ユーザに対してマルチホーム利用を促進することができ, 信頼性の高いインフラとしてIPv6インターネットが認知される ○デメリット ・経路表の増加率が高まる可能性がある 2:影響をうける対象(指定事業者、JPNIC、ユーザなど) ○指定事業者 ・経路表増加に伴うルータの負荷(デメリット) ・企業ユーザへのマルチホームサービス提供による収益増(メリット) ○JPNIC ・(PIをJPNICで割り当てる場合)審査業務の増加 ○ユーザ ・(主に企業ユーザに)マルチホーム利用が容易に(メリット)
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