第46回JPNICオープンポリシーミーティング議事録

2024年06月21日(金) 14:00-18:00

司会:鶴巻 悟(JPOPF運営チーム)

1. JPOPM46オープニング

鶴巻 悟(JPOPF運営チーム)

[意見・質疑応答]

なし

2. [I] 2. WHOIS教室

中川あきら(JPOPF運営チーム)

[意見・質疑応答]

C. このアウトプットを見ると、BSD系のWHOISクライアントをお使いだと思う
   が、Linux系のシステムでよく導入されているプログラムだとJPNIC WHOIS
   に対するオプションがハードコードされていて、ASと番号の間にスペース
   を入れなくても引けたり、勝手に/(スラッシュ)をつけてくれたりする

Q. DNSは再帰的に世界がつながっているが、なぜWHOISでは分散管理されてい
   るデータベースをこちらが探し回らなければならない。何か良い方法はな
   いのか(豊野)

A. 解決方法を持っていない(中川あきら)

C. クライアントによっては再帰的な問い合わせをしてくれるものもある(豊野)

Q. なぜハンドルがあるのか。連絡先が知りたいのであって、ハンドルが知り
   たいわけではないので、ハンドルという概念を挟まれるのは面倒(豊野)

A. 多くの情報の担当者になっている場合、ハンドルを挟むことによって、そ
   のハンドルで管理されている情報を変更すれば、多くの情報を一つ一つ変
   更しなくてもよいというメリットがある

C. [abuse]欄は電子メールアドレスを登録する形になっているので一括変更が
   できない。一括変更をする場合はJPNICへ依頼する(中川あきら)

Q. WHOISとはそもそも何なのか、仕組みなのかコマンドなのか何なのか、もや
   もやする。「WHOISを引く」と言ってもアドレスを検索することもあれば、
   WHOISコマンドを利用してIRRの検索をすることも

C. レジストリでは番号資源分配の際に分配先の情報を登録していて、その
   データベースのことをWHOISデータということもあるし、その問い合わせを
   受けるためのサーバやクライアントのことをWHOISということもある。用語
   が混ざっていて残念ですね

C. DNSで用語の再定義の動きがあるので、番号資源の方でもあるのか、という
   質問があるが、WHOISプロトコルが死んでRDAPに変わる頃には再定義されて
   いるかもしれない。我々が長らく放置してきた結果でもあると思うので、
   頑張っていきましょう

Q. WHOISの指定に迷った場合、多くのLinuxディストリに付属しているjwhois
   を使ったり、IPについてはRADBのwebから検索するようにしています。他に
   情報があれば教えていただけませんか

A. IANAのWHOISというものがある。そこをとっかかりにするとよいと思う。
   RADBなどに登録されているのはIRR、つまり経路の情報なので、似てはいる
   が少し性質が違う。またRADBにはだれでも登録できてしまうので、正確性
   は疑問。運用上使用するのはよいが、それを登録情報だと思うのは危うい

Q. 今時レスポンスはJSONが嬉しいのではないか

A. それがRDAP。もうインターフェースはある

C. windows用のWHOISクライアントがある

3. [I] インターネット番号資源ホットトピックス

谷崎 文義(JPOPF運営チーム)

[意見・質疑応答]

Q. JPNICでは、今はユーザ認証に電子証明書を使っているが、明日明後日終わ
   る。今はいいかもしれないが、数か月後には同じ状況が起こりうるのでは
   ないか

A. 現在の電子証明書から、ID/パスワード+追加の認証、という方式に変わ
   る。認証に関わるものはしっかり管理していただくというのが大原則だと
   思う(川端)

C. ヨーロッパの子会社へ、5月頃に、メールだけでなくテレカンで登録情報を
   確認するという連絡がきた。真剣に登録情報の洗い直しをしているようで
   ある

C. このインパクトを見るとそうせざるを得ないような気がする(谷崎)

4. [I] APNIC57フェローシップ体験談

滝田 愛澄(早稲田大学)

[意見・質疑応答]

C. 発表の中に、今のところ悪い人はいないけれど、悪い人はきっと出てくる、
   という話があったが、後ほど前村さんの発表で、悪い人もいる、という話
   があります(鶴巻)

5. [I] APNIC Update

中川 香基(JPNIC)

[意見・質疑応答]

C. Paulは個人的な事情で次回APNICに参加できない。送別会はダッカで開催さ
   れる予定

Q. 一時的なIPv4アドレス移転について、反対が多かった理由は一時的な移転
   自体なのか、条件が付いていることなのかどちらの方が多かったでしょう

A. リースというものへのアプローチとして一時的な移転を使うことがあまり
   受け入れられない。。加えて条件が付いていることに、多くの方が納得さ
   れていないという印象を受けた(中川香基)

Q. JPNICではネットワークサービスの伴わない移転は認めない(鶴巻)

A. 明確ではない

Q. イベント割り当てについて、一年に一回使うアドレスは返せ、という空気
   感はあったか

A. そこまでではない印象(中川香基)

C. Prop-156について、中立多数、反対もあったがコンセンサス、という判断
   があまり納得できない。コミュニティの進め方としては微妙なのではない
   か(豊野)

Q. Paul Wilsonさんの後任を選ぶプロセスは?候補者はいるのか(谷崎)

A. プロセスはすべて公開されている。外部の人材会社が関わって、公募もし、
   選考を進めている。次回APNICでの公開を目指して粛々と進めている

Q. Prop-154のIXP向けの割り当てサイズ変更について、前回2月頃は反対多数、
   という状況だったと聞いていたが、今回は反対意見はなかったのか

A. 現地では反対意見は多くなかった。コメント自体多くなかった。IPv4が少
   しでも節約できるならやろうという雰囲気があり、反対の意見がなかった
   ことからコンセンサスに至った様子(中川香基)

A. リナンバが大変等の理由でIX運用者からは反対の意見はあるものの、これ
   から地方都市でIXを立ち上げようとする、南アジア、東南アジア、パシ
   フィック地域の小さなIXで割り当てを受けやすくなる、という雰囲気だった
   ように記憶している

C. 既存のIXは困らないが、逆にこれからアドレスの割り当てを受けるIXが困る
   のではないかと2月頃話していたように思い、質問しました

6. [I]世界から見た、JPNICの登録情報

松崎 吉伸(株式会社インターネットイニシアティブ)

[意見・質疑応答]

C. 最終的にたどり着きたいのはメールアドレスだが、ハンドルから先が一度
   で表示されない。登録する側の利便性は考慮しているが、利用する側の利
   便性をどれだけ考慮できるか(豊野)

C. 例えばRDAPでAS2497を引いてみると、adminはhostmaster@nic.ad.jpに見え
   てしまう。URLが記載されているとそこからさらに検索することができる
   が、表示上、URLは消されてしまっていると思われる(松崎)

Q. hostmaster@nic.ad.jpには日に何通くらいメールが来るのか(豊野)

A. 300~400件くらい。ほとんどは機械的に送られるメール。大量に送られて
   くるため、返信するのは100通に1件、30~40件ぐらい(川端)

C. NIR共通の問題ではあると思う。APNICでも範囲によって出てくる情報が違
   う。NIRが考える部分と、APNICとして考える部分の両方があると思う
   (川端)

C. 使いたい人が最低限この情報を見たい、というのを言うというのはありか
   もしれない。電話や住所は使わない。メールアドレスや何かしらコンタク
   トを指し示す情報があればよいと思うようになってきた(松崎)

C. WHOISの情報がいろいろなところで使われている。名誉棄損の問い合わせが
   JPNICに来たりする。ドメイン名では使う人によって表示情報を変えると
   いった議論もあるようだ。アドレスについてもそういうことを考えなけれ
   ばいけない時期にきているのかと考える(川端)

C. やみくもに、きれいになった、というよりは、どうすれば使えるか広く合
   意してそこを目指す方が最終的には使い勝手が良くなると思う。各NIR資金
   的には厳しい運営をしているので、いくらかかるのか、安く実装できるの
   かが重要なファクター。この先どうなるか分からないけどちゃんと話して
   おかないと後で困る。だんだん困り始めている(松崎)

C. WHOISの情報がちゃんと引けないのは自分が馬鹿だからだと思っていたが、
   そうではないことが分かり、救われた気がした。可能ならば、「ちゃんと
   引けない」という情報がどこかで出ていると助かる

Q. 次回APNICのミーティングでもWHOISがうまく引けていないことを話そうと
   思っていて、調整を始めたところ。JANOGでも話す予定(松崎)

Q. 他国でこのような問題は議論されていないのでしょうか

A. アジア太平洋地域以外はほとんどがRIRに集約されているのでこのような問
   題はほぼない。abuseコンタクトが設置され、登録が推進されている経緯も
   あるように、WHOIS正確性の問題は認識されており、議論されている(松崎)

C. ICANNのレジストレーションデータディレクトリサービスの議論もずっと続
   いている。正当な利益に応じて色分けして公開する、というコンセプトは
   できたが実現がとても難しい。みなさん頑張ってまいりましょう(前村)

Q. APNICとかにみんなコピーしているから問題が出てくる。JPNICに閉じて見
   た時に、WHOIS・RDAPが返す内容を展開して返せないのか

A. ここではAPNICがJPNICからもらったデータを回答している。JPNICで実装す
   るには開発や他のNIRとの調整などいろいろやらないといけないことがある
   (松崎)

C. JPNICのWHOISを直接引いてくれたら知りたい情報が見られる、というよう
   にできないか

Q. お金が問題でできない。お金を問題にしたくないので、その実装がその先
   の実装に使えるようにすれば進むので、まずは何を目指すかについてコン
   センサスを取った方が無難(松崎)

C. いろいろな実装にいろいろなクイックハックが入っているということだが、
   うまくひけるコードを開発して、各WHOISの実装に対して地域の情報がうま
   く引けるコードを寄贈するといった、クライアント側での対応をしてはど
   うか。次のシステムができるまで

C. 開発者とは話していているが、彼はオリジナルの開発者であり、それがい
   ろんなディストリビューションに配布されている状況下では、変更はでき
   るが全体に普及して置き換わるまでには年単位の時間がかかるし、ちゃん
   としたものを提供しなければ何度も行わないといけないので大変だ、と
   言っている(松崎)

C. 仕組みをすべて作り直すには年の単位以上の時間がかかりそう

C. 一応、可能ではあると聞いている(松崎)

C. オリジナルだけでなくていいのでは。みんなクイックハック、手を入れて
   いるのでしょう

C. コード自体にクイックハックされたものをパッケージ化したものを各ディ
   ストリビューションが使っている(松崎)

7. [I] RIR認定条件の改定議論~インターネットの再定義と言っても過言でない!?

前村 昌紀(JPNIC)

[意見・質疑応答]

C. ジョイントインターネットレジストリという考え方は、RIRが共同で番号資
   源の管理を担っていこう、ということ。突如新しいことをやっていこう、
   ということではない

C. 教えて頂けてありがたく。しかし5RIR共同で新しく統一機構を作ろうと
  しているなら、それなりに実りがあると思っている。期待している(前村)

Q. 興味深いアプローチで大切なことだと思う。国の関与が出てきてしまうの
   ではないか、そういう中で戦ってくれていると思っている。他国の関与に
   対して、どういうガードをかけていこうとしているのか、言える範囲で教
   えてください

A. ICANNにはgovernment engagementチームという10人くらいのチームがあっ
   て、各国の規制や立法などの動向を把握しつつ、何か気になることがあっ
   たら正しい理解を求めて対応している。例えば欧州連合だとNIS2ができた
   とか、デジタルマーケットアクト(DMA)ができたとか。各団体に政府対応
   をする担当者がいて、技術コミュニティ全体として備えている。その結
   果、今まで、例えばWSIS(世界情報社会サミット)のときにICANNをITUのど
   こかの組織が監視しようとする動きなどをどうにか抑えてきた。マルチス
   テークホルダーのインターネットを支持してくれている政府担当官もい
   る。日本政府もそうである。そういう人たちと協力して、半ば外交のよう
   な形で対処している(前村)

A. 政府の関与は確かにある。インターネットが重要な基盤になってしまった
   ことで、いろいろな思惑があるし、直近の例では紛争に際してある国の番
   号資源を取り上げてしまえというような動きもあったが、これに対し
   RIPE/NCCではサービスを停止しない判断をし、ステートメントを出した。
   他の国の関与としては、自国にサービスを提供するから税金を払えという
   ものがある。個別の政府の要件を、満たしながら、遵法しながら広くサー
   ビスを提供していこうとしている。APNICとしてもJPNICとしても遵法しな
   がら広くサービスを提供していきたいという点において同様である

Q. 政府組織や国家権力によって圧がかかった場合に、ちゃんと対抗できる仕
   組みを作っておかなければいけないというのは分かるが、これまでエンジ
   ニアの善意でやってきたところから、ステークホルダーが多くなるがゆえ
   に機能不全に陥るリスクもあるのではないか。消費者団体のような方々の
   声が大きくなるとリスクが大きくなるのではないかとか、政府そのもので
   はないがロビー活動のような場で政争の道具として使われた場合に我々は
   どう対応しなければいけないのかということを考える。マルチステークホ
   ルダーの広げ方の定義は。技術コミュニティを尊重してくれる程度に、と
   難しいハンドリングをしていらっしゃるような気がするが、グローバルで
   活動されている方々でそういった議論を内々でされていたりするのか
   (豊野)

A. 技術コミュニティの中にも市民社会の中にも政府の中にも過激な人もいる
   し、柔和政策を採ろうとする人もいる。なので、それぞれに対して好まし
   いアプローチがあるのでそれをしていくということだと思う。例えば
   APNICのアドレスポリシーは、オープンでボトムアップであればそれで
   好ましく制御されると考えられているので、市民社会の参加を必須とす
   る、といったことにはなっていない。一方でICANNの中のgTLD政策には個
   人ユーザ、商業ユーザ、レジストリ・レジストラが入っていなければなら
   ず、それぞれの人数が決まっていてバランスを取っている。それぞれの権
   能を維持する上でどれくらいのレベルでマルチステークホルダリズムを実
   装するかはそれぞれで決めていて、必要があれば変えている。ここでこと
   さらにマルチステークホルダリズムを守ると言ったのは、たまたま今、国
   連のプロセスが派手な時期だから強調しているとお考えいただければ
   (前村)

C. よく分かった。所属組織というよりは思想が同じメンバーをうまくつなぎ
   合わせていくことが重要だと分かった(豊野)

C. NetMundialに出席して、いろいろなステークホルダーと一緒に仕事してよ
   り仲良くなることで、協力関係が堅固になると感じた(前村)

C. もう一つ、ルートサーバの話があったが、ガバナンス、統治機構の話だけ
   でなく、オペレーションの手段というか組織をどうやって守っていくかと
   いう話をしてほしい。端的に言うとカネ・ヒト・モノ。現在のルートサー
   バは大変責任感のあるボランタリーなスーパーエンジニアによって運用さ
   れている。これが本当にいいことなのか(豊野)

C. 運用組織と言ってもVerisignやICANNのような組織から、非常に小さい大学
   までいろいろある。Fundingの議論は難しく、量的に一定にするというのも
   意味が分からないし、では何で配分するのかというのも無数に策があるの
   で時間がかかるが、難しい問題に立ち向かっているので、いい方向に進む
   と思っている(前村)

8. [I] 近頃のIPv4移転と売買

中川 あきら(JPOPF運営チーム/JPIX)

[意見・質疑応答]

Q. リースはそもそも昔はやってはいけないことだと思っていた。どこにさか
   のぼってやってよくなったのか、根拠はどこなのか。どういう認識なのか

A. RIRによっては許されているところもある。APNICでは明確に書かれていな
   いが許可していないという認識。接続性を失ったら返却してもらう

Q. 接続性というところだけにこだわっているように感じる。接続性とは何な
   のか。トランジットすることなのか、経路広報は割り当てたアドレスでパ
   ンチングホールのように出しておいて、でも割り振り先では出さない、だ
   けどお互いのASは接続している、という時、外からは接続があるのかない
   のか分からない。接続性とは何なのか

C. 過去には経路数を抑えるために経路広報数を抑えるために、接続性がなく
   て広報していないなら返却を、と決めたことがある。プロバイダが困ると
   いうことでは、パンチングホールという例外が出てきた。それはIXという
   選択肢が増え、IXも複数出てきて、コネクティビティをたくさん買う人が
   出てくる、そういう中でパンチングホールという例外が出てきたけれども、
   元アグリゲートしていた人がこだわらなくなると、それならリースでいい
   という発想になる。大元の精神が失われて、接続性とは、という細かい議
   論になっているから何か違うなと思うのが最近のリースの議論の危ういと
   ころ。経路数を抑えることの要否に関する議論がスルーされている

C. リースという行為について言っていると思うが、持っているIPアドレスの
   マネタイズに限定した場合、それがいいのか悪いのか、どう扱うべきなの
   か整理できないかと思った

9. JPOPM46クロージング

中川 あきら(JPOPF運営チーム)

[意見・質疑応答]

なし

以上

None: JPOPM46minute (最終更新日時 2024-08-05 11:04:59 更新者 jpnic)