第47回JPNICオープンポリシーミーティング議事録
2024年11月19日(火)14:00-18:00
司会:鶴巻 悟(JPOPF運営チーム)
1. JPOPM47オープニング
鶴巻 悟(JPOPF運営チーム)
[意見・質疑応答] C. IP-USERSメーリングリストメンテナンスの際に、購読を解除した旨の誤報 が出てお騒がせし、申し訳ありませんでした。購読は解除されていません のでご安心ください(川端)
2. [I] インターネット番号資源管理教室
中川 あきら(JPOPF運営チーム)
[意見・質疑応答] なし
3. [I] インターネット番号資源ホットトピックス
谷崎 文義(JPOPF運営チーム)
[意見・質疑応答] なし
4. [I] APNIC58フェローシップ体験談
橋本 宏熙(東京大学)・島田 怜奈(慶応大学)
[意見・質疑応答] C. とても積極的に交流なさろうとしていたし、問題意識をもって仮説を実地 で確かめるというループを回している感じがして、とても素晴らしかった (前村) CQ.良い経験をされて、良かった。島田さんの発表ではRPKIに関して知らない 単語がたくさん出てきて、若い方がこんなにやっているのをとても頼もし いと感じた。このプログラムを知ったきっかけは(谷崎) A. 以前にフェローシッププログラムに参加した、研究室の先輩から紹介して もらった(橋本) A. 同じく、以前にフェローシッププログラムに参加した先輩から紹介して もらった。自分も後輩に伝えていきたい(島田) C. ぜひ研究室の枠を超えて、広く伝えてください(谷崎) Q. 英語についてはどうでしたか? 次に続く人の参考に A. 海外経験があり英語は不自由ないので、自分は参考にならないかもしれな いが、英語を話さない方も多く参加されていて、何とかなるかな、という 感じだった(島田) A. 英語はそれほど得意でなく、実際にうまく伝わらないこともあったが、 APNICはアジア圏の方が多く、ノンネイティブで英語がうまく話せないこと が分かっているので、あまり話せない人に対してもとてもフレンドリー だった。話せばその分うまくなるし、1週間という期間ではあったが最終日 のソーシャルではあまり困らず会話できた。今回コミュニケーションが取 れたことが成功経験となった。英語はそれほど恐れず参加してほしい(橋本)
5. [I] APNIC Update
中川 香基(JPNIC)
[意見・質疑応答] なし
6. [I] 地域インターネットレジストリ機構の再検討 設立認定要件の改定議論
前村 昌紀(JPNIC)
[意見・質疑応答] Q. 認定取り消しのプロセスについて、一回是正措置を受けて移行過程をきち んとやりなさい、となっているが、移行先をだれがどうやって決めるのか (鶴巻) A. まだ想像できていない。AFRINICについては、設立時にどのjurisdiction で設立するのか、という議論があった。その結果、一番中立的だったのが 今のjurisdictionだ。一つのRIRが他の団体によって継承されるという ケースはまだ見たことがない。一つは、全く新たにクリーンスレートでス クラッチから設立文書を書いて、きれいなものができたら、あとはきれい な経営体制が書ければそこは受かっていくのか。というのを、コミュニ ティ全体としてやるならやらなければいけない。ここに書いた条件だけで はまだ話は終わっていない感じ(前村) Q. 分かりました。一番きれいなのは、もう一度RIRの地域の中で同じ営みが 行われて、ICP-2で認定されたところがやる、ということか(鶴巻) A. あるいは今の団体が奮起して、全部書き直して、これに合うものを書く大 プロジェクトをやる、ということだが、是正措置のところで止まって、ま たライフサイクルが元に戻るところに行けたらそれが一番いい(前村) C. なかなか悩ましいですね(鶴巻) C. 悩ましいことをやれる仕組みがないのでそれを作っている段階(前村) Q. RIRの最初のRはRegional。歴史的には、インターネットの発展が均衡では なかったので、当時は理解できる文脈だったが、現在はどういう解釈をし てこれを維持していこうとか、そういう考えがあるのか聞きたい(西野) A. 哲学的というか、architectualな話だと思う。Jon Postel氏のcentral registoryの時代があって、申し込みが増えたのでDaniel Cullenberg氏、 村井純氏に助けを求めたのが3RIRの始まり。それからLACNIC、AFRINICを 作って、その時から地域の個性を収容することが必要、というそれなりの 大義名分から五つとなった。実際見てみると、AFRINICが考えることと LACNICが考えることとARINが考えることはかなり違うし、APNICとLACNIC はなんとなく気が合うし、RIPEとARINも一致点があるが三つは揃わない。 そして、セントラルレジストリを作りたくない、分散させなくてはいけな いとみんな思っている。だから、IPアドレスについて単一の収束点はIANA だが、できるだけ分散できるようにトップレイヤーに五つ、複数据えるこ とで分散を実現できている。 ドメイン名の方は.com .net .orgが先にあって、ccが後にきているが、 TLDを分散させるのに一番便利だったのがカントリーコードだったという ことで分散されている。それと似たものがRIRだったというのが番号。初 期の議論でRIRは6という話があった。具体例を言うと途端に政治的になる のでやめておくが、文化的なつながりがあるあの辺が離脱するのかな、と いうことを考えて、その地域の人たちが、かつてAFRINICやLACNICがやっ ていたようにISPからエンドースをもらって、いい感じの法人ができたら そういうことも起こりうるのか(前村) Q. 少しイメージが付かなかったのは、RIRによってカラーがある、というと ころ。ポリシーコーデしネーションをしている人には分かる文脈だと思う が、できれば分かりやすい具体例を挙げてもらえると A. ARINはすごく原理主義的。クリアなテキストでないとポリシープロポーザ ルにならない。ネットワークオペレーションはARINに任せているので、ア ドレスポリシーのみを専門に扱う。RIPEはNOGから始まっており、コミュ ニティが成熟している。アドレスポリシーワーキンググループもその場で は決めず、MLで、いつの間にか決まる。アフリカはアフリカ。LACNICは団 結力がある。そんな違いがある(前村) CQ.六つ目のRIRはありだと思う。昔LACNICで提案が出た「宇宙」。この話 は、六つ目ができることについてはフォローされているのでしょうか。 (谷崎) A. すでにISOCのチャプターとはRIR陣はすでに話したと聞く。どれくらい本 気かはまた別かもしれないが。これに従ってLACNICやAFRINICができたと 思うと、大体想像がつく。25年くらい前に韓国が、East Asia NICを作ろ うという動きがあったが、それは止めた。結束していけるということがあ れば、十分いけると思う。一方で、アフリカ大陸を、とかラテンアメリカ で、というほどの結束力はなかなか出てこないのではないか(前村) CQ. 今までの文脈で、RIRは割とアプリオリに決まるレジストリだというの が、Regionalという、魔法というか何かを含んでいる言葉だったけれど も、最近、安いからあるRIRからアドレスを取ろう、という動きを目にす ることがある。これって何なんだろうと思う。このような問題がヨーロッ パでもアメリカでも日本でも出てきている。これまではインターネット自 体がサービスプロバイダーを相互接続してできていたネットワークで、コ ミュニティから支えられているものがRIRだという概念があったが、勃興 している個人という概念がこの中でどういう位置付けにあるべきなのだろ うか。ということについて問題提起というか、たぶんここに入る話ではな いが、考えてほしい。オープンな質問をしてしまって申し訳ないです C. 皆さん答えを考えて、後ほど懇親会で。一つ、個人的なオーナーの勃興は 微妙。日本の電気通信事業法は、個人のオーナーを妨げない。法人でなけ れば資格を有しないというものが多い中、インターネットはインクルーシ ブにやらねば、という観念が個人を許容しているだろうし、それによって 育ってくる若きBGPオペレーターのような方々は、それなりに技術を担え ていくので、そのインクルージョンは重要なのではないかと思う。むしろ RIRショッピングをしてはいるような感じというのは、まさにIPアドレス リースをバナーに掲げて宣伝しているブローカーもいて、グレーゾーンで ビジネスを展開するのをなんとなく許容しているような状態があり、それ によってIPv4アドレスが融通されているような状態。だとすると15年くら い前に移転を検討した時のように、リースに向き合わなければならないの ではないかとう議論が出てきそう。だが、その前にv6に行く方がきれいな 気がする(前村)
7. [I] IPv6 PA・PIアドレスアーキテクチャーの維持 ~IPv4の経験を経て~
中川 あきら(株式会社JPIX)
[意見・質疑応答] Q. 野放しになっていることでどういう脅威があるか A. 分配の方法としてPAとPIに分かれている。それぞれ基準が異なる。v4の場 合APNICまたはJPNICからの分配は/24または/23だが、実際には/16が分配 されていたりする。v6でも同じようなことが起こり体系というか、ポリ シーそのものが崩れてしまうことを懸念している(中川) Q. アドレス数が多いからいい、ということではないか。パンチングホールさ れて経路が増えてしまう、といったインセンティブがあるのか A. これについてはいろいろな考えの人がいて答えは一つではないと思ってい る。v6ではそれを許してもいい、という考え方もあって、否定はしない が、そうであればそもそもPAとPIをやめてしまうべきと個人的には思って いる。ポリシーがあるけれどそれと異なる分配が普通に行われている状態 は良くないと思う(中川) C. 中川さんのおっしゃることがよく分かり、共感する。もともとはBGPで経 路交換している、ということだったが、割り振りを受けたISPがどのASで 広報するかというのはどこでも決まっていない。ちぎって違うASで投げて もいい。そうすると、つながっている、って何なんだ、ということにな る。v6はアドレス空間が大きいので、ちぎって別リージョンで流すことも できてしまう。その場合にリースに見えてしまうのではないか。PAから割 り当てを受けている経路なのか、リースなのかが分かりにくい。先ほどの リースというのも、リースの定義が不明確で、個々の感覚で言っているだ けになってしまう C. 今の話も過去に考えていて、解釈が正しいかどうか、というのもあるが、 APのアドレスをヨーロッパに割り当てて、ヨーロッパで広報してもいい、 という話があったが、「エンドサイトへの/40または/48の割り当てはLIR または配下のISPによって登録されること」とあり、また、エンドサイト は上流のLIRからトランジットしてもらわないといけないとかアグリゲー トしてもらわなければいけないとか書かれていることから、ヨーロッパ に持っていくことはできないのではないかと読み取った。あと、接続とは 何かという話があったが、接続という言葉が出てきたのはリースの概念が 出てくる前で、おそらく何も想定していないと思う(中川) C. かつて、「接続」の定義はあえてぼかされた。トンネルは嫌われていて、 1990年代、v4ではあまりなかったが、v6になったころはv6自体が最初トン ネルからスタートしたこともあり、比較的初めからトンネルという概念が あった。接続性というのが導線ケーブルなのか光ファイバーなのか、とい うので、定義しきれなくなった。90年代のころは太い帯域の光ファイバー でつながれているのとバックアップの64キロでつながれているのかを同じ ものと言っていいのかという議論はあって、そこはあえてぼかさざるを得 なかった。つまり64キロさえつないでおけば、アドレスはどこへでも持ち 出せるんじゃないか、という議論が90年代にはあった。 でトンネルっていう概念も出てきて、それがもっと曖昧にはなって、明確 に定義できないから、そこは運用の範囲内でということで、かなりぼかし て接続っていう言葉が使われた。 IETFで決めているRFCというドキュメントには返却しろと明確に書いてある が、いつから破ってよくなったのか。BCP4、RFC1917に書いてある。けれど みんなやっていない。ちゃんと追いかけていないけど、おそらくv6のド キュメントにも書いてある。過去には経路を増やしたくないという動機が あった。アドレスを少しでもちぎって流そうものなら、アドレス警察のよ うな人に、このプロバイダはディスアグリゲートしているよね、とMLでさ らされるということがあった時代。その動機から接続というものは曖昧に したけれど、とにかくアグリゲーションを進めようという動機があるし RFCにも書かれている。そこに書かれていることを実装したAPNICやJPNIC は接続がなかったら返却するように割と強めに書かれているけれど、技術 的に明確にしきれなかった接続性という概念は曖昧のまま残ってしまった という認識。個人の記憶なので違っている可能性はある(西野) C. v4のポリシーには返却について書かれているが、v6ポリシーには書かれて いないので、今のご指摘も踏まえて、v6にも同様の記述を入れておくこと でカバーできるのかな、と思った(中川) C. 4と6のポリシーが違うから揃えたい、というのならやればいいが、リース をやめさせたいなら、今ここで発散している通り、無理だからやめたほう がいいと思う。接続されていなければならない、と書かれているが、それ が守られていない(豊野) Q. なぜv4v6でポリシーが分かれているのか(中川) C. 元の文書が違うためにマージしきれなかったから、エディトリアルな経緯 と思う(豊野) C. v6は再割り振りがあるが、v4はないからか(鶴巻) C. ポータブル、ノンポータブルの概念があいまいに感じる(鶴巻) C. 割とダイレクトにインターチェンジャブルに読むので曖昧性はないと思う (前村) C. ポリシーに書いても無駄かもしれない。それは、監査がないから。本当に 導入しようと思うのならそれは監査なのではないか。この文脈では守り切 れないとは思う。もちろん、監査がいいとは思っていないが(西野) C. APNICやJPNICがポリシーを守るように、ガイドラインを作成するのはどう か(中川) C. ポリシーを守らない人はガイドラインを守るわけがない。島田さんが頑 張ってROVを普及させるのが解決になる(豊野) C. インターネットの運用のボランティア精神のようなもの、制する者がなく ても守る、というのは謎ではないか。でも今それが立ち行かなくなってい るからRPKIを入れROAは登録する、しかしROVはしないというのが現状。 ROVを始めるようになるとレジストリとしてのエンフォーサビリティが上 がる。ちゃんとやってくれないと使い物にならないから。どうかしたら ROVのレコードをちょっと調整する権限をレジストリが持ってもいいかも 知れない。v4v6のポリシーの違いは意図通りなのかどうか、一度APNICに 訊いてはどうか(前村)
8. JPOPM47クロージング
中川 あきら(JPOPF運営チーム)
[意見・質疑応答] なし
以上