JP共有アドレスの一部をIPv6移行用アドレスとして利用する提案
山口 二郎 (株式会社インターネットイニシアティブ)
2 (2011.6.29)
・ご提案内容の概略
JP共有アドレスの一部をIPv6移行用アドレスとして利用する提案
・ご提案理由
IPv4は枯渇し、新規にIPv4の割り振りを受けることができなくなっ
た。IPv4からIPv6への完全な移行にはIPv4ネットワークが利用さ
れなくなる必要があるが、それには相当の時間がかかると予想さ
れる。このため、新規ユーザーがIPv4ネットワークへの接続を行
うためには当面の間、NATなどの技術が必要となる。IPv6移行用
アドレスとして、JP共有アドレスを利用することを提案する。
- 現状の問題点
- 改善したいポイント
IPv4枯渇後のIPv4ネットワークへのアクセス方法の一つとして、
NAT444方式がある。この方式では、組織内部(1)-ISP(2)-インター
ネット(3)の3つのIPアドレス空間が必要となるが、ISPが利用す
るIPアドレスにプライベートアドレスを利用すると、組織内部で
利用するプライベートアドレスとバッティングして、ルーターに
よっては正常にルーティングできない。ここにJP共有アドレスの
一部を利用することで、この問題を解決することができる。
- 想定されるメリット、デメリット
・メリット
IPv4アドレス枯渇後、IPv6に完全移行するまでのネットワーク
を容易に、安定して構築することができる。
・デメリット
JP共有アドレスとして移転した元の組織で、アドレスバッティ
ングによるルーティング問題が発生する恐れがある。(通常は、
ISPと組織の間のネットワークの/32か/30となる)
・ご提案が採択された場合の影響範囲(指定事業者、JPNIC、ユーザなど)
o JPNIC(A)はJP共有アドレスから「IPv6移行用アドレス」を指定する。
o JPNIC(A)はJPコミュニティに「IPv6移行用アドレス」を宛先
OK、宛先NGを含め、告知する。
o ISPは「IPv6移行用アドレス」をISP内に利用できる。
o ISPは「IPv6移行用アドレス」の一部を指定し、ISPとユーザ
間に利用することができる。
o ユーザはISPから「IPv6移行用アドレス」の割り当てを受ける。
o ユーザは「IPv6移行用アドレス」を内部用(プライベート用)
に利用できない。
※注意
JPNIC(A)…社団法人としてのJPNIC
・コミュニティに対し,合意を得たいポイント
o JP共有アドレスを「IPv6移行用アドレス」として利用する。
- ISP内でのみ利用可能なアドレス
- ISPは宛先OK、宛先NGを適切なインフラとして利用する
- ユーザはISPから割り当てを受ける
- ユーザは内部で利用してはいけない
o JP共有アドレスをIPv6移行用アドレスとして利用すること
o サイズは/22以上とする
o JPNIC(A)は/22以上のJP共有アドレスを保有したら速やかに
「IPv6移行用アドレス」を指定、告知を行う。
質問,議論は ip-users ML( ip-users@nic.ad.jp) にてお願いいたします.